【書籍化】S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった   作:ミズノみすぎ

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第283話【イチャイチャ】

 朝が来て【エルガンディ】の街並みに鳥がさえずり始める。

 

 夜では明るかった月も太陽の光には負けて、西側の空に浮かぶ。

 

 目を覚ましたカーティスは天井を見つめ、しばらくしてから身体を起こした。

 

 朝日が差し込む部屋を見てから数秒、隣で眠っている金髪の女性に気づいた。

 

 オフィーリアだ。

 彼女は幸せそうに寝息を立てている。

 

「……」

 

 昨日、自分は一人で寝ていたはずだと思い悩んで、やがてそんなことはどうでも良くなって、カーティスはベッドから降りた。

 

 今さらオフィーリアの不法侵入に突っ込む気すら起きない。

 いつもの彼女だと思えば可愛いものだ。

 鍵を掛けていたのにどうやって入ったのかは知らないが……そこは突っ込まないでおこう。

 

 オフィーリアに毛布を肩までしっかり被せてやってからカーティスは手と顔を洗い、服を着替えた。

 

 今日はガイスとリリーベールの息子であるアルベール・アルフェルドと、その部隊が帰還する。

 

 リングレイス方面の調査に向かっていた彼らの報告を聞かねばならない。

 

 ドラゴンゾンビの件でリングレイスの調査をしていた【アルベール隊】は、その時にとんでもない物を発見していた。

 

 それは【人間とドラゴンが争った痕跡】である。

 

 滅んで風化したリングレイスには似つかわしくない真新しい痕跡だったそうだ。

 その戦闘で使われたらしい矢や砕けた鎧の破片なども見つかっている。

 

 おそらくリングレイスの生き残りだろう。

 エルガンディと同じように【ヨコアナ】のような別の拠点を作って暮らしてるのかもしれない。

 

 できるなら接触して協力関係を築きたいと先代国王が仰っていたから【アルベール隊】に彼らの拠点の捜索任務が与えられた。

 

 リングレイスの更に奥へ向かった彼らはどんな情報を得て戻ってくるだろう?

 

 ほんの少しワクワクしている自分もいるが、エルガンディ以外の国には録なのが無いことも歴史として知っているため、微妙な気持ちもある。

 

 だから先代国王も『できるなら』と仰ったのだろう。

 

「ん……」

 

 鎧を装備し終えたところでオフィーリアが起きた。

 目を開けてるのか閉じてるのか分からないが、もぞりと動いて上半身を起こしてきた。

 

 インナー越しでも分かるほど大きな胸が露になって、カーティスは思わず目を逸らした。

 

「ぁ、おはようございますカーティスさん。起きてたんですね」

 

「おはよう。よく眠れたか?」

 

「はいとっても! やっぱりカーティスさんと一緒に寝ると凄くよく眠れるんですよ~」

 

 蕩けるような、幸せそうな口調でオフィーリアはそう言ってきた。

 そう言われて悪い気はしないが、確かに自分もよく眠れていた気がする。

 

 昨日の夜は思ったより冷えた。

 途中で温かくなってしっかり眠れたのはオフィーリアのおかげなんだろう。

 

 だが、悪いことは悪いと教えなくてはダメな気がする。

 せっかく起きたなら言っておこうか。

 

「そうか。だがなオフィーリア。断りもなく人の家に入るのは感心しないぞ。お前はもういつか母親になるんだ。不法侵入なんてこれっきりにしておけ」

 

「え!? 不法侵入じゃないですよ!」

 

「なに?」

 

「これ!」

 

 オフィーリアが取り出したのは一本の鍵だった。

 それはどう見てもカーティスの物と同じデザインで。

 

「合鍵です。もう夫婦みたいなものなんで作っときました!」

 

「……なるほど? 合鍵で入ったから不法侵入ではないと?」

 

「ぁ、いや……そう言うわけではないんですけどぉ……」

 

「オレに何の相談もなく勝手に合鍵を作ったんだな」

 

「そ、それはそのぉ……気持ちが、はやっちゃって……」

 

 問い詰められ、冷や汗ダラダラになってきたオフィーリア。

 そんな非常識なオフィーリアにカーティスは溜め息を漏らした。

 

「オフィーリア……」

 

「は、はい!」

 

「もう一度言うぞ? お前はもうすぐ母親になるかもしれないんだ。しっかりしろ」

 

「は、はい……ごめんなさい……です」

 

「分かればいい」

 

 険しい目付きを解除して、カーティスは優しくオフィーリアの頭を撫でた。

 撫でられたオフィーリアはカァッと頬を赤くして顔を蕩けさせる。

 

「……オレはこれから城へ行く。昼には戻ると思うから部屋の掃除と食事の用意だけ頼む」

 

「! は、はい! まかせてください!」

 

 自宅を任されたのがそんなに嬉しいのか、オフィーリアはこれ以上にないほど幸せそうに返した。 

 

 その屈託のない笑みにカーティスも満更ではない気分を味わった。

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