【書籍化】S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった 作:ミズノみすぎ
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………………ッ!
「ブッハァアアアアッ! はアアああああ! あ、危ねぇ! 花畑が見えちまった!」
ようやく止まった雪崩の中から、俺は上半身だけ脱出して起き上がらせた。
くそ!
妙な胸騒ぎがしたのはこれだったのか!
大きく息を吸い、肺に空気を送った。
そして俺はすぐに周りを見渡す。
カティアたちがどうしても心配だった。
みんな無事なのか!?
しかし不意に何者かの影が俺を覆った。
その影は巨大で、人の物ではない。
俺は空を見上げた。
「ぁ……っ!」
灰色の空を舞っていたのは巨大なドラゴンだった。
漆黒の身体に氷の竜麟を纏ったドラゴンで、それは俺の真上を飛んでいた。
氷で形成された翼は大量の冷気を放ち、周囲の温度を劇的に下げている。
見たこともないドラゴンだ。
デカイ……頭から脚まで15メートル以上はある様に見える。
まさかあいつが、雪のドラゴン?
その雪のドラゴンと思わしき竜は、半身が雪に埋まったゼクードには気づかず、そのまま東へと飛んで行った。
おい待てよ!
あの方角は【シエルグリス王国】じゃないのか!?
まさか襲撃するんじゃ!?
まずい!
早くローエたちを助け出して救援に行かないとレイゼたちが危ない!
「ぶっっはああああ! はああああ! し、死ぬかと思いましたわ! お花畑が見えましたわああああ!」
素晴らしいタイミングで、遠くでローエが雪の中から飛び出して来た!
良かった無事だった!
「ぶっはぁああああ!」
「うお!? カティア!」
今度は近くでカティアが出てきた。
「くそ! 妹たちが手を振っていたのに! 川を渡ろうとしたら父上に蹴られた! 何故だ!」
それ渡っちゃいけない川だったんだよ!
クロイツァーさんナイス!
あとはフラン!
フランは!?
まさか!
「ブッハァアアアアッ! もういい加減にして! 身体冷やさないでって言ってるのにバカアアアアアアアアア!」
良かった生きてた!
雪崩にめっちゃキレてるけど気持ちは分かる。
妻たちの安否を確認し、他の女騎士たちを探したら彼女たちもすぐに自力で雪崩から這い出てきた。
人数も合う。みんな無事みたいだ。良かった。
それにしても頼もしい女性たちである。
あの雪崩で犠牲者ゼロというのは凄まじい幸運だ。
「みんな無事だな!」
俺の掛け声に皆が視線を寄せてくる。
「さっき雪のドラゴンが俺たちの上空を飛んでいた! まっすぐ【シエルグリス】の方角に向かっていた! 走るぞ!」
一方的に言い放って、俺は返事も待たずに全力疾走した。
胸騒ぎが止まらないのだ。
この雪崩じゃない。
義母さんと姉さんが危ない!
これが俺の胸騒ぎの正体だろう。
だから俺は走った。
ローエたちに速度など合わせずに、ただひたすらに全力で。