【書籍化】S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった   作:ミズノみすぎ

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第265話【ネオVSナイト】

 雷を食らって尚も生きている『人型ドラゴン』。

 しかしダメージそのものは深刻のようで、目に見えて明らかに動きが鈍くなっていた。

 

 それに気づいたのは今まさに戦っているネオと、見ているミオンのみだった。

 

 だが、それでも『人型ドラゴン』の動きは尋常ではなく、ようやくネオと互角になったレベルだった。

 

 相変わらずミオンは何一つ出来ていない。

 息子ネオと『人型ドラゴン』の超高速戦闘。

 その渦中に飛び込めず、無様にも圧倒され佇んでいる。

 

 腕が自分と違いすぎる……どうすればあの世界へ行けるの?

 

 私にできることって何? 何もないの?

 

 こんなバカみたいにボケッと突っ立って、ネオが苦戦しているのに援護の一つも出来ないなんて……

 

【シエルグリス】のナンバー2ってなに?

 

 なにがナンバー2なの?

 

 こんなの……いま周りで一緒に呆然としている味方騎士と変わらないじゃない。

 

 私は……私は何しに生まれてきたのよ!

 

「母さん!」

 

「っ!?」

 

 突如ネオに呼ばれ、ミオンはいつの間にか濡れていた頬を拭い顔を上げた。

 敵の攻撃を捌きながらネオは叫んできた。

 

「ゼクードさんを安全な場所へ! 頼む!」

 

 鬼気迫るネオの声音にミオンは慌てて「は、はい!」っと答えていた。

 それくらいネオの声には余裕が無かったのだ。

 

 ミオンはすぐさま倒れたゼクードの元へと走った。

 いつ攻撃がすっ飛んできて巻き込まれるか分からない。

 ここは狙われる可能性だってある距離だ。

 

 だからこそネオはゼクードを回収して欲しかったのだろう。

 

 ミオンはかなり熱くなっているゼクードをなんとか背中に抱え、走り出そうとしたその時!

 

「ぐあああああああああ!」

 

 ネオが目の前をすっ飛んで行った。

 あまりの勢いに城壁まで吹き飛び、叩きつけられ、城壁にヒビを入れた。

 ネオは大きく吐血し膝を着く。

 

「ネオ!」

 

 血を吐いた息子を目の当たりにして、ミオンは思わず叫んでいた。

 

 ミオンだって分かっていた。

 ネオがやられたら、もうあの『人型ドラゴン』に対抗できる戦力はない。

 

 ネオがやられたら【シエルグリス】は滅びる。

 皆殺しだ。

 自分の実力では『人型ドラゴン』を止めることはできない。

 

「ダメ! 走ってミオン! 敵が!」

 

 リベカの声が弾け、その時にはもう『人型ドラゴン』がミオンの目の前に現れていた。

 

「!」

 

 敵の爪が振り下ろされ、それはやたらゆっくりに見えた。

 爪はミオンの心臓を捉えており、もはや避ける間はない。

 

 敵の爪がミオンの胸に突き刺さるその瞬間。

 ネオの剣が飛来し、敵の腕に当たって進行を止めた。

 さらにもう一発の短剣が飛んできて『人型ドラゴン』はそれを片手で弾いた。

 

「お前の相手は僕だろうが!」

 

 頭から血を流したネオが怒声を発して突っ込んできた。

 投擲に使った二刀は拾わず、いつの間にか召喚していた【アイスソード】で斬り掛かる。

 

 ネオの斬撃を腕をクロスさせて受け止めたドラゴンは押されて草原をスライドしていく。

 ネオはありったけの力を込めて押し、ミオンから『人型ドラゴン』を遠ざけた。

 

 ネオ……!

 

 

 もう余力がない。

 全力で撃てるのはこれが最後だ。

 これで仕留められなければ負ける。

 出し切れ! 全てを! 

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

 

 声が枯れそうなほどに、全てを吐き出すかのようにネオは雄叫びを上げて押した。

 そして両目を開眼させ、剣を構える!

 

「【真・竜斬り・無限刃】!」

 

 敵を押し切った瞬間にネオは奥義を使った。

 六人の残像に分裂し『人型ドラゴン』に銀の電光石火が殺到する。

 

 上下左右の全方位から迫る音速の斬撃。

 その中心にいる『人型ドラゴン』を切り刻んでいく。

 だが敵も大人しく食らってはくれなかった。

 

 無数の斬撃を二本の腕で捌いてくる。

 あと少しのところで逸らされる。

 くそっ! 届け! 届け!

 

「あああああああああ! 届けえええええええええええええええええええええええ!」

 

 火花! 火花! 火花! 火花! 火花! 火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花火花!

 

 そして血!

 

 敵の脚に一刃の斬撃が届いた。

 その一発で態勢を崩した『人型ドラゴン』にネオはトドメを刺そうと踏み込む!

 

「おおおおおおおおおおお!」

 

 すると突如として火球がネオに飛来!

 

「な!? くっ!」

 

 ネオはこれを何とか斬って凌いだ。

 攻撃してきたのは『人型ドラゴン』の後ろに控えていたはずの【歌のドラゴン】だった。

 

 そいつはネオにブレスの弾幕を張り、負傷して膝を着いた『人型ドラゴン』を咥えて空へと上昇。

 瞬く間に見えなくなり、どこかへ去って行った。

 

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