【書籍化】S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった   作:ミズノみすぎ

27 / 448
第27話【S級ドラゴンVS女騎士たち】

 我が隊長であるゼクードを狙って、大量のA級ドラゴンが激進していく。

 なんて賢いドラゴンたちだろうと、ローエはそう思った。

 

 この群れを指揮しているらしいあのS級ドラゴンは先ほどの大咆哮でA級ドラゴンに指示を出したみたいだ。

 あの大咆哮のあとA級ドラゴンたちが揃ってゼクードを狙い始めたのだから間違いない。

 

 ゼクードはA級ドラゴンをそれこそ凄まじい速度で倒していたから、S級ドラゴンに危険だと判断されたのだろう。

 敵ながら賢明な判断だ。

 

 そのような【判断】が出来て【指示】を出せるS級ドラゴンはやはり並のドラゴンを遥かに凌駕している。

 知恵でも戦闘力でも。

 

「ゼクード隊長……」

 

 疾走しながら我知らず呟いたローエは、大量のA級ドラゴンに追われるゼクードを見た。

 足の速いゼクードだから追い付かれることはないだろうが、心配である。

 

 しかしその心配とは裏腹にゼクードは味方のA級騎士たちと合流し、反撃を開始した。

 その光景をしっかり見てローエは心の底から安堵する。

 

「来るぞ!」

 

 刹那に響いたカティアの声。

 迫りくる殺気を感知し、ローエはS級ドラゴンを見据えた。

 大口を開けたS級ドラゴンが白銀のブレスをローエに発射!

 

「くっ!」

 

 その弾速は一瞬で、ローエの反応でもギリギリだった。

 地面に着弾した白銀のブレスは大爆発を起こす。

 

「あぐっ!?」

 

 せっかく避けたローエだったが、背中にその爆風を浴びて前に転倒する。

 瞬時に受け身を取って立て直すローエだが、S級ドラゴンがすでに目前まで迫って来ていた。

 

 は、速い!

 

 その巨体に似合わぬとんでもないスピードだ。

 肉薄したS級ドラゴンは氷に覆われた爪をローエに振り抜く。

 その振りも恐ろしく速いがローエは爪と爪の間を狙って飛び、それを何とか回避する。

 

 爪を空振りさせたS級ドラゴンにローエはハンマーを握りしめ、もう片方の爪を狙って疾走。

 もともとS級ドラゴンの爪はローエの目的でもある。

 破壊して頂くまで!

 

「隙ありですわ!」

 

 ローエが吼える。

 しかしそれは逆だった!

 

 S級ドラゴンは空振りした勢いをそのままに全身を一回転させ、氷に覆われた尻尾をローエに向かって薙ぎ払おうとする!

 

 それは突進中のローエにはもはや避けられない。

 まさかの二段構えの攻撃だった。

 やられる! と直感して全身を強張らせたそのとき。

 

「ローエッ!」

 

 叫びながら駆けつけてきたのはカティアだった。

 彼女はローエの無防備になっている脇に割り込み、薙ぎ払われてくる尻尾を大盾で受け止めた。

 しかし!

 

「っ!? カティアさ──」

「ぐあっ!?」

 

 薙ぎ払われた尻尾の威力があまりにも大きすぎた。

 カティアはローエを巻き込んで吹き飛び、二人揃って地面を抉(えぐ)りながら倒れる。

 

 

「ローエさん! カティアさん!」

 

 仲間がやられてフランベールは思わず叫んでいた。

 S級ドラゴンの尻尾をくらって吹き飛ばされたローエとカティアは倒れて動かない。

 気絶したのか、それとも──

 

 フランベールは自分の周りが暗くなっていることに気づいた。

 S級ドラゴンの姿も消えている。

 

「──っ!」

 

 上だと気づいて咄嗟に大きくバックステップをした。

 落下と同時に振り下ろされたS級ドラゴンの爪がフランベールをギリギリかすり、代わりに地面を大きく抉りとった。

 

 危なかった。

 あと少し反応が遅れたら真っ二つにされていた。

 

 S級ドラゴンから少し距離をとり、すぐさま大弓による【アイスアロー】を敵の頭部に叩き込む。

 

 しかし【アイスアロー】は氷に覆われた頭部を貫通できず、すべて弾かれてしまった。

 

「硬いわね。なら!」

 

 剥き出しの腹部を狙うが、それよりも先に白銀のブレスが飛んできた。

 

「うっ!」

 

 身を捻って回避し、やはり地面に着弾したブレスは大爆発を起こす。

 爆風に押されて体勢を崩したが、フランベールは浮いた身体のまま大弓を構えて【アイスアロー】をS級ドラゴンの腹部に撃ち込む。

 氷に覆われていない腹部ならばダメージも通るはず。

 

 カキン!

 

「なっ!?」

 

 氷に覆われていない腹部でさえ【アイスアロー】は容易く弾かれた。

 見たところ竜鱗に覆われている部位でもないのに弾かれた。

 素の肉質が恐ろしく硬いのかもしれない。

 

 浮いていた身体を地面に着地させ、フランベールは急ぎ距離をとる。

 

 真上から降り注ぎ始めた氷山を回避しつつ、音速でとんでくる白銀のブレスを何とか凌ぎつつ、フランベールは大弓で応戦し続けた。

 

 どこを狙っても弾かれる【アイスアロー】に、フランベールは胸の奥が絶望に染まる感覚を覚えた。

 

 

「く、ローエ、大丈夫か?」

 

 ふらつきながら立ち上がるカティアに呼ばれた。

 

「ぇ、ええ、なんとか……」

 

 ローエも痛む全身を何とか立たせる。

 

「なら良かった。すまん、奴の攻撃を受け切れなかった」

 

「いいえカティアさん。助かりましたわ。本当にありがとう」

 

 あの尻尾の薙ぎ払い。

 直撃していれば死んでいたかもしれないのだから。

 

 とは言え、吹き飛ばされたダメージは大きい。

 頭がクラクラするし、全身の骨が軋んで痛い。

 

「それより、S級ドラゴンは……」

 

 言ってS級ドラゴンのいる方を見ると、フランベール先生がたった一人で敵と交戦しているのが見えた。

 氷山やブレスを回避しつつ【アイスアロー】を叩き込んでいるが、まるで効いていない様子である。

 

「なんて奴だ。どの部位に当てても弾かれている」

 

「行きましょうカティアさん! フランベール先生に加勢しますわ!」

 

「わかっている。奴の攻撃は強力だ。回避に重点を置いていくぞ!」

 

「そうですわね」

 

 ローエとカティアは武器をとり、S級ドラゴンと交戦するフランベールの元へ急いだ。

  

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。