【書籍化】S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった   作:ミズノみすぎ

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第294話【圧力の根源】

 城門を潜った先は、建物が全てが焼け落ちていた。

 

 あれからかなりの日数が立っているはずだが、鼻を刺すような独特な臭いが立ち込めている。

 

 地面の至るところには焼き焦げた人骨が転がっている。

 

 それを見て「う……」っと後ろのグロリア・レミーベール・オフィーリアが口を押さえたが、カーティスは構わず先へ進んだ。

 

 アルベールの言うとおり大きな王国だったようだ。

 これほどの大きな文明がたった一匹のドラゴンによって焼き尽くされるとは。

 

 いったい、何人の人間が死んだのだろう。

 

 ……辺りに人の気配はまるでない。

 当然か。

 この惨状では人間の生存率などほぼゼロに等しい。

 

 どの人骨も城門へ向かって倒れている。

 逃げようとして逃げられなかった類(たぐい)の亡骸だろう。

 

 翼を持つドラゴンには城門など意味を成さない。

 上空から一方的にブレスを吐かれれば、人間はこうも弱いのか。

 

 狙われたのが【エルガンディ】だったならばと思うとゾッとする。

 

 カーティスは目を凝らし、辺りの様子を窺った。

 

 人の気配は感じないが、何やら異様な気配を感じる。

 なんだこれは……

 

「ねぇカーティス……なにか変な感じしない?」

 

 そう言ってきたのはレミーベールだった。

 どうやら彼女もこの王国に燻る異様な気配を感じ取っていたようだ。

 

「お前にも分かるかレミー。これは何かが潜んでいる。みんな気を引き締めろ」

 

 後ろのグロリアとオフィーリアにも指示を飛ばし、カーティスは気配を辿って王国の奥へ進む。

 

 ……進むにつれて、気配が濃くなってきた。

 近くにいる。

 

 さすがにカーティスだけでなく全員がそれを察知し、武器を抜刀した。

 

 気配が漏れ出ているのは目前にある半壊した大きな建物。

 屋根が内側から撃ち破られている。

 その穴の大きさから見てドラゴンが出てきたのは明白だ。

 

 間違いなく今回の件のドラゴンはこの中にいる。

 思ったより簡単に見つかったな。

 まさか自分で焼き払った王国を巣にしていたとは。

 

 ……いや、まだ本当にドラゴンセレンなのかは分からない。

 桜色のドラゴンかどうか、確認しなければ。

 

「……中に入って奴の正体を確認する。ついてこい」

 

 カーティスはグロリアたちにそう指示するとレミーベールが「すぐに仕掛けるの?」っと聞いてきた。

 

「見つかった場合は俺が応戦する。みんなはブレスを凌げる場所を見つけ、隙があれば参戦しろ。うまく居場所と姿を確認できたらすぐに帰還してレグナたちと作戦を練る」

 

「「「了解」」」

 

 意志疎通を済ませ、カーティスは歩を進めた。

 大きな建物に近づくにつれ、感じていた気配は圧力へと変わってきた。

 

「な、なにこれ……」

「身体が、重いです……」

 

 レミーベールとオフィーリアがその圧力に驚いていた。

 グロリアも同様らしく、どこか歩くのが辛そうに見えた。

 

「なんか身体が押し返されてるみたい。なんなのこれ……」っとグロリア。

 

「ドラゴンの覇気というヤツだろう。気をしっかり持て」

 

 まるで堪えた様子もなくカーティスは言った。

 さすがS級ドラゴンだ。

 そのへんの雑魚とはレベルが違う。

 

 いや、今まで戦ってきたどのS級ドラゴンよりも重い圧力を掛けてくる。

 相手の強大さを肌で感じる。

 

 できるなら今ここで討伐してしまいたいが、情報が少なすぎる。迂闊な攻撃は全滅に繋がる。

 

 そう自分を抑制し、大きな建物の前まで来た。

 焼け焦げてはいるが、他の建物より被害が少ない。

 窓ガラスは全て割れており、そこから中を覗くことができた。

 

 カーティスはその高い身長を活かして内部を覗き込む。

 撃ち破られた天井から日光が差しており、薄汚れた内部を照らしている。

 

 部屋の中心には小さなベッドが不自然に置かれており、そこに寝るのはドラゴンではなく、小さな少女だった。

 

「──っ!? な……に!?」

 

 バカな……なんだこれは……!?

 

 カーティスは目を疑った。

 なぜ、こんなところに少女が!?

 

「カーティス?」

「どうしたの?」

 

 グロリアとレミーベールが心配そうに言ってくるが、そんなものは耳に入らなかった。

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