【書籍化】S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった   作:ミズノみすぎ

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第249話【父】

【シエルグリス】にミオンが帰還したのは、ちょうど昼に差し掛かってからだった。

 

 母の帰還をずっと門の付近で待っていたネオは、外傷のないミオンを見て安堵する。

 しかし連れの仲間が見当たらない。

 三人ほど連れていたと聞いていたが、まさか……

 

「ミオン様! お疲れ様です!」

 

 門番の女騎士二人に敬礼され、ミオンは「お疲れ」と敬礼を返した。

 

「あの……レマさんたちは?」

 

 恐る恐る門番が聞くと、ミオンは顔を曇らせる。

 

「ごめん……みんなやられたの。生き残ったのはアタシだけ」

 

「な! そんな! レマさん達が!?」

「精鋭ですよ!? なんで……」

 

「……新種のドラゴンに襲われたの。とんでもない強さだったわ。数は4体。女王様へ報告に行くわ」

 

「は……はっ!」

 

 門を潜ったミオンと、その先で待っていたネオは、ついに視線が重なった。

 ミオンは驚いたのか、目を少し大きくした。

 

「……」

「……」

 

 束の間の沈黙。

『おかえり』『ただいま』……そんな親子なら普通に交わすであろう挨拶もせず、ミオンはネオから視線を外して城へと歩き出す。

 

「咆哮の正体はその新種の4体だったのか?」

 

 呼び止めるようにネオが聞くと、ミオンは足を止めた。

 

「……4体の内の1体。早急に対処しないと危険だわ。A級ドラゴンの数も前より増えてた。あいつら仲間を集めて【シエルグリス】を襲うつもりなのかもしれない」

 

「なら僕が行く」

 

「な! 何言ってるの!? 一人じゃ危険よ!」

 

「早急に対処しないと危険なんだろ?」

 

「パッと見ただけでも数は100を越えてたわ! そのどれもが強い個体かもしれない! いくらアンタでもやられるわ!」

 

「僕をあんたら凡人と一緒にしないでもらおうか?」

 

 口をついて出てしまった。

 あれだけゼクードに仲間を見下すなと注意されたのに。

 内心後悔したが遅く、目前のミオンはギリッと拳を握り締めた。

 

「あんた……っ!」

 

 今にも殴ってきそうな怒気を発している母だが、自分より弱いと分かっている相手に怖がる道理はなく……ネオは後には引けぬ思いで口を開いた。

 

「僕が居たらその新種の4体。その場で狩り尽くしてやったのにな。残念だ」

 

「……」

 

「そうすれば連れの仲間が死ぬこともなかったろうに」

 

 この一言は完全に余計だった。

 次の瞬間にはミオンに頬を殴られ、ぐらりと倒れそうになる。

 しかし踏ん張って前を見ると、そこには何かに驚愕しているミオンがいた。

 

 人を殴っておいて何に驚いているのか?

 その答えはすぐにわかった。

 ネオを殴ったのはミオンではなく、突如として現れたゼクードだったからだ。

 

「この大バカ野郎! なんでお前はそんな言い方しか出来ないんだ!」

 

 今までとは桁の違う本気の怒声だった。

 あのゼクードが本気で怒っている。

 さすがのネオも全身が戦慄した。

 人間相手にここまでビビったのは正直初めてである。

 

 ゼクードはネオの胸ぐらを掴んで引き寄せた。

 

「仲間を見下すのはやめろって俺はそう言ったよな! こんなことを続けてたら誰もお前を助けてくれなくなるって!」

 

「そ、それは……っ!」

 

 口が滑っただけ……なんて言い訳が、今ここで通用するはずもない。

 

「何度も同じ事を言わせるな!」

 

 ゼクードに本気で怒鳴られ、突き放されたネオは地面に尻餅をついた。

 

 怖かった……自分より強い相手だからだろうか?

 

 父親のいないネオには未経験に近い恐怖だった。

 突き放された今でも身体が小刻みに震えている。

 

「あの……」っとミオンが声をかけ、振り返ったゼクードがお辞儀する。

 

「あ、お久しぶりですミオンさん! 無事で良かったです!」

 

「……誰?」

 

「え!? あ! 覚えてませんか? ゼクードです! 姉さ──レイゼ女王の弟です!」

 

「レイゼちゃんの弟?」

 

「思い出しました?」

 

「ううん。全然」

 

「そ、そうですか……」

 

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