【書籍化】S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった   作:ミズノみすぎ

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第363話【繋がった二人】

「な!? ロジェール王女!?」

 

「ネオ! エルジーは!?」

 

 馬を飛び降りて駆けつけて来たのはまさかの王女ロジェールだった。

 

 一国の王女がこんな真夜中の王国の外に!

 しかも護衛も付けずに単騎で!

 

 さすがのネオも冷や汗が吹き出た。

 

「こんなところで何やってるんです! 今すぐ戻ってください!」

 

「エルジーは!?」

 

 ネオの剣幕を超えるほどの怒声でロジェールが聞き返してきた。

 こんなにキレたロジェールを見たのは初めてで、ネオは思わず気圧される。

 

「……エルジーはおそらく生きてはいます」

 

「本当に!?」

 

「ええ。死体も血痕も見つかりません。代わりにアイツの剣とヘッドドレスを見つけました」

 

「良かった……」

 

「良かったじゃありませんよ! なぜこんなところまで来てるんです! 今すぐ戻ってください!」

 

「ネオまでそんなこと言う! エルジーが心配じゃないの!?」

 

「心配ですよ! でもあなたは自分の立場を弁(わきま)えるべきです!【シエルグリス】の王女なんですよ!」

 

「知ってるよそんなの!」

 

「だったら!」

 

「王女だからまともな友達もエルジーしかいないの! たった一人の友達なのよ! 城でボケッとなんかしてられないよ!」

 

「女王様に怒られますよ!」

 

「覚悟の上よ!」

 

「あなたの覚悟なんか僕には関係ありません! 帰ってください! 邪魔です!」

 

「なによ! 友達を助けたいのがそんなに悪いの!?」

 

 ああもう!

 面倒くさい女だな!

 

「面倒くさいのでハッキリ言いますが、あなたの立場ならそれは悪い選択です」

 

「!?」

 

「友達を助けたいのは大いに結構ですが、それで周りの足を引っ張るのならやめていただきたい」

 

「誰も足を引っ張ってなんか!」

 

「今! まさに今みんなの足を引っ張ってるんですよ! エルジーが行方不明になって、その上あなたまで行方不明になったら国はパニックになります! 早く帰ってください!」

 

 今度はネオの怒声が勝った。

 ロジェールは一歩下がったがそこで踏み留まる。

 

「で、でも!」

 

「でもじゃない」

 

「だって!」

 

「だってじゃない!」

 

「お願いネオ! わたしもエルジーを探すの手伝わせて! お願い……お願いします!」

 

 今度は頭さえ下げてきた。

 なりふり構っていられないのだろう。

 それだけエルジーを想う気持ちは本物だということが伝わってきた。

 

 だからこそネオは曲げない。

 

「ダメです」

 

「ネオ!」

 

「いい加減にしろ!」

 

「っ!」

 

 ネオは敬語をやめて本気で怒った。

 ロジェールは涙目になりながら身体をビクつかせる。

 

 エルジーを思うならば、それこそロジェールは前に出てはいけないのだ。

 

「お前が無事で済まなかったら……どうするんだ!」

 

「え?」

 

「誰かを守るのって簡単じゃないんだよ。お前に何かあった場合……エルジーがどんな思いをするか、考えましたのか?」

 

「!」

 

「自分を助けようとした友達が、自分のためにケガ……あるいは死んだとなったら、エルジーはもう笑って生きていけなくなるんだぞ」

 

「……」

 

 ロジェールがうつむき涙を地面にこぼした。

 ようやく理解してくれたらしい。

 

 見ればロジェールの背中には今は亡き先代女王ロゼ様のロングブレードがあった。

 

 そうだ……ロジェールの身に何かあったらロゼ様も悲しむ。

 溺愛しているレイゼ女王だって……

 

 そう思ってロジェールを見つめていると、彼女は腰のポーチから何かを取り出してネオに手渡してきた。

 

 手錠だ。

 

 なぜ?

 

「……これは?」

 

「オリハルコンの手錠」

 

 オリハルコン!?

 こんな物にオリハルコンを使ったのか!?

 

「なんて無駄な物を……」

 

「でもこれならそのドラグーンたちも捕まえられると思う」

 

 討伐ではなく捕獲しろと仰るのか。

 そう愚痴ろうとロジェールの顔を見たが、彼女の目は恐ろしく据わっていた。

 

 隠し切れない怒りを感じるその瞳に、さすがのネオもゾッと背筋が冷えた。

 

「捕まえてわたしの前に連れてきて。エルジーの状態によっては……死んだ方がマシな目に遭わせてやる」

 

 夜風も凍るほどの恐ろしい声音だった。

 今話してるのは本当にロジェールなのか? と疑うほどに。

 

 ロジェールのエルジーに対する思いはネオが想像している以上のようだ。

 

「……わかった。それと、リベカ大臣にもエルジーはまだ無事な可能性があることを伝え――――」

 

 刹那!

 空から殺気が飛んできた!

 巨大なドラゴンの影がネオとロジェールを強襲する!

 

「ロジェール伏せろ!」

「きゃっ!」

 

 素早く気づいたネオはロジェールを押し倒した。

 強襲してきたドラゴンの爪が倒れた二人の上を空振り、花びらが舞う。

「ちっ!」っと露骨に舌打ちする女の声が聞こえて、ネオは思わず身を起こした。

 

「ギャーギャーうるさいよアナタたち。夜の散歩が台無しじゃない」

 

 ドラゴンが喋った!

 かと思うと、次の瞬間には青い髪の女騎士の姿になった。

 

 ドラゴンが人間になった!

 目を疑う光景だったが、ネオはすぐに察した。

 

「なるほど……お前が例のドラグーンとやらか。そっちから出てきてくれるとは好都合……」

 

 ガチャ!!

 

「ん?」

 

 なんだ今の音は?

 なんか……片腕が重い?

 

 自分の腕を見ると、そこには先程のオリハルコンの手錠が!

 しかもロジェールの腕と繋がっている!

 

「何やってんだお前はああああああああ!」

「ええええ!? これわたしのせいなの!?」

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