【書籍化】S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった   作:ミズノみすぎ

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第357話【レミーベールVSドレス】

 カーティスとレグ。

 レグナとレジーナ。

 リイドとオルテンシア。

 

 それらの戦闘が始まって数分。

 

 ようやく城の方にも連絡が入り、レミーベールはその事実に驚愕する。

 

「ドラグーンに侵入されただと!?」

 

 城の二階にあるアスレイの寝室にて、当のアスレイ陛下が驚いた。

 一人の伝達騎士が跪いて答える。 

 

「はい! 現在【南の領地】にてカーティス隊長が謎の男と交戦中です!」

 

「見張りは何をやっていたんだ!」

 

「それが……各見張りの話では城門からでも空からでもないようで、地面から侵入されたと言っていました」

 

「地面から?」

 

「はい。実は……【南の領地】で錬金術師をやっているリーネ・ロードリーが、その地面から出てきたドラゴンに拐われてしまったようなんです……」

 

「なんだと!?」

「それ本当なんですか!?」

 

 アスレイの後ろに控えていたレミーベールがさすがに前に出てきた。

 伝達騎士はしっかりと頷く。

 

「本当です。城門の見張り隊のレグナ隊長とリイド隊長が追い掛けて行ったようですが……」

 

「わかった。すぐに援軍を向かわせるんだ。リーネさんを失うわけにはいかない」

 

「はっ! もうすでに何人かの精鋭を出撃させました! 手の空いている騎士たちには他にも侵入者がいないか街を探索させております!」

 

「よしわかった。敵を見つけても一人では応戦するな。二人以上で敵に当たれと伝えるんだ」

 

「はっ!」

 

 伝達騎士は敬礼してすぐに寝室を出て行った。

 見送ったレミーベールは大剣を装備し、いつもの銀の鎧を身に纏う。

 

「レミーさん。あなたがそんな格好しなくても……」

 

 アスレイ陛下も鎧などを装備しながら言ってきた。

 レミーベールは首を振る。

 

「万が一のためです。それよりリーネ伯母さんが……」

 

「そうですね……奴らの狙いはリーネさんだったのかもしれません。オリハルコンを錬成できますからね」

 

「それだけじゃありませんよ?」

 

「!?」

 

 突如として聞こえてきた謎の女の声。

 その声の方に振り向くと、金の長髪の女騎士が窓の縁に座っていた。

 

 いつのまに!? っとレミーベールは大剣を抜刀する。

 

「この王国の規模などを調べろと言われています」

 

 ご丁寧に喋ってくれる女騎士は、双剣を抜刀して近づいてくる。

 

「貴様! 例のドラグーンか! ここは二階だぞ! どうやって入った!」

 

 アスレイが言うも女騎士は耳を貸さない。

 

「見たところあなたはこの国の王様のようですね。お父様のために、あなたを殺しておきましょうか」

 

「なに!?」

 

「どうせこの国はお父様の物になるんですから……ね!」

 

 ドンッと床を踏み込んで加速した金髪の女騎士。

 小柄な女騎士のスピードは速かった。

 それに対してアスレイの反応はあまりにも遅い。

 

 そこをカバーしたのはレミーベールだった。

 敵の双剣を大剣で受け止め、レミーベールは女騎士を睨む。

 

「やらせないわよ」

 

「あら怖い人。邪魔しないでもらえますか?」

 

「このっ!」

 

 レミーベールは双剣を弾いて大剣を薙ぎ払った。

 その一閃を女騎士はジャンプして高く飛び上がることで回避する。

 そのジャンプの高度は天井にまで届く!

 

「な!?」

 

 アスレイは女騎士の跳躍力に驚愕した。

 だが女騎士は足だけでジャンプしたわけではない。

 背中にドラゴンの翼を生やすことでその爆発的な跳躍力を手にしていたのだ。

 

 しかしレミーベールは驚かない。

 セレンという前例を知っているからだ。

 ドラグーンならばこれくらいは出来る、と。

 

「陛下! 部屋の外へ!」

 

 レミーベールが大剣を構えながら言うとアスレイも何故かロングブレードを構える。

 

「私も一緒に戦いますレミーさん!」

 

「いや、邪魔です。出てってください」

 

「ええ!? でもレミーさんお腹に子供が!」

 

「そう思うなら早く応援を呼んできてください!」

 

「は、はいぃ!」

 

 アスレイは慌てて部屋を出ていこうと走る。

 

「逃しません」

 

 女騎士が天井を蹴ってアスレイに空襲する!

 それを待っていたかのようにレミーベールは大剣を振り抜いた!

 

「【竜斬り・銀雷】!」

 

 レミーベールがもっとも得意とする『飛ぶ斬撃』!

 直角にジグザクの軌道を描いて女騎士の左翼に直撃する!

 

「きゃっ!」

 

 切断こそできなかったが、女騎士は飛空のバランス崩して転落した。

 受け身をとって体勢を整えたが、目の前にはもうレミーベールが大剣を振り下ろしていた!

