【書籍化】S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった   作:ミズノみすぎ

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第179話【ついに帰還】

「お父さん。今回はどう見てもお父さんの勝ちだから、約束どおりアタシとレミーがデートしてあげる」

 

「お、素直だな。負けをちゃんと認めるところもお母さん譲りかな?」

 

「そうなの?」

 

「ああ。カティアとローエも最初はツンツンだったけど、実力を見せたらちゃんと認めてくれた。ああいうのって、プライドが邪魔してなかなかできないからな。大したもんだよ」

 

「父さん! さすがです!」

 

 遠くからやってきたカーティスが尊敬の眼差しでこちらにやってきた。

 

「おお、カーティス」

 

「病み上がりでこの動き。やはり父さんは凄いですよ!」

 

「はは、誉めすぎだよ。任しとけって」

 

 息子に持ち上げられて悪い気はしない。

 憧れの英雄としての動きに不満はなかったようで安心した。

 父親としての面子も守られたってわけだ。

 

「グロリア。レミー。ケガはないのか?」

 

 ついでのようにカーティスが言う。

 

「大丈夫よ」

「なんでアタシたちだけケガの心配すんのよ!」

「自分の腕に聞くんだな」

「このっ! ムカつく~っ!」

 

 言うだけ言って去っていくカーティスに、グロリアはギリギリと歯軋りした。

 そんな妹にレミーベールは苦笑する。

 

「まぁまぁ……お母さんたちも見てくれた?」

 

 言いながらレミーベールが振り返った。

 あとからやって来たカティアたちがそこにいた。

 

「ああ。見ていたぞ。大したものだ」

 

 腕を組んで感心するカティアに、隣ではローエが腰に手を当てて驚く。

 

「ほんと凄いですわ。二人ともそんな細腕なのに、どこにあんなパワーを隠してますの?」

 

「いやローエさんがそれ言う?」

 

「え?」

 

 フランベールの言うとおりだ。

 しかも『え?』って、自覚ないんかい。

 ローエもその細腕で超重量のハンマー振り回してるくせに。

 

 といってもみんな普通の女性よりかは腕太いんだよな。やっぱり鍛えてるからそのぶんはどうしても太くなる。

 健康的で俺は好きだが。

 まぁいいや。

 そんなことより。

 

「それより二人とも変わった技を使っていたな。あれはなんだ?」

 

「お父さんの【竜斬り】をアレンジしたものよ。今度教えてあげよっか?」

 

 アレンジ?

 派生させたってこと?

 凄いな……

 

 良いものを見せてもらったよ。

 さすが俺の娘たち。

 やり方は何となく見てわかったから、今度やってみよ。

 

「じゃあ……デートの時にご指導願おうかな」

 

 その『デート』という単語に妻たちがワザとらしい溜め息を吐いてきた。

 

「やれやれ……娘とデートの約束とはな」

「ほんっと好きですわねあなたも」

「まぁゼクードくんらしいけどね」

 

 やっぱり怒ってこないなぁ。

 ヤキモチのひとつでも焼いてくれれば可愛いのに。

 

「ほら見ろカーティス。ヤキモチ焼くお母さんたち可愛くない?」

 

「い、いきなりオレに振らないでくださいよ!」

 

「阿呆。誰が今さらヤキモチなんか焼くか。子供じゃあるまいし」

 

 カティアが呆れながら言う。

 ジトッとした目付きで睨まれるが、逆に可愛い。

 

「年齢的にはカティアまだ子供じゃん? 未成年」

 

「お前よりは大人だ」

 

「たった2年じゃんか」

 

「一番ガキじゃないか」

 

「一番ピチピチなんだよ〜。ほら触ってみカティア? 君より2年も若い柔肌よ?」

 

 頬を差し出すとツネられた!

 

「いたたたたたたたたた! ごめん! やめて!」

 

 そんな両親の子供みたいなやりとりを見ていたレミーベールがクスリと笑った。

 

「ふふ……お父さんとお母さん達って、夫婦って言うより友達みたいね」

 

「だから上手くいってるのかな?」

 

 グロリアの問いに、レミーベールは頷く。

 

「きっとそうよ。仲良しなのよ。楽しそうだもん。みんな」

 

 

 日が沈み始めた夕方に、俺たち【フォルス隊】は実に18年ぶりの帰還を果たそうとしていた。

 草原のど真ん中に立つ重厚な城壁が見えたのだ。 

 

「見えてきましたよ。【エルガンディ王国】です」

 

 ついに見えた故郷だ!

【ヨコアナ】ではない本物の故郷!

 心臓が高鳴り、グリータの顔が脳裏によぎった。

 

「おおおおおおおおおおおおおお! 懐かしいな! 城壁が直ってる!」

 

 思わず声を大にして言ってしまっていた。

 嬉しすぎるのだからしょうがない。

 

「あそこにレィナたちもいるんだな!」

 

 カティアも気分の高ぶりが声で窺えた。

 彼女もやはり嬉しいらしい。

 

「はい! きっとお喜びになると思います!」

 

 カーティスが頷き、

 

「いや絶対にパニックになるって」

 

 っとグロリアが突っ込む。

 

 しかし冷静な息子娘らに反して、親である俺や母親たちは興奮の嵐だった。

 

「早く行きましょう! リーネに会えますわ!」

 

「うん行こう! リリー姉さんにも会える!」

 

「ちょっとお母さん! 走っちゃダメよ! お腹に赤ちゃんいるんだから!」

 

 レミーベールが念を押すが、ローエたちは「わかってますわ」と言いながら小走りだった。

 俺もすぐに後を追う。

 

「俺もまずはグリータに会いてぇな」

 

 誰に言うのでもなく、俺はそう呟いた。

 そのあとは国王さまやガイスさんとか。

 挨拶回りが大変だなこりゃ。

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