【書籍化】S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった 作:ミズノみすぎ
エルディン・ティミッド・エルガンディ
ここに眠る……
城の中庭に建てられた国王の墓には、そう刻まれていた。
国王の物だったらしいロングブレードが墓前に突き立てられている。
それに俺はアスレイ陛下と共に手を合わせた。
本当にこれでさようならだと、頭で思い改めてながら。
するとアスレイ陛下が振り返らず口を開いてきた。
「父上が言っていました」
「え……」
「生きている内にあなたと再会できて良かったと」
「そう、ですか……」
俺も……本当にそう思う。
つくつぐ自分の運の良さには感服する。本当に。
「ゼクード殿」っとアスレイ陛下は振り返ってきた。
「しばらくは未熟な自分が苦労を掛けるかと思います。どうかよろしくお願いします」
「もちろんです陛下。頼りにしてください。このゼクード……存分に力を振るいましょう」
自分でも不思議なくらいスラスラと言葉が出てきていた。
自分なりに責任を持てている証拠だろうか。
「ありがとうゼクード殿。……それから、この剣を」
アスレイ陛下は国王の墓前に突き立てられたロングブレードを引き抜いた。
「陛下!? なにを!」
「父上からの遺言です。この国王の剣【ブレイブエルガンディ】をあなたに託したいと……国を護るために使ってほしいと、仰っていました」
「国王さまが!?」
「はい。あなたは今、剣を失っているそうですね。ならばこれを新たな相棒として使ってやってほしい」
国王さま……
「ありがとうございます陛下。国王さまの御厚意……ありがたくお受け致します」
差し出された長剣を受け取り、俺は背中にカチンと納めた。
【ブレイブエルガンディ】……【勇敢な王国】か。
悪くない銘だ。
「ゼクード!」
いきなり静寂をぶち破って来たのはグリータだった。
血相を変えて中庭に駆けてくる。
王の墓前で失礼だが、何やらトラブルが起きたらしい。
グリータの顔でなんとなく分かった。
「グリータ!? どうしたんだ?」
「はぁ、はぁ、ア、アスレイ陛下!? と、突然のご無礼を御許しください!」
俺しか見えていなかったらしいグリータがアスレイ陛下に頭を下げた。
もちろんアスレイ陛下は首を振る。
「よい。それよりどうしたのだ?」
「は! 今日帰還するはずの【レグナ隊】と【リイド隊】が帰還せず……何かがあったのだと!」
【レグナ隊】と【リイド隊】?
それって確か……『レグナ』はグリータとレィナの息子さんで、
『リイド』はグリータとリーネの息子さんだったはず。
その二人の部隊が帰還してないって!
「それ、本当なのか!?」
聞きながら俺は嫌な汗が額を濡らすのを感じた。
レィナとリーネの顔が脳裏に浮かんだからだ。
「本当なんだ! 頼むゼクード! レグナとリイドの救援に向かってくれ! お前なら! 【フォルス隊】なら!」
「落ち着けグリータ! 【フォルス隊】はダメだ。カティアたちが妊娠してる。無理はさせられない」
「あ……」
どうやらグリータも思い出したらしいが、それでも冷静になれたわけじゃない。
息子二人の安否が分からないんだ。
冷静になれというのが無理だろう。
「グロリアとレミーを連れていく。お前はとにかく何とか自分を落ち着かせてレィナとリーネに説明するんだ」
「ぁ、ああ……すまん……」
「ゼクード殿! カーティスも連れて行った方が成功率は上がります!」
アスレイ陛下が言ってきた。
が、俺はそれを否定する。
「いえ、カーティスはここの守りについてもらいます」
「え!?」
「国王さまならそうしたはずです」
「!」
「俺もカーティスに残ってもらった方が安心して外に出られます」