【書籍化】S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった 作:ミズノみすぎ
カチンとロングブレードを納めたカーティスがこちらにやって来た。
「大丈夫ですか?」
やはり敬語でカーティスはカティアに言った。
「ぁ、ああ……助かった。ありがとう」
戸惑いを隠せないでいるカティアはなんとかそれだけ返した。
俺も兼ねて御礼を言う。
「ありがとなカーティス。お前めちゃくちゃ強いな! ビックリしたぞ!」
「ぃ、いえ! あなたほどでは……」
俺の言葉にカーティスは驚き、頬を赤くした。
誉められて嬉しいのだろうか?
厳格そうな雰囲気は祖父のクロイツァー譲りだが、まだカーティスは可愛いげがある気がする。
「おいゼクード。説明しろ。彼はいったい……何者なんだ?」
さて、ここからが問題だ。
どうやってカティアに説明しよう?
変にごちゃごちゃ言うより、ハッキリ言ってしまった方がいいかもしれないな。
「カティア……落ち着いて聞いてほしい。彼は【カーティス・フォルス】。俺とお前の息子だ」
「……? ……お前は人をからかってるのか? カーティスがこんなに大きいわけないだろ。あの子はまだ一歳だぞ」
「からかってないよ。俺たちはどうにも18年もの間、氷漬けにされてたみたいなんだ」
「そんなバカな……そんなことが!?」
「気持ちは分かるよカティア。だけど本当なんだ」
俺はカティアに説明した。
お互い知らないはずのローエやフランベールの名前を知っていたこと。
グロリアとレミーベールの事も知っていたこと。
カティアのフルネームを知っていたこと。
すべてカティアに説明した。
「──じゃあ彼は……本当に、私たちの?」
未だに信じきれていないカティアだが、その瞳は揺れていた。
開き切ったライトブルーの瞳を見返し、俺はしっかりと頷く。
「ああ。俺たちの息子だ。本当にカーティスなんだよ」
言われたカティアは、カーティスに向き合った。
「カーティス……」
息子の顔を見つめ、ゆっくりと歩み寄る。
息子の目の前でカティアは立ち止まった。
手をそっと上げて、息子の頬を撫でようとする。
しかし……何故か震えているカティアの手は、いったん下がった。
それでももう一度、カティアの手は震えながらも上がった。
指先がソッとカーティスの頬に触れて、それは徐々に……優しく息子の肌を撫でていく。
「母さん……」
「……カーティス」
カーティスは抵抗せず、カティアの手を受け入れていた。
フと気づけばカティアの手に、カーティスの手が重なる。
頬を撫でる母の手をキュッと握り、カーティスの肩が震えていた。
「!」
頬を伝う涙が、カティアの手を濡らす。
そこで初めて、俺とカティアは息子が泣いていることに気づいた。
「生きてて……生きてて本当に良かったです……父さん、母さん……っ!」
その息子の涙が、カティアにとって本当の決定打になった。
嘘や偽りで、こんなにも大量の涙を流せるだろうか?
大の男が、こんなに本気で泣けるだろうか?
「カーティス……っ!」
カーティスの気持ちを感じたらしいカティアが歯を食い縛り、ついに涙を決壊させた。
カティアは息子を強く抱き締め、彼の肩で涙を流した。
カーティスも母を強く抱き締める。
妻と息子の嗚咽を聞き、俺も気がつけば泣いていた。
溢れ出る涙は、しばらく止まらなかった。