 

「はぁっ!」

「くっ!」

 

 重い大剣の一撃を双剣で受けた女騎士は片膝をつく。

 床に亀裂が生じて広がり、妊娠中の身とは思えない怪力をレミーベールは発揮する。

 

「くぅ! 凄いパワーですね……全身が痺れまし、ぶあっ!?」

 

 女騎士の言葉を遮るようにレミーベールは相手の顎を蹴り上げた。

 よろけた女騎士にタックルし転倒させる。

 

「終わりよ」

 

 冷静に、冷徹に、レミーベールは告げて大剣を叩きつけた!

 大剣の振り降ろしをまともにくらった女騎士は全身をビクン! と跳ねさせ、悲鳴も上がらなかった。

 

 だがレミーベールは大剣から伝わる手応えに違和感を覚えた。

 

 裂くようなあの肉の感触が来ない。

 刃が止められている感触がある。

 これは……!

 

「ふぅ、竜鱗がなかったら即死でしたね」

 

 顔を竜鱗に覆わせた女騎士が起き上がってきた。

 大剣の一撃を食らっても傷一つ付いていない。

 レミーベールは一歩下がった。

 

「……やっぱりセレンと同じなのね。お父さんやカーティスくらいの【気】がないと斬れない」

 

「セレン? セレンってあの私たちの王国を燃やした犯人のこと?」

 

「!」

 

 この女騎士はどうやらセレンの事を知っているようだ。

 やはりグロリアの言っていたことは本当だった。

 

 セレンは実は生きていて、ドラグーンの連中に捕まっている。

 それでお父さんが助けに行った。

 

 レミーベールが知るセレンの情報はそれだけだ。

 

「そう言えばあなた、セレンと同じ匂いがしますね。さては血縁者ですね?」

 

「だったら何?」

 

「無論……死んでもらいます! 忌々しい!」

 

 女騎士が双剣を構えて突撃してきた!

 

「【ディアマードアーツ・クロスウェイブ】!」

 

 双剣を振り抜くことで2つの斬撃がレミーベールに向かって飛んできた。

 奴も『飛ぶ斬撃』を使えるようだ。

 

 しかしレミーベールもすでに迎撃の準備は出来ていた。

 大剣を振り抜き、大きな剣閃を飛ばす!

 

「【竜斬り・銀雷】!」

 

 互いの斬撃が正面衝突し相殺。

 凄まじい衝撃波は突風を生みレミーベールと女騎士を煽る。

 

 その突風を突き抜けて女騎士はレミーベールに接近!

 双剣による乱舞を繰り出す。

 殺気全開の乱舞を大剣で防ぐレミーベールは(そろそろかな?)と大きくバックステップして間合いを空けた。

 

 乱舞の射程外へ逃げたら即座に寝室から出ていく。

 完全に敵前逃亡なのだが。

 

「な!? 逃げるんですか!」

 

「戦略的撤退。ワタシだけじゃあなたを倒せそうにないからね」

 

「は?」

 

 女騎士は意味が分からないと目を細くした。

 寝室を出たレミーベールを追うと城の廊下に出る。

 すると廊下の奥から他の騎士たちがこちらに向かって来ているのが見えた。

 

「遅くなりましたレミーベール様!」

 

「いいえ! 来てくれてありがとう! 気をつけて! あの女もドラグーンよ! 身体は鉄のように堅いわ!」

 

「はっ! おまかせを!」

 

 城の精鋭騎士たちのようだ。

 レミーベールはこれ以上お腹の子に響かせたくないと、味方に任せて後方へ下がっていった。

 

 女騎士は舌打ちしてレミーベールを追おうとするが、4人の騎士たちが立ち塞がる。

 どいつもこいつもかなりの高齢騎士たちだ。

 

「不届き者め! 成敗してくれるわ!」

 

「ふふ……お年寄りの出る幕じゃないですよ?」

 

 女騎士が嗤いながら竜鱗を纏い、双剣を振り回す。

 当の騎士たちはそれらの斬撃を武器で受け流し、女騎士の脇腹に直剣の一撃を叩き込む。

 

「っ!?」

 

 女騎士の竜鱗がピシリと軋んだ。

 ダメージが入ったのだ。

 女騎士は僅かに痛みを感じて驚き、慌てて後退する。

 

 しかし他の騎士の攻撃が連携され、次々と斬撃を身体に叩き込まれる。

 

 そのどれもが先程のレミーベールより強かった。

 竜鱗が貫通し、わずかにダメージが入っていく。

 高齢の騎士たちの動きも無駄がなく、あまりに洗練されていた。

 

 騎士の質がこんなにも高いとは予想外だった。

 

「くっ!」

 

 女騎士は翼を生やして壁を壊し、外へ逃げた。

 多勢に無勢。

 国王もレミーベールも仕留められず、まさか城の騎士たちに追い詰められるとは。

 

 あの高齢騎士たちの練度は凄まじかった。

 あのままやり合ってたら負けていたかもしれない。

 ドラグーンの力を持ってしても、だ。

 

 お父様に報告しなくては!

 この国のベテランたちは恐ろしく強いと。

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