【書籍化】S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった 作:ミズノみすぎ
その後。
俺はフランベールと身体を暖め合い、なんとかその日の夜を凌いだ。
翌日の朝になり、消耗の激しかったフランベールは体力と気力をしっかり回復させていた。
落ち込んでいた気分も少しはマシになった様で、顔色は悪くない。
よかった。本当に。
そのお腹の赤ちゃんに縁がしっかりあれば、必ず元気に生まれてきてくれるはず。
そう願いながら、俺はフランベールと共にカティア・ローエと合流するため行動を開始する。
雪と風は相変わらずで、空も変わりない灰色のベールに包まれていた。
俺とフランベールは斜面の緩やかな道無き道を歩き続け、雪山の麓まで来た。
見上げればそこには城壁のようにそびえ立つ雪山があった。
俺は振り返り、背後の光景を見た。
麓から広がるのは辺り一面の白い世界。
白銀の森だった。
俺は前方の雪山に視線を戻し、今の現在地を再確認した。
「どうにも俺達は雪山の反対側に流されてしまったみたいだな」
前に見た光景と違っていたから、そう思った。
俺たちが雪山まで来たルートに、こんな森なんてなかった。
だから間違いない。
ここはレイゼ達と来た雪山の裏側だ。
「やれやれ。これじゃあ魔法を撃ってもカティア達に気づいてもらえないな」
考えていた救助案があっさり使えなくなった俺は、やれやれと頭を掻いた。
この雪山を登って、山頂を目指し、反対側に下りるしかないか?
山頂で雪のドラゴンと遭遇する可能性はあるが、それはそれで構わない。
もとよりそれが任務なのだから問題ない。
遭遇したならば、俺が仕留めるまでだ。
が、そもそも足場の悪い場所で襲われたらひとたまりもない。
どうするか。
できれば登山せず下からのルートを見つけて、迂回してレイゼやカティア達と合流したいところだが。
「ゼクードくん!」
「ん?」
思案に暮れる中、遠くまで足を運んでいたフランベールが手を振りながら呼んできた。
俺は彼女の元へ行き、そして目の前の光景に驚愕した。
人間の身長を優に越える巨大な洞窟の入り口がそこにあった。
※
『ラミナ! 起きろ!』
『なに、お兄ちゃん? フレシャが帰ってきたの?』
『違う。入り口に人間の気配だ』
『人間!』
『ランサとマシャドをやった奴らだきっと』
『そんな……ママを起こさないと!』
『やめろ! 母さんは疲れてんだ。オレたちだけでやるぞ!』
※
「これは!」
山の麓に隠れた大きな洞窟だ。
入り口に人工的なものはなく、自然にできた洞窟だとわかった。
覗いても中は暗く、松明の無いこの状況で入れるものではなかった。
「凄い大きな洞窟だよ。中に雪のドラゴンがいるかも」
「それは案外、間違ってないかもな」
洞窟の奥から冷気のような冷たい風が吹き出てきている。
「冷気が洞窟の中から逆流している。この雪の元凶はこの中かもしれない」
「どうするのゼクードくん? 二人だけで突入してみる?」
「ダメだ。危険過ぎる。中が暗らすぎて戦闘に向いてない。松明持ったまま戦闘なんて無理だ」
「それは……そうだね」
フランベールは弓使い。双剣使い。
両手を使う。
ゼクードもロングブレード使い。
こちらも両手を使う。
松明など持ってられないのだ。
「だろ? ここはいったん引いて、カティア達と合流して態勢を立て直す。雪のドラゴンの巣が発見できたのはデカい。なんとかここから奴を引きずり出して、仕留める。その作戦をみんなで考えよう」
「うん」
俺とフランベールは洞窟から身を引き、離れた。
結局、山頂を越えて反対側に行かねばならなくなったが、仕方ない。
そう割り切って溜め息を吐くと、背中がピリピリと痺れた。
「ゼクードくん!」
「ああ、来るぞ!」
背後から迫る
俺とフランベールは振り返り、武器を展開!
刹那、二つの影が飛び出て来た!