【書籍化】S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった 作:ミズノみすぎ
「えぇ……じゃあゼクードさんは?」
「父さんなら今【シエルグリス】にいる」
「【シエルグリス】!? それ本当か!?」
「ああ」
「そっかぁ……」
なんの偶然か。
あの伝説の英雄がまさに今【シエルグリス】にいるなんて。
いつ会いに行こうかと悩んでいた矢先にこれだ。
これはもう母と妹に会いに行けという父のお告げだろうか?
「そう言えば」っとカーティスが思い出しを口にする。
「お前の母と妹がいるんじゃなかったか?【シエルグリス】」
「なんで知ってんだ?」
「自分で言ってただろう」
「あれ? 言ったっけ?」
「言ってたよ。なんで会いに行かないんだ? 居場所は分かっているのに」
「いや、だって、おれまだお前に勝ててないし……」
これは嘘の理由だ。
本当は、どんな顔して会えばいいのか分からないんだ。
母はおれを歓迎してくれるのだろうか?
父の話では母リベカは、男性に対して冷たいと言っていた。
『息子のお前なら会ってくれるはず』と父は言っていたが、果たしてどうだろうか?
どうにも不安が拭えない。
「なんでオレに勝たなきゃ会いに行けないんだ?」
「あ、いや……死んだ親父の願いでな。強くなったらお母さんと妹の力になってやってくれって。だから最強のお前に勝てれば文句無しに胸を張って会いに行けるだろ?」
我ながらよく口が回る。
カーティスに勝ちたい気持ちはもちろんあるが、それとこれとは話が別だ。
「ローグ。お前はもう十分強い」
「強くねーよ。この前だってお前に瞬殺されたじゃねーか」
「当たり前だ。オレに勝てるのは父さんだけだ」
「ハ、ハッキリ言うねお前……」
グゥの音も出ないけど。
「ふん。だがローグ。お前はもっと自信を持っていい。SS級騎士の中では上位の10位以内に入っている」
「なんだ上位って」
「騎士たちの間で噂される裏のランキングみたいなヤツだ。いま言われているSS級騎士の上位は上からレグナ・アルベール・リイド・ローグだ」
おれは4位か。
凄いのか中途半端なのかよく分からんな。
「へぇ~、そんなランキングあったのか。知らんかった。ふ……おれの48……あ、間違えた。58個の技を持ってすれば当然の順位だな」
「お前の名前だけの技はともかく……他人の評価は案外と正当でな。オレもこの上位陣のメンツは妥当だと思っている」
珍しいこともあるもんだ。
あのカーティスが認めているなんて。
これはこれで本当に誇って良いことなのかもしれないな。
「なんで上位は男ばっかりなのよ! アタシは? レミーは? オフィーリアは?」
ドアノブを直し終えたらしいグロリアがカーティスに噛み付いてきた。
「知らんな。名前すら聞かん」
「なんでよぉおおおおおおおおおお! アタシだって頑張ってんのに! ローグより下なのアタシ!? 嘘でしょ!?」
「ふ、グロリア……お前には技が足りないんだ。おれが13個ぐらい技を教えてやろうか?」
「うっさい!」
「……とにかく、上位陣の中でもお前は一番若いし、それでこの実力なら十分に誇っていい。会いに行ったらどうだ? 母と妹に」
一番若い、か。
15歳で上位なら確かに誇ってもいいんだろう。
同い年でカーティスレベルのネオとかいう化け物もいるが、まぁそれはそれだ。
「そうか。じゃあもう……会いに行っても大丈夫か」
「ああ大丈夫だ。それに……親に会えるなら早く会っておいた方がいい」
そのカーティスの言葉には重みがあった。
そうだった。
カーティスは昔、本当の両親がいなかったんだ。
今でこそ帰ってきたが、それはただ奇跡的なことで、本当なら有り得ないこと。
会えるなら早く会っておいた方がいいというカーティスの言葉も、彼の過去を鑑みれば当然の言葉だった。
そうだな。
何を迷ってるんだおれは。
起こってもない現実に悩むくらいなら早く会いに行って反応を見た方が早い。
「そうだな……ありがとなカーティス。おれ【シエルグリス】に行ってくるよ」
「ああ。気を付けてな」
※
『おい母さん。変な奴が来てるぜ』
『どうしましたゲイル? 変な奴とは?』
『あそこにいる黒い奴だ』
『あら? 見たことないドラゴンですね。彼はいったい?』
『あいつがよ、やたらしつこくてよ』
『しつこい?』
『母さんの声が気になるんだとよ』
『え? 私の声ですか? もしかして先程の歌を聞いて影響を?』
『しらね。おいお前!』
『……』
『こんにちは。私はリイスと申します。あなたは?』
『……』
『おいてめぇ! 母さんが名乗ってんだぞ! てめぇも名乗れよ!』
『……ナイトだ』