【書籍化】S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった   作:ミズノみすぎ

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第227話【まさかの!?】

 レィナに相談したことによって、俺の胸の内は軽くなった。

 正直……日記に関しては本気で迷っていた。

 見せなくていいと、知らなくていいと限りなく思いながらも……心のどこかで見せた方がいい、知らせた方がいいと思う場面もあった。

 

 この日記には何も悪いことばかり書かれているわけじゃない。

 母親のオフィーリアに対する愛がわずかだがしっかり綴られている。

 あんな非道な父親の娘であるオフィーリアを、この日記の著者はちゃんと愛していたのだから。

 

 その母の愛を知ることがオフィーリアにとってマイナスになるとはどうしても思えない。

 この母の愛だけでも教えてやるべきではないだろうか?

 

 でも……どうやって?

 

『オフィーリアが一歳になった。おめでとう。愛してる』

 

 16ページ目のこの文だけ破って見せるべきか?

 でもそれでは薄っぺらい一文になってしまうだろう。

 あの文は、あの日記全てを見たからこそ分かる母の愛だ。

 

 良いところだけを見せても、なんの価値もない。

 でも全てを見せたら……オフィーリアは自分の姉と母の末路を知ることになる。

 

 ……そんなところで引っかかって、俺はグルグルと迷っていた。

 答えが出ずに困っていたから、レィナに相談し、見せないという答えをもらってやっと落ち着いたところだ。

 

 グロリアとレミーベールにも日記の事を説明し、オフィーリアには黙っているよう告げた。

 そしてまだオフィーリアが起きる前に……みんなの前で例の日記を燃やした。

 

 パチパチと弾ける焚き火の中で、日記は炎に包まれていく。

 

 まるでエリザの最後のように。

 

 

 見張りは仲間に任せ、俺はテントで先に休ませてもらった。

 ありがたいが、よりによってオフィーリアの寝ているテントだった。

 

 日記を燃やした後でオフィーリアの顔を見るのは少し胸が傷んだ。

 こちらの解釈で勝手に家族の遺産を燃やしたようなものだから、少し……いやかなり負い目は感じている。

 我ながら女々しいったらありゃしない。

 

 俺は頬を掻いてから一息ついて、オフィーリアの隣で横になった。

 彼女は寝ているのかすら分からない顔でスースーと寝息を立てていたが、いきなりニヘヘと顔を笑わせてきた。

 

「カ~ティスさ~ん……」

 

 ……寝言だ。

 どうやらカーティスとの夢を見ているらしい。

 幸せそうで何よりだ。

 

 おかげでさっきまで感じていた負い目もかなり薄まった。

 安堵していると、オフィーリアは俺の方を向いてきた。

 

「おはようございますカーティスさん……」

 

 あれ?

 オフィーリアちゃんもしかして起きてる?

 俺カーティスじゃないけど。 

 

「目覚ましの熱いチューを~」

 

 オフィーリアが俺に向かって唇を突き出して迫ってくる!

 

 待て待て待て待て待て!

 完全に寝ボケてる!

 いやまだ夢の中なのか!?

 

 どっちにしろマズイ!

 起きて避けねば!

 っと思ったがガシッと肩を掴まれた!

 

「ま、待てオフィーリアちゃん! 止まれ! それはカーティスのためにとっとけ!」

 

 焦りのあまり叫んでオフィーリアの顔を手で押し返した。

 

「むぐっ!? ──うぇ?」

 

 ようやくオフィーリアの動きが止まった。

 どうやら今ので目覚めたらしい。やっぱり夢の中だったのか。

 オフィーリアはムクリと起き上がり辺りを見渡す。

 

「ぁれ……? カーティスさんは?」

 

「カーティスはここには居ないよ」

 

「え? ……あ、お父様」

 

「おはよう。身体は大丈夫かい?」

 

「はい。まだ節々痛みますが、だいぶ楽になりました」

 

「なら良かった。待ってて。いま何か飲み物もらってくるよ」

 

 

 テントの中でエールを渡すつもりだったが、オフィーリアはテントから出てきた。

 外の夜風に当たりたいらしく、焚き火を囲って話すことにした。

 

 ちょうど見張り役のグロリアとレミーベールもそこにいて、オフィーリアが出てきたことに驚く。

 

「オフィーリア! アンタもう大丈夫なの?」

 

 グロリアに言われ「はい、なんとか」と苦笑するオフィーリア。 

 

「無理しちゃダメよ? ほら、ここに座って」

 

「ありがとうございます」

 

 レミーベールに促され、オフィーリアは丸太に座った。

 そして俺はエールを渡す。

 

「無事で良かったよ。今まで何があったか覚えているかい?」

 

 操られている時の記憶は……たぶん覚えていないだろうと踏んで聞いてみた。

 エールを一口飲んだオフィーリアは、とても申し訳なさそうに顔を曇らせた。

 

「はい……全部、覚えています」

 

「!?」

 

 予想外すぎる返答に俺は言葉を失った。

 グロリアとレミーベールも。

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