【書籍化】S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった   作:ミズノみすぎ

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第180話【友との再会】

 18年ぶりの【エルガンディ】への帰還だが、俺的には2年とちょっとぐらいの気分だ。

 おそらくローエ・カティア・フランベールも同じ感覚だろう。

 どのみち懐かしいことには変わりない。

 

 眼前まで迫った城壁は、平地に沿って広域に築かれている。

【第一城壁】だったか?

 人々の生活を守る最初の壁だ。

 

 そしてそこにはアーチ状の門があった。

 ドラゴンの攻撃にも耐えうるための重厚な鉄の門である。

 

 俺たちが門に近づくと、城壁の上にいる一人の男が胸壁から顔を出してきた。

 門番の騎士みたいだ。

 それに合わせるようカーティスが俺たちの先頭に立つ。

 

「偵察に出ていたカーティス・グロリア・レミーベールだ。帰還した。門を開けてくれ」

 

「そいつらはなんだ?」

 

 門番が俺やローエたちを見て怪訝な顔をした。

 鎧を見て分かってくれないかと淡い期待をしたが、その前にカーティスが口を開く。

 

「18年前に全滅認定された【フォルス隊】だ。生きていたんだ」

 

 んーいやカーティス……いきなりそんなこと言っても信じてもらえないと思うぞ?

 

「18年前? ……カーティスお前なに言ってんだ急に?」

 

 ほらやっぱり。

 でもこの場合なんて言えば良いんだろ?

 

「どうした?」

 

 城壁の奥からまた誰かの声が聞こえた。

 

 ん?

 

 今の声……あいつに似てた気がする。

 もしかして……まさか……グリータ!?

 

「あ、グリータ団長。なんかカーティスが【フォルス隊】とか言ってます」

 

 グリータ!?

 団長!?

 やっぱりさっきの声はグリータなのか!

 

「【フォルス隊】?」

 

 胸壁から覗くように身を乗り出してきたグリータと俺は目が合った。

 

 グ、グリータだ!

 

 一目ですぐに分かった。

 齢三十を迎えたと分かる顔には若き日の面影が残っていた。

 しかし頼りなさげだったあの親友は今では妙な貫禄を備えた顔つきになっている。

 

 その貫禄ある顔をこれでもかと崩壊させて眼を全開にしてきた。

 

「ゼ……ゼ、ゼクード!? おま……ゼクードなのか!?」

 

 グリータは胸壁から落ちそうになるほど身を乗り出してきた。

 近くの門番騎士に身体を引っ張られなんとか落ちずに済んでいる。

 

 俺も一瞬言葉を失いかけたが彼が危ないくらい驚愕してくれたおかげで逆に冷静になれた。

 

「ぉ、おお! グリータ……なのか?」

 

 手を振って18年ぶりに言葉を交わす。

 

「え、ちょっと、お前! なんで!? 生きてたのか! 今まで何してたんだ! っというかお前老けてなくないか!?」

 

「待て! 待て! 落ち着けグリータ!」

 

「落ち着けるか! お前ホントにゼクードか!? 若すぎるだろ!」

 

 やっぱそこを突かれたか。

 

「ゼクードだよ! お前はお前で貫禄だらけの顔になってるな!」

 

「しょ、証拠を見せろ!」

 

「は?」

 

「お前がゼクードだっていう証拠を見せろ! じゃないと門は開かん!」

 

 どうやら親友は歳と共に少々疑り深くなったみたいだ。

 いや、団長と呼ばれていたから立場的な問題か。

 若い姿のまま帰還した俺をすんなり信じれるわけないよな。

 

「そ、そんな叔父さん! 父さんは本物のゼクード・フォルスですよ!」

 

 叫んだカーティスを俺は片手で制した。

 俺はカーティスより前に出て上のグリータを睨む。

 

「……いいんだなグリータ?」

 

「?」

 

 グリータの顔が怪訝に染まる。

 俺の存在を信じさせるだけなら、カーティスたちよりグリータの方がよっぽど楽だ。

 

 なぜなら、俺とグリータにはカーティスたちには無い【思い出】話があるからな。

 

「おまえ昔……C級騎士のくせして俺の真似してA級ドラゴンに挑んだよな?」

 

「!」

 

「ゼクードに狩れるならオレだって! とかなんとか言って返り討ちにあったよな? 俺が助けに入った時にはもうズボン食い破られててケツ丸出しで逃げ回って──」

 

「ああああああああああああああああああああああ! やめろ! なんでお前そのこと知ってんだ! ま、まさか本当にゼクードなのか!?」

 

「だからそう言ってんだろ! まだあるぞお前の秘密! 俺たちオリジナルのカードゲームでお前は自分好みの可愛い女騎士カード作ってたよな! めちゃくちゃボインの女騎士!」

 

「おいやめろ! やめろ! 待て! わかったから! 今開けるから! おい!」

 

 グリータが門番に声を掛ける。

 

「え? ぁ、はい! 開門!」

 

 嫌な視線がグリータに集中する中、門が音を立てて開いていく。

 

「あったなぁ……そう言えばそんなこと」

 

 俺の背後でフランベールが懐かしむ。

 そんな彼女の隣に立つカティアが口を開いた。

 

「フランも知ってるのか?」

 

「担任だったから」

 

「あぁ……」

 

 そう言えばそうだったとカティアは納得した。

 そして門が開くとグリータが城壁から降りてきて俺の元へ駆けつけてきた。

 

 青いサーコートを羽織り、黄金の鎧を身に纏っている。

 黄金の鎧ってことは、グリータのやつ総司令になったのか!?

 凄い出世したなあいつ!

 

 でも団長って呼ばれてなかったか?

 なんでこんな門のところに?

 

「ゼクード!」

 

「グリータ!」

 

 立派な騎士になったグリータが、俺の足を凝視してきた。

 

「足は……あるな」

 

「だからオバケじゃねぇよ!」

 

 俺は思わず突っ込んだ。

 まだ信じてないんかい。

 

「グリータくん!」っとフランベールも前に出てきた。

 

 グリータは彼女を見て俺の時よりも目をギョッとさせた。

 どうやら俺しか見えてなかったみたいだ。

 

「せ……先生! 先生もご無事で! え……先生も……歳……とってません?」

 

「うん。実は──」

 

 フランベールはグリータに事の顛末を説明した。

 

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