【書籍化】S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった   作:ミズノみすぎ

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第322話【ぶつけた】★水着イラスト貰いました!後書きに記載します!

「親なら! ただ我が子の幸せを望むものですわ! あなたは何!? 自分の思い通りにならない相手に暴力を振るっているだけではありませんの!」

 

 母であるローエが本気と分かる声音で叫んだ。

 後ろで聞いていたグロリアは、そんな母の背中を見た。

 

「あなたは母親なんかじゃない! 畜生以下の化け物ですわ!」

 

 相手が格上だろうと怯まないローエ。

 

 ……グロリアはこの時初めて本物の母親を知った気がした。

 正直侮っていた面はある。

 どこまでが本気で、どこまでが嘘なのか。

 

 でも、今わかった。

 この人はやはり母親だ。

 どんなに若くても、誰よりもグロリアを愛している。

 

 アタシに会うためにここまで来てくれた。

 出産を終えたばかりの満身創痍で。

 

 アタシが人間じゃなくなっても側に居ようとする。

 一人にしたくないと泣く。

 どうしてアタシが不幸になるのと泣く。 

 そしてアタシがセレンに受けた仕打ちに本気で怒っている。

 

 全部……アタシを想っての行動なんだ。

 

「愛してる」って口にすると薄っぺらくて好きじゃなかった……けど。

 

「この……言わせておけば!」

 

 セレンが怒り、その巨大な身体を動かそうとした。

 だが前にいたカーティスとナイトが先に動いていた。

 カーティスは左目を。

 ナイトは右目を斬りつける。

 

「きゃああああああ! 目が! また目をよくもおおおおお!」

 

 血が吹き出る目を抑えたセレン。

 その隙に動いたのはローエ!

 

「はあああああっ!」

 

 狙ったのはセレンの右脚。

 マグナムハンマーによる一撃をお見舞いし、その攻撃力はセレンを転倒させた。

 

「きゃあ! なに!?」

 

 視界を奪われ姿勢のバランスも崩したセレンは無防備に仰向けに倒れた。

 その二度目の隙をグロリアは逃さない!

 

 駆け出したグロリアの先にはナイトが待つ。

 

「ナイト! 飛ぶわ! 拳を貸して!」

『わかっている。いけ!』

 

 飛び上がるグロリアの足裏を拳で叩き、さらに空へと舞い上がった。

 グロリアの真下には倒れたセレンがのたうち回っている。

 グロリアは大きく息を吸い込み、斧を両手持ちにする。

 

 単純な攻撃力だけならカーティスにも負けてない!

 全力で打ち込む!

 

 落下が始まり、グロリアは大きく吼えた。

 

「『竜斬り・轟』!」

 

 落下の勢いを載せたグロリアの全力の一撃!

 着地の事など考えない本気の中の本気!

 ただこの一撃で終われ! という思いを込めて叩き込む!

 

 そしてその一撃はセレンの胸に直撃した。

 その威力はセレンが背にした地面にも亀裂を走らせる!

 

「いぎゃあああああああああああああ!」

 

 肉を断った。

 骨を砕いた。

 深く大きく血肉が裂けた。

 血が盛大に吹き荒れ中身が露出する。

 

「!?」

 

 その中身にグロリアは目を大きく見開いた。

 

 ドックン……ドックン……ドックン……

 

 大きな脈動を繰り返す巨大な心臓が見えた。

 それは活発に動いており、セレンの全身に血を送っている。

 

 あれがセレンを蘇生したS級ドラゴンの心臓!

 あれを破壊すればセレンの息の根を止められるかもしれない!

 

 いや、むしろあれが弱点で、何をやってもすぐ回復するセレンを倒すには、あの心臓の破壊こそ唯一の討伐手段のはず!

 

 グロリアはその心臓へと続く傷口に飛び込もうとした。

 しかしセレンの片手に捕まり阻止される。

 

「あっ!」

「こぉんの! クソガキがああああああああああああ!」

 

 グロリアを拳で拘束したセレンは大口を開けて青いブレスを発射しようとする。

 

 さすがにブレスはマズイ!

