【書籍化】S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった 作:ミズノみすぎ
ローグは【東の領地】の領主に外出の許可をもらった。
【シエルグリス】へ向かうための準備を整え、戸締まりをし、馬を連れて城壁のゲートへ向かった。
「よーし準備万端! 行くか!【シエルグリス】!」
ローグがそう意気込み、馬に乗ろうとした。
すると背後から声が。
「ああ! 行こうぜ【シエルグリス】!」っとレグナ。
「僕たちも準備は出来てるよ!」っとリイド。
「行きましょう!【シエルグリス】!」っとグロリアの声。
「みんなで行こう【シエルグリス】!」っとレミーベールまで。
いつの間に背後に。
しかもみんな馬に乗っていてローグについていく気満々だった。
「……いや、お前ら何してんだ?」
「バーカお前知らねぇのか?【シエルグリス】には女騎士がたくさんいるんだぜ?」
「そうそう。出会いを求めるには最適の場所だよ~」
意気揚々と告げるレグナとリイドに、向かいのグロリアが鼻で笑った。
「バァア~ッカじゃないの? アンタらなんか誰も相手にしないっての!」
「オメェに言われたくねぇんだよこのゴリラ女! オメェらこそ何しに付いてくんだよ!」
「誰がゴリラよ! ぶっ飛ばすわよ! アタシは暇だから行くの!」
理由が酷いグロリアの言葉にレミーベールが「え?」っと目を丸くした。
「『やっぱ妊婦のお母さん達が心配だから迎えに行こう』って言ってなかった? だからワタシも来たのに」
「い、言ってないし! やめてよ! なんかアタシがマザコンみたいじゃない!」
「いや、今のそれマザコンって言わねぇだろ? なぁ?」
レグナに聞かれ、ローグも「うん」と同意する。
「妊娠してるお母さんが心配なだけだろ? 普通だろそれ?」
「え……そ、そう? いや、この歳でお母さんお母さんって、なんか、その……そんな目で見られるかと思って……」
「お前やっぱ頭悪いだろ?」っとレグナ。
「ああん!?」
グロリアがレグナを睨み付けると、次の瞬間には「レミーさぁあああああああん!」っというバカでかい声がゲートにこだました。
走ってやってきたのはこの国のトップであるアスレイ陛下だった。
彼はまっすぐ走ってレミーベールの元へ。
「アスレイ陛下!?」
「やっと見つけましたレミーさん! こ、これからご一緒にお食事などいかがでしょうか!」
いきなりデートの御誘い!?
こんな場所でよくやる。
レミーベールは馬に乗っているから、今からどこかへ行くのなんて人目見れば分かるだろうに。
「あ……申し訳ありません陛下。ワタシはこれから【シエルグリス】に行って両親を迎えに行かなければいけません」
「そ……そうですか」
ここで一度は落ち込むアスレイ陛下だが、すぐに回復してシャキッとする。
「て、では帰って来てから今一度、ご検討をお願いできますか?」
「え?」
「わ、私は! レミーさんと共に御食事がしたいのです!」
「は、はぁ……帰還してからなら、大丈夫です」
「本当ですか!」
「はい。お約束致します」
「おお! よかった! 御待ちしておりますレミーさん!」
心底嬉しそうにアスレイ陛下は去って行った。
彼の背を見送り、見えなくなると──
「ぃやったああああああああああああ!」
──という歓喜の叫びが聞こえた。
一国の王が凄まじいテンションである。
先代国王がお亡くなりになられてからしばらく元気がなかったと聞いてるが、今ので回復してると分かった。
めちゃくちゃ元気である。
「すっげぇアプローチ……アスレイの奴……本気で攻めて来てるな」
「陛下をつけなよレグナ。主君に失礼だよ」
リイドに叩かれるレグナ。
そのコンビの前で悩むのはレミーベールだった。
「……なんでワタシなのかな?」
不意に放ったレミーベールのその一言にローグたちの視線が集中する。
「最近……ワタシもアスレイ陛下の事をよく考えるの」
その一言にローグ・レグナ・リイド・グロリアが目を合わせて驚愕した。
おそらくみんな同じ事を思ったに違いない。
あの鈍感レミーがついにアスレイ陛下を意識し出した! っと。
「それでね。一つ分かったんだけど、アスレイ陛下はきっと友達が欲しいんだと思うわ」
みんなの顔が一気に崩れた。
あんなアプローチをされてなんでそうなる?
「だって城には歳の近い人間があんまりいないじゃない? だから──」
「お前も鈍感という名のバカだな」
レグナにそう指摘され「へ!?」っとレミーベールは本気で困惑する。
ローグは溜め息を吐き、付き合ってられないと馬を駆った。
「あ~! ローグが行っちゃったよ~!」
「ちょっと待ちなさいよアンタ!」