【書籍化】S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった   作:ミズノみすぎ

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第120話【作戦変更】

 カティアはローエを背にして空の見張りをしていた。

 途中、フランベールからお湯を貰った。

 それで身体を暖めながら望遠鏡を覗き続ける。

 

 偵察隊が【竜軍の森】へ侵入してから二時間以上は立つ。

 だが未だに【救難信号】は上がらない。

 誰かが帰還する様子もない。

 

 すると、同じマントに巻かれている背後のローエが欠伸をした。

 

「ふぁあぁ…………ん……寒い上に暇ですわ」

 

「こら。任務中だぞ。気を抜くな」

 

「わかってますわよ……」

 

 ダルそうなローエは「そー言えば」と思い出しを口にした。

 

「フランはいつになったらわたくし達を『さん』付けしないで呼んでくれるのかしら?」

 

 聞かれたカティアは望遠鏡を覗きながら答える。

 

「期待するのはやめておけ。フランはどうにも相手を呼び捨てにするのが苦手らしい」

 

「え、初耳ですわ。そうなんですの?」

 

「ああ。私も以前、フランと呼びたいからカティアと呼んでくれと頼んだことがある」

 

「どうだったんですの?」

 

「無理に呼ばせたら舌を噛んでしまった」

 

「な、なぜ舌を?」

 

「分からん。ぜんぜん分からん」

 

「んもぅ……家族なんですから呼び捨てでお願いしたいですわ。他人行儀みたいですもの……」

 

「そう言うな。誰にだって苦手なものはある。それを認めて、受け入れてやるのも家族だろう?」

 

「……それもそうですわね。ならカティア。あなたの苦手なものって何かありますの?」

 

「お前だな」

 

「んなっ!?」

 

「嘘だ」っと望遠鏡を覗いたまま笑う。

 

「特に苦手なものはない。強いて言うならゼクードの手料理かな」

 

「いや、あれはみんな苦手ですわ。下手くそ過ぎて不味いだけですもの。どうやったらあんな【ダークマター】みたいなものができるのかしら?」

 

「分からん。それだけは本当に分からん…………んっ!?」

 

 

「ゼクード!」

 

 見張り役のカティアの声が弾けた。

 事態は彼女の声音で予測できた俺は即座に聞き返す。

 

「信号か!?」

 

「【救難信号】を確認! 数は3……いや4に増えた!」

 

 4!?

 4つもの【救難信号】が上がったのか!?

 全部隊じゃないか!

 

「方角は分かるか!」

 

「南西に1つ。南東に1つ。南に1つ。その南のさらに奥に1つだ!」

 

 さすがカティアだ。

 的確に覚えてる。

 

 しかし……いきなり4つの全部隊から【救難信号】が飛ぶとは。

 敵は一匹じゃなかったってことか。

 

 くそ!

 練りが甘かった!

 なんで複数の場合を想定しなかったんだ俺は!

 いきなり作戦変更じゃないか!

 

「戦力を分散する! ローエは南西! カティアは南東! フランは南! 俺は一番奥の南を目指す! 敵を押さえて味方の撤退を支援するんだ!」

 

「了解!」

 

 指示を飛ばした瞬間に、みなが迅速に飛び出していく。

 粉雪を巻き上げながら俺も彼女たちに続いた。

 

 待ってろよみんな!

 持ちこたえてくれ!

 すぐ行くからな!

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