【書籍化】S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった 作:ミズノみすぎ
そしてミオンはレイゼに報告したい事があるからと城へ向かった。
もちろん俺もネオも彼女について行ったのだが、その道中で交わした言葉は一切ない。
唯一した会話と言えば「女王様は?」「城にいる」のみ。
あとは地獄のような重苦しい沈黙が続いた。
ネオとミオンに何かがあった事は承知の上だが、これほどまでにピリピリした空気になるとは思わなかった。
これが母子の関係なのか?
カティアとカーティス。
レィナなレグナ。
リーネとリイドなど、それぞれの母子関係は見てきたが、こんなに険悪ではなかった。
むしろ母は息子を思い、息子も母を大事にしている。
雰囲気でもそれが分かるほどに。
だがネオとミオンはあまりに違いすぎる。
一緒に歩いてるのに会話どころか視線すら合わせない。
一緒に居るのが苦痛という感情さえ伝わってくる。
今さっき口の悪いことを言ったネオのせいもあるだろうが……
「ミオンさん。あの、昔……18年くらい前に【雪のドラゴン】って奴がいたのを覚えてます?」
なんとか間を取り繕おうと俺は話題を振った。
ミオンは怪訝な顔で振り向き「覚えてるけど」っと素っ気なく返してきた。
【雪のドラゴン】の事は覚えてるのに俺の事は忘れてるという悲しい事実が発覚したが、今はどうでもいい。
「その【雪のドラゴン】と相討ちになって、俺は氷漬けにされたんです。そして解けて目覚めたら18年経ってました」
そう説明したが、当のミオンは頭のてっぺんに?が浮かんでいた。
何度か目をしばたたかせ「それで?」っと返された。
「あ、いや……あの時のまんまなんですよ俺。氷漬けになってたから、肉体の老化は免れたみたいで……」
「そう」
「ミ、ミオンさんも変わってませんね。お、おいくつでしたっけ?」
女性に年齢を聞くという【女性想い】にはあるまじき行為をしてしまった。
この重苦しい空気のせいで俺は俺こそ一番パニックになってると今さら気づいた。
怒られるか? と身構えたが、今の場合はむしろ怒ってくれた方がなんか助かるかもしれない。
そう思ったのだが……
「39」
まったく意に介してないように自分の年齢を打ち明けてきた。
そしてミオンの実年齢に俺は本気で驚いた。
どう見ても20代にしか見えない容姿で、老いなんてまるで感じさせない肉体をしている。
騎士だからしっかり鍛えているというのもあるのだろうが、それにしては若々しい。
肌の張りなんてうちのローエたちとまったく差がない。
とても40を迎える女性には見えない。
レイゼといい、リベカといい、ミオンといい……
何食ったらあんなに若さを維持できるのだろう?
「さ、39!? とてもそうは見えないですよ! ミオンさんめっちゃくちゃ若々しくて綺麗ですよ!」
本心からそう言ったのだが。
「そう。ありがとう」
ミオンは興味なさそうにそれだけ返して視線を前に向けた。
そこで会話は終わり、また重苦しい沈黙が街中に蔓延した。
またか……と溜め息を吐きそうになる。
「変な気は使わなくていいですよ。ゼクードさん」
後ろのネオに言葉で叩かれ、俺は彼の方を見た。
「無理に他愛のない話をする必要はないでしょう」
「あんた敬語使えたのね」
まさかのミオンからの一言だった。
しかしネオは怯まない。
「使う相手を選んでいるだけだ」
「あっそう」
いやいやいやいやなんだよこの会話。
本当に親子の会話なのか?
今にもケンカが始まりそうな雰囲気だよ。
別に母親に敬語を使えとは言わないけど、ネオはやっぱり口が悪すぎる。
でもミオンもミオンで素っ気ない態度が多い。
なんで旦那さんは何も言わないんだ?
……いや、待てよ?
もしかして旦那さんはいないのかも。
ミオンも前の世代の人間だ。
男性には良い感情を持ってないだろうし、子供だけ作って結婚はしてないってパターンなのかも。
あのリベカもそんな感じだったし、有り得ない話ではない。
だが、それはそれでともかく。
一番分からないのは、なぜネオとミオンはこんなにも仲が悪いのだ、ということだ。
理由が分からない。
何が原因でこの二人はこんなにも険悪になってしまったのだろうか?