 いくらドラゴン化で再生能力があるにしても、あのブレスを至近距離でくらって灰にされたら生き返れるとは思えない。

 

 しかし回避しようにも握られていて動けない!

 ブレスがもう発射される!

 

「させませんわ!」

 

 割り込んで来たのはローエ。

 マグナムハンマーによるカチ上げ攻撃をかまし、ブレス発射のために開けていたセレンの大口を無理矢理閉じる!

 

「!!?!?!?」

 

 驚愕したセレンはそのまま口の中でブレスが暴発。

 よろけたセレンにカーティスとナイトが動く

 それを見たグロリアは二人に伝える。

 

「カーティス! ナイト! 胸の傷を狙って! あいつの心臓を攻撃するのよ!」 

 

「わかった!」

『あれか』

 

「【ブレード・イグニション】!」

 

 カーティスが炎魔法を唱え、長剣に炎を纏わせる。

 

「『真・竜突き・紅蓮虎《ぐれんこ》』!」

 

【高熱】と【気】による炎の刺突技。

 そしてナイトの銀色に光る爪。

 その2つの攻撃がセレンの心臓に向かっていく。

 

 しかしセレンは握っていたグロリアを二人の前に晒した。

 

「なっ!」

『ちっ!』

 

 グロリアを盾にされ、カーティスとナイトは攻撃の中断を余儀なくされた。

 

「バカッ! アタシごとやりなさいよ!」

 

 グロリアが言うがセレンの傷はすでにほぼ塞がり切っていた。

 どのみち間に合わなかった。

 とんでもない再生速度である。

 

「もうアッタマきた!」

 

 怒声を張り上げたセレンは起き上がり、グロリアを思いっきり空へブン投げた。

 

「ちょ、いやあああああああああああああああああああああ!」

 

「「グロリア!」」

 

 カーティスとローエが叫ぶも一瞬で遠くなる。

 地面が凄まじい速度で遠ざかっていく。

 景色もあっという間に変わっていき、森の上を通過した。

 

 もはやさっきまで戦っていた場所は遥か遠くへ。

 焼畑になった【第1拠点】はすでに見えない。

 

 速すぎる!

 どこまで飛ばされるの!?

 こんなの地面に叩きつけられたらアタシ!

 

 今のアタシなら死ぬことはないかもしれないが、叩きつけられた痛みは味わうことになる。

 

 セレンに握り潰された時もこの世のものとは思えないほど痛かった。

 いや、痛いなんてもんじゃない。

 意識が途中で飛んだ。

 

「やだ……またあんな激痛を味わうなんて……もうやだ……」

 

 飛ばされながらグロリアは半泣きになっていた。

 地面がどんどん近づいている。

 投げ飛ばされた時の威力がなくなって来ている。

 

「やだやだ! もうヤダあんな痛いの! お母さん助けて!」

 

 泣いて自分を抱きしめる。

 ローエに助けを求めるが、それが無駄だと自分では分かっていた。

 それでも痛みに対する恐怖で叫んでいた。

 

 死にはしない。 

 死にはしない。

 

 自分に言い聞かせるように何度も脳内で呟く。

 地面はもはや目の前。

 

 お願い!

 せめて一瞬で終わって!

 せめて痛みを感じる前に意識が飛びますように!

 

 地面の激突に備えてグロリアは全身を強張らせた。

 そしてついにグロリアは落ちた。

 

 凄まじい痛み……ではなく水しぶきが舞った。

 激突の痛みは緩く、運良く湖に落ちたらしい。

 浮力によって落下の勢いが一気に削がれていく。

 

 水!?

 助かっ――――

 

 ゴン!

 

 勢いが死ぬ前にグロリアは湖の中にあった大岩に頭をぶつけ、そこで意識を失った。




※親世代ヒロイン(出産経験済み)

水着ローエ

【挿絵表示】



水着カティア

【挿絵表示】



水着フランベール

【挿絵表示】


※子供世代ヒロイン

水着レミーベール

【挿絵表示】



水着グロリア

【挿絵表示】


※このイラストは西脇るい様から頂きました。
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