【書籍化】S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった   作:ミズノみすぎ

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第17話【幸福過ぎて怖い】

「それじゃあ隊長。ごきげんよう」

「ごきげんよぉ~」

 

 朝食を終えて、騎士学校までの道のりを共にしたローエさんと別れた。

 ここに来るまでの間に何人かの生徒たちに目撃され驚かれていた。

 

 それもそのはずだろう。

 女騎士というそもそも騎士学校に希少な女性という存在。

 しかも誰が見ても美人なローエさん。

 さらに彼女はもっと希少な【S級女騎士】。

 そんな凄い女性を隣において楽しく雑談しながらの登校。

 

 思春期の男子にとって、いや世界中の男にとってこれほど自慢できるシチュエーションはあるまい。

 実際に他の男子生徒たちへの優越感は半端じゃなかった。

 

 学校の校門前でローエさんを見送ってから俺も先へ進もうとした時、いきなり目の前が真っ暗になった。

 

「のっ!?」

「だ~れだ?」

 

 おお!

 この優しいとろんとした口調は!

 そしてこのふにふにすべすべの手は!

 

「俺の優しい担任フランベール先生ですね?」

「うふふ、正解。ありがとう」

 

 なぜか嬉しそうに言いながらフランベール先生は俺の目を解放してくれた。

 そのまま先生は俺の隣にやってきて微笑む。

 

「ローエさんといっしょに登校するなんて、凄く仲良くなれたみたいね」

 

「いやぁ~ははは、そのローエさんから白パンとか頂いちゃって申し訳ないくらいなんですけどね」

 

「へぇ~、あのローエさんから白パンを。それは良かったねゼクードくん」

 

「はい! 昨日の夜なんかカティアさんが【ドラゴンステーキ】焼いてくれて【ドラゴンバーガー】食べました!」

 

「あらカティアさんまで?」

 

「そうなんですよ! カティアさん料理上手くてびっくりしました!」

 

 言うとフランベール先生はクスクスと笑った。

 可愛いこの笑顔をよ。

 

「ふふふ、ゼクードくんったら隅(すみ)におけないね。もうローエさんとカティアさんの心を開かせた感じ?」

 

「いえ、あの二人はきっと俺に同情してくれたんだと思います。なんか家の中をチラチラ見てたし、両親がいないことを察してくれていたみたいなので」

 

 でなければ毎日料理を作りに来るなんて提案は出さないはずだし。

 

「それはあるかもしれないけれど、それだけじゃないと思うよ? だってゼクードくんカッコいいしね」

 

 はい来ましたこれ!

 男が世界で一番女性に言われたい言葉一位『カッコいい』。

 なんか頬を少し赤くしながら言ってくれるフランベール先生が本気で可愛いんだが!

 

「いやぁ照れますよ~褒めすぎですって~先生」

 

「わたしももう少し歳が近ければゼクードくんにアタックしてたんだけどなぁ」

 

「え!?」

 

「うん。それくらいカッコいいって意味」

 

 どのみち嬉しかった!

 

「なるほど! ありがとうございます! いやでも歳が近ければって、俺と先生ってたった4つしか離れてませんよね?」

 

「うん」

 

「それくらいならどうってことないじゃないですか」

 

「んー……そぉかな?」

 

「そぉですよ。だって10歳離れた夫婦だっているくらいですし、4つくらい別にって思いますけど?」

 

「んーでも教師と生徒の関係よぉ?」

 

「いやいや、今は隊長と部下の関係でもあるじゃないですか」

 

「ぁ、そっか」

 

「そうですよ。だから先生も遠慮せず俺に恋のアタックを仕掛けてください! 受け止めますよ俺!」

 

「うふふ、じゃあローエさんとカティアさんに負けないよう、わたしも頑張ってみようかな」

 

「ぜひぜひ!」

 

「ゼクードくん。今日のお昼は空いてるかな? いっしょに昼食を食べない?」

 

「喜んで!」

 

「ありがとう。嬉しいわ」

 

 や、やった!

 なんか流れでフランベール先生と二人で昼食の約束ができた!

 夜はカティアさんと、朝はローエさんと、そして昼はフランベール先生と。

 

 なんだろう。

 なんか本当に俺の春がやってきた気分だ。

 こんな立て続けに美女といっしょに食事が出来るとは。

 

 やばい怖いな。

 自分の幸福っぷりが怖い。

 

 

「よぉゼクード。おはよう」

「おはようグリータ」

 

『一年Aクラス』の教室にて、俺は友達であるグリータと挨拶を交わした。

 いつもと変わらないクラスの光景だが、今日は言わねばならない。

 

「みんな! 悪いけど席についてくれ! 大事な話がある!」

 

「なんだなんだ?」

「どうしたんだ?」

「何事だ?」

 

 クラスメイトたちはいろいろ言いながらもすぐに席についてくれた。

 

「みんな……」

 

 俺は教卓の前に立ってグリータやクラスメイトたちを見渡す。

 俺が真面目な話をしようとしているのを察してくれたらしいクラスメイトたちは、息を呑んで俺の次の言葉を待っている。

 

 そして俺は今の心情を素直に告げた。

 

「俺、近々ホントに死ぬかもしれない!」

 

「いや何があった!?」

 

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