【書籍化】S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった   作:ミズノみすぎ

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第337話【爆撃】

 度重なる爆発の衝撃により意識が朦朧とした。

 耳がキーンと鳴り、視界がグラつく。

 熱気を含んだ爆風がゼクードを地面へと押し倒す。

 

 爆撃が止んで顔を上げると、みんなが倒れていた。

 全員が身体から黒煙を上げて白眼を剥いて倒れている。

 ただ一人……カーティスを除いて。

 

「カ、カーティス……動けるか?」

 

「なんとか……」

 

 血だらけの二人はそれだけ交わすと、すぐさま近くの仲間を担いだ。

 

 セレンの爆撃第二波が来る前に建物へ身を隠さねばならないからだ。

 

 カーティスはローエとフランベールを担ぎ、ゼクードはカティアとレミーベールを担いだ。

 

 しかしグロリアだけ担ぎ手がいない。

 どうする!

 

 焦り迷いながらゼクードは空を見上げた。

 するとまたも雲がピンクの閃光を放ったのが見えた。

 第二波だ!

 

 くそ! これだとグロリアだけまた食らっちまう!

 

 いくらグロリアがドラゴン化していて他より頑丈でも、娘を見捨てる形になるこれは嫌だった。

 

 だがそんなゼクードの私情をセレンの爆撃は気にしてくれない。

 

 刹那!

 グロリアが突如現れた黒い影によって担がれた。

 

「!?」

 

 見ればそこにはナイトの姿があった。

 奴はグロリアを担いでゼクードたちと同じ方向へ走り出す。

 

 あいつ……!

 

 皮肉にも因縁の敵に娘を救われたゼクードは、すぐさま前を向いて近くの建物に飛び込んだ。

 

 そして間もなくしてセレンの爆撃が着弾し、激しい爆音が連続で鳴り響いた。

 

 はぁ……はぁ……

 

 ゼクードとカーティスは息を切らして建物内部に座り込む。

 気絶しているフランベールたちを横にすると、ナイトがグロリアを持ってきて彼女たちの隣に据えてきた。

 

「お前………………ありがとな」

 

 ゼクードはなんとかそれだけ絞り出した。

 もちろんドラゴン化していないゼクードの言葉などナイトには届かない。

 

 しかしそういう雰囲気を感じたのだろうナイトは、目を細めてゼクードを見ると、すぐさま背を向けた。

 よく見ると彼の肩にはリィが乗っている。

 グロリアを心配そうに見ている。

 

 ドラゴンに心配される人間。

 ドラゴンに救われる人間。

 まったく……変な状況だ。

 

 しばらく息を殺して身を潜めていると、セレンの爆撃が止んだ。

 こちらを見失ったらしい。

 

 良かった……これならローエたちの応急処置ができる。

 

 ゼクードとカーティスは負傷したローエたちに手当てを施した。

 グロリアはともかく、ローエたちは止血せねば危険だ。

 

 レミーベールはお腹に赤ちゃんがいるらしいから特に心配だ。

 爆音と衝撃でやられてなければいいが……

 

 ……一気に部隊が壊滅した。

 動けるのはゼクードとカーティス……そしてナイト。

 最悪だ。

 

【限界突破・真・竜斬り】の要となるローエ・カティア・フランベールが戦闘不能になってしまった。

 ここは妻たちの回復まで身を隠すしかないか。

 

「父さん……セレンは雲の上に?」

 

「ああ……迂闊だった。雲の上からの攻撃なんて、初めての経験だ。想像できなかったよ……ごめん」

 

「いえ……オレの方こそ、すみません。父さんがいるから……どこか気が緩んでいました……」

 

 俺がいるから、か。

 なんとなく分かるな。

 俺も必要以上にカーティスを頼りにしてしまっているところがある。

 

 こんなんじゃダメだ。

 しっかりしないと。

 

「俺もだよカーティス。でもこんなんじゃダメだ。お互いしっかりしよう」

 

「はい!」

 

「問題は……あんな雲の上を陣取ってるセレンをどうやって攻撃するかだが……」

 

「セレンだってずっと飛んでるわけにはいかないでしょう。おそらく翼を使うのに疲れて降りてくるはずです。そこを狙うしかないかと」

 

「持久戦だな……」

 

「はい。それにオレたちも迂闊には動けません。母さんたちの回復を待つという意味でも、それが最適だと思います」

 

「俺もそう思う。今は待ちに徹しよう」

 

「了解です」

 

 カーティスが頷くのを見てから、俺は少し離れてこちらを見ていたナイトに目をやった。

 

「ナイト。悪いけどしばらくここで待機する。グロリアたちの回復を待つ」

 

 できるだけ柔らかい雰囲気でゼクードは伝えた。

 ナイトはジッとゼクードを見つめ、そして何も言わずにそっぽ向いた。

 彼の肩にいるリィもゼクードから逃げるように隠れてしまう。

 

 グロリアがいないとこうも不便か。

 そう思いながらも、その娘であるグロリアを助けてくれた彼には親として感謝の気持ちはあった。

 

 ドラゴン相手に感謝する日が来るとは思わなかった。

 本当に人生とは何が起こるか分からない。

 

 己の数奇な人生を振り返っていると、急に近くで爆音が鳴り響き、地面が揺れた。

 

「なんだ!?」っとカーティスが立ち上がる。

 

 ゼクードも立ち上がって割れた窓に駆け寄る。

 外を見れば空からピンクの閃光が降り注いでいた。

 何度も何度も適当にあちこちを爆破している。

 

 まさか……あぶり出す気か!?

 

『出てきなさいゼクード! 隠れても無駄よ!』

 

 案の定だった。

 セレンはドラゴン形態で雲の中から姿を現したが、ピンクの閃光を街中にバラ撒き始めた。

 

 しかも最悪な事に、その爆撃はこっちに迫って来ている。

 このままでは巻き込まれる。

 

「やばいぞカーティス……こっちに近づいてくる!」

 

「別の建物に逃げましょう父さん! 早く母さんたちを担いで!」

 

「無理だ。いま外に出たら発見されて襲撃される。ローエたちを担いだまま戦闘になったら終わりだ」

 

「ならオレが囮になります」

 

「危険だ。俺がやる。カーティスはみんなの回復を待て」

 

「何言ってるんです! 父さんしか【限界突破・真・竜斬り】を使える人間はいないんです。父さんがやられたらセレンを倒す方法は無くなります。自重してください!」

 

 グゥの音も出ない正論だった。

 

「……死ぬなよ」

 

「もちろんです」

 

 カーティスは建物から飛び出し、セレンの前に姿を現した。

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