【書籍化】S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった   作:ミズノみすぎ

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第195話【受け継がれる力!】

 ゼクードの一回戦が終わった。

 国王は練兵場を一望できる特等席でそれを眺めていた。

 さすがはゼクードという他なかった。

 

 18年氷漬けにされても腕は鈍ってはいなかった。

 これなら安心だ。

 アスレイの代でも、ゼクードは大きな力になってくれるだろう。

 

 あとはカーティスとゼクードの戦いを見届けたい。

 きっと死んでも記憶に残る戦いになるだろう。

 せめてそれだけは見届けてから死にたいものだ。

 

「父上!」

 

 席の後ろからアスレイがやってきた。

 近衛騎士がサッと席にアスレイを誘導し隣に座らせた。

 

「おおアスレイ。どうだ? ゼクードは凄かっただろ?」

 

「す、凄かったです……何をされたか、まったく分かりませんでした……」

 

「うむ。分かったならよい。ゼクードはお前の大いなる力となるだろう」

 

「は……」

 

「私もな……あの男が居なければあの時、決断できなかった」

 

「え?」

 

「【エルガンディ】を一度棄てた時の話だ。ゼクードが居たから反撃の希望を持てた。だから私も国を棄てることができたんだ」

 

「そんなに……」

 

「アスレイ……お前は運が良い。あれほどの騎士が、今は二人もいるのだからな」

 

「……カーティスの事ですか?」

 

 国王は頷く。

 

「そうだ。あの二人がいればきっと、人類に困難はあれど敗北はない」

 

 

 カーティスは練兵場へと上がった。

 対戦相手が向かいに立ち、審判騎士が真ん中に立つ。

 

『さぁ両者出揃いました! 左サイドに立つのは【東の領地】のSS級騎士! ローグ!』

 

 観客たちが沸き起こり、ローグと呼ばれた騎士が豪快に手を振る。茶髪の男だが、こいつはアスレイ王子と同じく同世代の騎士である。

 

『右サイドに立つのは【南の領地】が誇る最強の騎士! カーティスだああああ!』

 

 審判騎士の言葉を待っていたかのように観客たちは歓声を上げた。

 そんな中、向かいのローグが口を開く。

 

「ようカーティス!」

 

「ああ」

 

「今日という今日はお前に勝つぜ! この英雄の剣【ハーズヴァンドオブリージュ】でな!」

 

 言いながらローグは背中のロングブレードを抜剣してみせた。

【ハーズヴァンドオブリージュ】と言えば、父さんが使っていた武器の名だ。

 リーネさんが初めてオリハルコンで錬成した名剣である。

 

 使用者の父さんがドラゴンとの戦いで無くしたと言っていたから、ここにそれがあるのはおかしい。

 

 おそらくローグの持ってるそれはただの長剣で、あいつが勝手に──

 

「──また名前を付けたのか……」

 

「ふ……お前の炎剣【グレンハザード】も決着をつけたいと言っているぞ」

 

「……そうか」

 

 ローグという男はこうなのである。

 人の武器にも勝手に名前をつける。

 はた迷惑な男なのだ。

 

 なんだグレンハザードって……

 

『さぁそれではトーナメント第1回戦を始めたいと思います! 両者! 構え! ……始め!』

 

 審判の片手が振り下ろされた!

 

「いいかカーティス! おれはお前を倒すために48個の技を考えてきた! 今からそれを見せ──」

 

 パキン!

 

「え?」

 

 ローグの肩当てが開始一秒で吹き飛んだ。

 カーティスはとうに彼の背後に回っている。

 ゼクードと同じようにすれ違い様に斬ったのだ。

 

 さっきの試合と何も変わらない一瞬の展開だった。

 

『そこまで! 勝者カーティス!』

 

 さすがに審判騎士の反応は早かった。

 彼もカーティスの実力を知っているから、すぐに決着がつくと分かっていたのだろう。

 

 観客たちが「さすが!」と期待通りの展開に声を弾ませた。

 だがローグ本人は。

 

「おぃいいいいい! 人が話してる時にいきなり攻撃すんなよ! マナー違反だぞ!」

 

「知るか」

 

 カーティスはカチンとロングブレードを納刀する。

 

「いやおれとお前の仲じゃねぇか!」

 

「それとこれと話は別だ」

 

「あーもう! せっかく48個も技を考えたのに! ぜんぶパァーじゃねぇか!」

 

「だったら狩りで使え」

 

 正論を叩きつけてカーティスは舞台を下りた。

 

 

「一瞬でしたね! さすがカーティスさんです!」

 

 観客席で眺めていたオフィーリアが嬉しそうに言う。

 すると隣のグロリアは溜め息を吐いた。

 

「アホのローグが相手じゃねぇ……」

 

 するとレミーベールも。

 

「まぁカーティスが相手じゃ仕方ないわ。強すぎるもの」

 

 レミーベールの言うとおり。相手が悪い。

 カーティスは強すぎる。

 ローグという騎士もSS級騎士らしいから、実力はかなりあるのだろう。

 

 いやもしかしたらSS級騎士もだいぶ増えてるから、その中でも強さにピンからキリまでの幅があるのかもしれない。

 

「SS級騎士ってたくさんいるんだな本当に。グロリアとレミーはどっちが強いんだ?」

 

 俺はなんとなく聞いたのだが……

 

「アタシ」

「ワタシ」

 

 姉妹そろって手を上げた。

 

「「は?」」

 

 気づいて、お互いに睨み合う。

 

「レミー……アンタみたいなゴリラにアタシが負けるわけないでしょ? 寝言は寝て言いなさいよ」

 

「ゴリラはあなたでしょ? ドアノブを息するように壊すくせに」

 

 !?

 ド、ドアノブを息するように壊す!?

 

「ぉ、おい……聞いたか?」

 

 俺は思わずカティアとフランベールに聞いた。

 妻二人はそろって頷く。

 

「親子そろってドアノブを壊すなんて……」

「血は争えんな……」

 

 フランベールとカティアがローエを見た。

 俺も見た。めっちゃ見た。

 破壊王の遺伝子を。

 

「こ、こっち見ないでくださる!?」

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