【書籍化】S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった   作:ミズノみすぎ

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第255話【制空権】

 道中のキャンプを経て、ローグたちは早朝すぐに【シエルグリス】へと向かっていた。

 もうすぐ母と妹に会えると心が高鳴る。

 しかしそれも不安と期待とが入り交じっていて複雑だったりする。

 

 どんな顔して会えばいいか?

 未だに悩んでいる。

 まぁ、会えばなんとでもなるだろう。

 そう自己完結させた時、隣で馬を駆るグロリアが叫んだ。

 

「……! ねぇ! あれ見て!」

 

 ようやっと見えてきた【シエルグリス】だが、そこは黒煙が上がっており、ただならぬ事態が起こっていることを安易に想像させた。

 

 ローグ達が走る街道の先にはA級ドラゴンの群れが【シエルグリス】の部隊と戦っている。

 しかしA級ドラゴンの死体が山ほどある。

 残っているのは数十体のみ。

 

 どう見ても人間側が優勢だった。

 ではなぜ街から黒煙が?

 

「なんだ? A級ドラゴンの群れ? でも勝ってねぇか?」

 

 レグナが言うとレミーベールが【シエルグリス】に指を差した。

 

「よく見て! 街から黒煙が上がってるわ!」

 

「空からも攻撃されてるみたいだよ! きっとS級ドラゴンだ!」っとリイド。

 

「おいおいマジか! またかよ!」

 

 レグナが言って、ローグは心臓が激しく脈動し始めた。

 城壁越しから戦塵が舞い上がる光景を見た。

 

 街中にドラゴンが侵入してる! 

 母さんと妹が危ない!

 

「みんなスピードを上げろ! 街へ入る!」

 

 確信したローグは手綱を引き馬を走らせた。

 先行したローグに続いてレグナたちも加速する。

 

「待てよローグ! 街に入ってどーすんだよ!」

 

 レグナの問いは愚問だった。

 どう見ても優勢な外でのあの戦闘に加勢するよりも、どうなってるか分からない内部を見た方が良いに決まってる。

 

「戦塵が見えた! ドラゴンは中にもいる! そこに加勢するんだ!」

 

「マジか! わかった!」

 

 思ったよりもすぐに順応したレグナはローグに追従する。

 

「お母さん……無事でいて!」

「急ぎましょう!」

 

 グロリアとレミーベールの呟きを聞きながら迂回し、外での戦闘に巻き込まれないよう【シエルグリス】の門へと入ってい行った。

 

 

 圧倒的優勢で、もはやA級ドラゴンの残りは数十体。

 あとはネオに任せておけば大丈夫だろうと、ゼクードはフと門を見た。

 

「!?」

 

 そこには馬で門に入っていくグロリアとレミーベールが見えた。

 レグナやリイドたちもいる。

 

「グロリア? レミー? どうしてここに?」

 

 理由は分からないが、確かに娘二人がレグナ・リイド・ローグを連れて【シエルグリス】へ入っていたのを見た。

 城にいる妻たちが心配だったが、助かった。

 グロリアとレミーベールに任せよう。

 

 そう思った瞬間に、その【シエルグリス】の門が巨大な火球によって破壊された。

 

「なっ!?」

 

 見れば緑のドラゴンが翼を羽ばたかせ、こちらへ来ていた。

 

 奴の攻撃で門が破壊され、国の出入口は炎の上がる瓦礫の山と化した。

 

 退路を断たれた……というより街への救難を妨害された、と見るべきか。

 

 幸いにもレグナやリイド・ローグたちが入っていくのも見えたから、彼らが居れば中は大丈夫だろう。

 

 俺は近くで魔法の弾幕を貼るネオやミオンに習って【ダークマター】を撃った。

 しかし緑のドラゴンは速く、舞うように攻撃の全てを避けられた。

 

「くそ! こいつ!」

 

 速い……なんて飛行能力だ。当てられない。

 こっちの射程内まで降りてきたと思えばこれか。

 地上にさえ落とせれば勝機はあるのに!

 

 そこで俺は気づいた。

 味方の女騎士たちが魔法を撃っていない。

 ミオンと数名しか撃っていない。

 

 それを見て俺はようやく思い出した。

 女性は基本的に魔法は使えない。

 地上だけの弾幕では圧倒的に手数が足りなかった。

 

 しかしバリスタや大砲が届く距離でもない。

 嫌な位置を陣取られている。

 

 このままじゃ一方的だ。

【魔法大砲】で撃ち落としてくれれば勝てるのに。

 だがこんな速いヤツにどうやって当てるんだ?

 

 当てれるほどの狙撃主が【シエルグリス】にいるのだろうか?

 フランベールならあいつを撃ち落とせるかもしれないが、弓とは勝手が違う【魔法大砲】でフランベールが力を発揮できるのだろうか?

 

 なんにせよレイゼたちが今【魔法大砲】の用意をしているはず。

 それまでこいつはこっちに引き付ける!

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