【書籍化】S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった   作:ミズノみすぎ

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第231話【カミングアウト!!】

「と、父さん!」

 

 城門を抜けた先。

 石畳を蹴って出迎えてくれたのは息子のカーティスだった。

 何故かは知らないが眼をギョッとさせている。

 

「おお! カーティス! ただいま!」

 

「お、おかえりなさい……です。ど、どうされたんですか!? 鎧がボロボロですよ!? あなたほどの方がいったいどうして!?」

 

 あ……そうだった。

 今回は外傷だけなら俺が一番ひどいんだった。

 忘れてた。

 

「あーこれ? ちょっと股間に攻撃くらっちゃってさ~、悶えてる間にボコボコ被弾しちゃった。はははは」

 

「こ、股間に!? 大丈夫なんですか!?」

 

「大丈夫大丈夫。まだ子作りはできる!」

 

「いやそういう意味では……まぁ、本当に大丈夫そうですね」

 

 なんとか納得してくれたようだ。

 良かった。

 すると俺の背後から凄まじいスピードでオフィーリアが出てきた。

 

「カーティスさあああん!」

 

「オフィーリアか。おかえり」

 

「ただいまです! わたしが居なくて寂しくなかったですか?」

 

「いや、べつに」

 

 おいおいカーティス……そこは寂しかったって言ってやれよ……

 まったく……カーティスはまだまだ

 

「わたしは寂しかったです!」

 

 オフィーリアちゃん素直!

 

「そうか。父さん達の足は引っ張らなかったろうな?」

 

 ドキッ! っとオフィーリアが全身を石のように固くした。

 冷や汗を流し、どう答えるべきか焦っている。

 周りのグロリアやレグナたちも答えづらそうにしているので、俺は口を開いて代弁した。

 

「ぜ~んぜん大丈夫。オフィーリアちゃんは優秀だったぞ。さすがSS級騎士って感じ」

 

 みんなの驚く視線が集中する気配を感じた。

 一番驚いていたのはオフィーリアで。

 

「お父様……」っと俺を見つめてくる。

 俺は笑ってそれを返事にした。

 任務は成功した。みんな生還した。なんの問題もないからな。

 

「なら良かった。まぁお前は努力家だからな。オレとしては正直……グロリアとレミーの方が心配だった」

 

「なんでよ!」っとグロリア。

 

「すぐ感情に流されて無茶をするからな。特にグロリア」

 

「アンタね! 姉が疲れて帰ってきてんだから説教じゃなくて労いの言葉くらい掛けたらどうなのよ! アンタそーいうところホント気ぃ利かないんだから!」

 

「おつかれ」

 

「棒読み過ぎ! ムカつく!」

 

 そんなカーティスとグロリアのやりとりを笑っていると、また遠くから凄まじい勢いで走ってくる人影が見えた。

 

「レミーさぁあああああん!」

 

 まさかの一国の王様だった!

 

「アスレイ陛下!?」

 

 レミーベールが驚愕し、目の前にやってきたアスレイ陛下を凝視する。

 

「いや~無事に帰還されて良かった! お怪我などはありませんかレミーさん?」

 

「ええ、大丈夫です。お気遣い感謝します。陛下」

 

「良かった……本当に良かった。私はもう心配で心配で夜も眠れませんでした。レミーさんにもしものことがあったら私は……」

 

 ぉ、おお……アスレイ陛下もしかしてレミーベールのことを!?

 

「ふふ……優しすぎですよ陛下は」

 

「いえいえそんなことは──」

 

「アスレイ陛下! ここにおられたか!」

 

 またまた街の奥から騎士が現れた。

 

「! しまった見つかったか! ではレミーさん! また今度、お食事でも共に!」

 

「御待ちなさい陛下! えぇい速い! 逃げ足は父親譲りか!」

 

 愚痴りながら逃げたアスレイ陛下を追い掛けていく騎士。

 その光景を見送ったレミーベールは笑った。

 

「ふふ……アスレイ陛下って本当に優しい方よね。ワタシみたいな一般の騎士を心配してくれるなんて」

 

 んー、どうやらレミーベールは気づいてない様子。

 一国の王様が誰よりもまず自分を心配し、真っ先に声を掛けてきた時点で気づきそうなものだが……どうにもうちの娘は鈍感らしい。

 

「ありゃ完全に恋してるな。どうするよレミー?」っとレグナ。

 

「え? なにが?」

 

「いやなにがって……アスレイ陛下がお前に恋してたらどうするって」

 

「プッ! ふふ……っ! レグナってほんとそういう話に繋げるわね。陛下ほどの方がワタシなんか見るわけないじゃない」

 

 おぉ……あんな露骨な好意なのに気づかないとは。

 

「鈍感」っとみんなしてレミーに言った。

 

「な、なによみんなして!?」

 

「ゼクードくーん!」

「「ゼクードォオ!」」

 

 !?

