【書籍化】S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった   作:ミズノみすぎ

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第168話【その涙に偽りなし】

 カチンとロングブレードを納めたカーティスがこちらにやって来た。

 

「大丈夫ですか?」

 

 やはり敬語でカーティスはカティアに言った。

 

「ぁ、ああ……助かった。ありがとう」

 

 戸惑いを隠せないでいるカティアはなんとかそれだけ返した。

 俺も兼ねて御礼を言う。

 

「ありがとなカーティス。お前めちゃくちゃ強いな! ビックリしたぞ!」

 

「ぃ、いえ! あなたほどでは……」

 

 俺の言葉にカーティスは驚き、頬を赤くした。

 誉められて嬉しいのだろうか?

 

 厳格そうな雰囲気は祖父のクロイツァー譲りだが、まだカーティスは可愛いげがある気がする。

 

「おいゼクード。説明しろ。彼はいったい……何者なんだ?」

 

 さて、ここからが問題だ。

 どうやってカティアに説明しよう?

 

 変にごちゃごちゃ言うより、ハッキリ言ってしまった方がいいかもしれないな。

 

「カティア……落ち着いて聞いてほしい。彼は【カーティス・フォルス】。俺とお前の息子だ」

 

「……? ……お前は人をからかってるのか? カーティスがこんなに大きいわけないだろ。あの子はまだ一歳だぞ」

 

「からかってないよ。俺たちはどうにも18年もの間、氷漬けにされてたみたいなんだ」

 

「そんなバカな……そんなことが!?」

 

「気持ちは分かるよカティア。だけど本当なんだ」

 

 俺はカティアに説明した。

 お互い知らないはずのローエやフランベールの名前を知っていたこと。

 グロリアとレミーベールの事も知っていたこと。

 カティアのフルネームを知っていたこと。

 

 すべてカティアに説明した。

 

「──じゃあ彼は……本当に、私たちの?」

 

 未だに信じきれていないカティアだが、その瞳は揺れていた。

 開き切ったライトブルーの瞳を見返し、俺はしっかりと頷く。

 

「ああ。俺たちの息子だ。本当にカーティスなんだよ」

 

 言われたカティアは、カーティスに向き合った。

 

「カーティス……」

 

 息子の顔を見つめ、ゆっくりと歩み寄る。

 

 息子の目の前でカティアは立ち止まった。

 

 手をそっと上げて、息子の頬を撫でようとする。

 

 しかし……何故か震えているカティアの手は、いったん下がった。

 

 それでももう一度、カティアの手は震えながらも上がった。

 

 指先がソッとカーティスの頬に触れて、それは徐々に……優しく息子の肌を撫でていく。

 

「母さん……」

 

「……カーティス」

 

 カーティスは抵抗せず、カティアの手を受け入れていた。

 フと気づけばカティアの手に、カーティスの手が重なる。

 頬を撫でる母の手をキュッと握り、カーティスの肩が震えていた。

 

「!」

 

 頬を伝う涙が、カティアの手を濡らす。

 そこで初めて、俺とカティアは息子が泣いていることに気づいた。

 

「生きてて……生きてて本当に良かったです……父さん、母さん……っ!」

 

 その息子の涙が、カティアにとって本当の決定打になった。

 

 嘘や偽りで、こんなにも大量の涙を流せるだろうか?

 

 大の男が、こんなに本気で泣けるだろうか?

 

「カーティス……っ!」

 

 カーティスの気持ちを感じたらしいカティアが歯を食い縛り、ついに涙を決壊させた。

 カティアは息子を強く抱き締め、彼の肩で涙を流した。

 カーティスも母を強く抱き締める。

 

 妻と息子の嗚咽を聞き、俺も気がつけば泣いていた。

 溢れ出る涙は、しばらく止まらなかった。

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