【書籍化】S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった 作:ミズノみすぎ
ディアマード家の女騎士たちはゼクードたちに分断されてしまった。
その一人であるドレスはミオンという女騎士と対峙する。
ピンクのツインテールで鎧は軽装。
両手にガントレットと胸にプロテクター。
身のこなしが良さそうな女騎士だが。
「お父様の邪魔をするなんて。馬鹿な平民ですね〜。勝てると思ってるんですか?」
ドレスが双剣を構えながら言うとミオンが口を開いた。
「あんた双剣使いなの?」
「ええ。使いやすく無駄がない。優雅な連撃を繰り出せる双剣は最高の武器ですよ」
自分の武器を絶賛した後、ドレスはミオンの武器を見た。
鎖付きの鉄球だ。
しかもトゲ付きである。
「あなたの武器は……少し変わってますね」
「よく言われる」
「そんな鉄球でワタシと互角に斬り合えるとでも?」
「そもそも対人を想定してないけどね」
「ふふ……ワタシは対人も得意ですよ? 暇つぶしに平民をいたぶるのは好きでしたから」
「それ対人って言わない」
「あらそうですか? まぁ文化の違いですね」
言って、ドレスは目つきを変えて双剣を構え直した。
「では始めましょうか。あんまり弱いといたぶり甲斐がないので少しは頑張ってくださいね」
「その言葉……そっくり返してあげる!」
ミオンが鉄球を投げた。
それは大砲の如く!
は、速い!?
予想外の鉄球スピードにドレスは驚愕する。
でも!
これをさえ捌いてしまえば!
ドレスは双剣で鉄球を受け流し、ミオンの懐へ飛び込んだ。
「もらった!」
振り下ろされる双剣の片割れ。
それはミオンのガントレットから出てきた仕込み剣によって防がれる。
な、仕込み剣!?
思わぬ隠し武器に意表を突かれ、ドレスはミオンに攻撃を全て弾かれてしまった。
「あ!」
ドレスはバンザイした状態になり、ガラ空きの腹にミオンが蹴りを入れる。
「うぐっ!」
ミオンの攻撃は終わらない。
蹴って少し後ろに下げたドレスの脇腹に戻ってきた鉄球をめり込ませた。
「ひぐっ!」
「【エクスプロード】」
ドレスの脇腹に直撃した鉄球は赤く光り、次の瞬間には大爆発した!
「うあああああああああああああ!」
黒煙をまとって吹き飛ぶドレスは何件もの家を貫通し、地面を転がる。
「はぁ……はぁ……げほっ! げほっ!」
なんて……強さなの……
竜鱗が、まったく効かない……
今まで絶対的な防御力を誇っていた竜鱗が容易く貫通される。
あの女……【エルガンディ】で戦った高齢騎士たちより遥かに強い!
精鋭の中でも別格なのかも……
やっぱりオルテンシア姉様とレジーナお姉様みたいにはいかないか。
ここはドラゴンに変身して一気に片付けないと負ける気がする。
そう思案していると、どこからともなく建物の破片が飛んできた。
「な! くっ!」
ドレスは咄嗟にそれを斬り刻んで回避!
しかしその破片の後ろから鉄球が!
「!?」
鉄球を顔面にモロにくらった!
意識が飛びかけ、視界がグラリと揺れる。
その刹那にミオンが現れまた「【エクスプロード】」と唱えた!
鉄球がまたも大爆発!
「あああああああああああああ!」
空中に吹き飛んだドレスにミオンはさらなる追撃をお見舞いする!
鉄球を下から、左から、右から、上から連続で叩き込む!
容赦など微塵もない!
殺す気全開の連撃! 連撃! 連撃! 連撃!
それはミオンの鉄球技!
「【轟乱打(ごうらんだ)】!」
空中のドレスに四方から鉄球が息づく間もなく叩き込まれる!
ドレスの全身の骨が砕けていく!
たとえ年若い女の子の姿をしていても、ミオンに情けはない。
最後の一撃は上からの叩きつけ。
その衝撃で地面へと倒れたドレスは立てずに痙攣するのみ。
しかし、骨が再生したのかフラフラと立ち上がってきた。
「こ、この……ドラゴンに、なって……殺して――――」
「させるわけないでしょう。【ブレード・イグニション】!」
あくまで冷静に、そして冷たい眼差しでミオンは唱えた。
両手のガントレットに仕込まれた剣に炎が点火。
踏み込んだミオンの剣閃が、ドレスの四肢を一瞬で切断し、最後に胸を貫く!
「あ…………」
ミオンはそのままドレスの胸の奥にある心臓を掴んだ!
「待っ……」
「【エクスプロード】」
有無を言わさず心臓を爆破!
胸の内部で大爆発を起こされたドレスは、上半身が弾け飛んで無くなり息絶えた。
非常に呆気ない人の道を外れた少女の最後だった。
なんてことはない。
ネオに比べれば弱すぎる相手だった。
レイゼの国を好き放題されて頭にはキテいたが、終わってみればこんなものか。
「【アイツ】ほど強くないわね」
それはネオと比較した言葉ではなかった。
ミオンが愛したこの世でたった一人の男。
ネオの父親であり、ミオンの夫でもある男。
彼もまた……ドラグーンに近い存在だったから。