 こ、この声は!

 

 俺は胸の奥が高鳴った!

 声の方に振り向けば、そこには小走りで駆け寄ってくる愛妻たちの姿が!

 

「ローエ! カティア! フラン!」

 

 嬉しさが爆発して思わず走り出した。

 何日ぶりだろう。

 会いたかった!

 

「ぉ、おいリイド! あれ!」

「前に会ったお姉さん達だ!」

「ゼクード~って言ってるけど……なんで?」

「さ、さぁ? ……え? もしかして……」

 

 そんなレグナとリイドのやりとりを後ろから眺めるレィナは笑いを堪えた。

 俺はそんなことも気づかずに愛妻たちの元へ駆け寄って先頭のローエに抱き付いた。

 

 グロリアと同じ匂いのする柔らかく暖かい肢体を俺は包んだ。

 ローエもしっかりを俺を抱きしめ返してくれた。

 

「会いたかったですわゼクード! お帰りなさい!」

「ただいまローエ! 俺も会いたかったよ! ほんっと寂しかった!」

 

 素直に気持ちを伝えて、当然のようにキスをする。

 どこかで驚愕している男性の気配を感じたが、今の俺にはどうでも良かった。

 

 柔らかいローエの唇を堪能した俺は、今度はカティアに振り向く。

 

「お疲れ様。ゼクード」

「ありがとうカティア。ほら! せっかくだしギュッてしよう!」

「ぁ、ああ……」

 

 少し照れながらカティアは抱擁に応じてくれた。

 暖かい体温を感じながら、やはり当然のように口づけを交わす。

 この抱き締め合いながらのキスは良い……全てが癒されていくようだ。

 

「お帰りゼクードくん! わたしもギュッとして!」

「ただいまフラン! へへ、まかせろ!」

 

 最後はフランベールと抱き締め合い、ローエとカティアと同じようにキスを交わした。

 仲間が見ていようが御構い無し。

 嬉しくてどうでも良かった。

 

 この感触……この優しい匂い……この暖かい肌触り。

 この三人がいる場所こそ俺の居場所だ。

 

「あ~熱い熱い」

「見せつけてくれるよね~」

 

 グロリアとレミーベールが苦笑する。

 

「お父様とお母様たちは本当に仲良しなんですね。ハーレムなのに凄いです」っとオフィーリアが羨ましがる。

 

「ああ、そうだな。……? どうしたレグナ、リイド?」

 

 カーティスは隣でわなわなと震えるレグナとリイドに気づいた。

 二人は目を限界まで開き、目の前の光景に震えていた。

 

「……あれなに? どういうこと? なんであんなイチャイチャしてんの? めっちゃ抱き合ってんだけど? めっちゃキスしてんだけど?」

 

 レグナが冷や汗ダラダラにしながら言った。

 カーティスは怪訝な顔をして答える。

 

「いや……べつに不思議じゃないだろ? 父さんたちは夫婦なんだし」

 

「夫婦!?」

「え、結婚してんのあの人達!?」

 

「なんだ知らなかったのか? あの赤い騎士は俺の母さんだ。緑の騎士はグロリアのお母様。青の騎士はレミーのママだ。みんな家族だ」

 

「か……かぞ……家族!?」

「え……グロリアのお母様? てことはあの緑のお姉さん……僕の叔母ちゃん!?」

 

 レグナとリイドがこれでもかと驚愕した。

 後ろでレィナが必死に笑いを堪えていたが、ついにレグナとリイドがそれに気づいた!

 

「おいババァ! なに笑ってんだ! さては知ってたな!」

「酷いよ義母さん!」

 

「あ──おっかしい! お腹痛い! 自分の叔母に恋するなんて! 間抜けすぎ! あ──はっはっはっ! お父さんとリーネに教えよ!」

 

「おい待て! ふざけんなクソババァアアアアアア!」

「僕の純情返してえええええええええええええええ!」

 

 笑い泣きして走るレィナと、本気泣きで走るレグナとリイド。

 仲睦まじい親子の疾走劇はしばらく続いたとかなんとか。

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