【書籍化】S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった 作:ミズノみすぎ
ゼクードさんは火山にいる!
あの記憶に出てきた女二人は誰なのか?
問い詰めないと気が済まない!
そんな激情に駆られたフランベールは集落を抜けて草原へと脱走した。
途中、集落の人間に見つかって追い掛けられたがビックリするくらい相手が遅かったので逃げ切れた。
自分の足が速いのかもしれないが、そんなことはいい。
今にして思えばあのアグリスという女も誰なのか?
彼女もかなりの美人だった。
ゼクードさんは美人に目が無い男性なのだろうか?
あの赤いポニーテールの女と、長い金髪の女と、アグリスとはどういう関係なのだろう?
ダメだ。
気になってしょうがない。
自分とは遊びだったのだろうか?
自分という妻がありながら……そして子供が二人もいながら、他の女に手を出していたというのか?
これでは先刻のゼクードの言葉さえも霞んでくる。
何を信じればいいのか分からなくなってくる。
蘇った記憶の断片。
それはゼクードが例の女二人と濃厚なキスをしている記憶。
なぜこんな記憶を自分が持っているのか。
そもそも自分は本当にゼクードの妻なのか?
それさえも信じられなくなってきた。
ゼクードは都合のいい嘘を吐いている可能性が出てきた。
だって本当にわたしに子供が二人もいるなら、なぜわたしは今一人でいるの?
子供はどこなの?
わたしやっぱり……ゼクードさんに騙されてるんじゃ……
いや……そもそも自分は妻ではなく……もしかしたらゼクードの複数いる女の内の一人でしかない可能性もある。
実はゼクードさんにはたくさんの女性がいて、たくさんの子供も……
やだ……考えたくない。
お願いだから嘘だと言って。
わたしを妻だと言い切ったあの時の……あの澄んだパープルの瞳が嘘だったなんて信じたくない。
フランベールは泣いた。
泣きながら火山に向かって走った。
火山の麓までもうすぐだ。
あそこにゼクードさんがいるはず。
彼に問い詰めないとダメだ。
苦しくても、本当のことを聞くのが怖くても、わたしはゼクードさんの本音を聞き出さなければいけない。
子供が本当にいるとして、それなのに浮気しているなら男性として最低だ。
本当に浮気していた場合は……
ブッ殺してやる!!!
※
そしてカティアとローエは火山の麓まで来ていた。
赤土や灰色の土が混沌とするこのエリアは、踏めば足跡が残るほどにモコモコしていた。
ここに来れば何かが分かるとカティアは思っていた。
もし仲間の誰かが同じ大陸にいた場合はこの火山をまず目指すかもしれないと思ったのだ。
だから誰かと合流できるのでは? っと思っていた。
しかし聞こえるのは火山の流れるゴゴゴという音と、ドラゴンのものらしい咆哮のみ。
「カティア……聞こえて?」
「ああ聞こえた。この大陸にもやはりドラゴンはいるようだな」
「A級ドラゴンがいないだけなのかもしれませんわね」
「そうだな。S級クラスのドラゴンだと厄介だ。火山の探索は諦めよう。……ん?」
カティアは足元を見た。
そこには自分とローエのものではない足跡があった。
しかも新しい。
人数は3人。
それぞれが違う足跡になっている。
しかもその内の一つは見覚えのある足跡だった。
「ローエ。足跡がある」
「え!? あ! 本当ですわ」
「3人分の足跡だ。内一つはゼクードの足跡だ!」
「え!? 本当ですの!?」
「本当だ。形状が同じだ。ゼクードはこの火山のどこかにいる。当たりだな」
「良かった……」
「残りの二人は見慣れん足跡だな……ネオとミオンのものかもしれん」
「凄いですわねあなた。よく足跡なんて覚えてますわね」
「ローエお前な……夫の足跡くらい覚えておけ」
「覚えませんわよ普通」
「とにかく前言撤回だ。火山を探索してゼクードと合流するぞ」
「了解ですわ」
カティアとローエが火山へ向かおうと踵を返した。
すると。
「待ちなさい!」
「「!?」」
火山に響く女性の怒声!
その声には聞き覚えがあった。
カティアとローエが声の聞こえた方角に慌てて目を向けた。
そこにはフランベールがいた!
「フ……フラン!? フランなのか!? ああ……良かった! 無事だったんだな!」
「フラン! 良かった! 本当に良かったですわ! 怪我はないですの?」
「馴れ馴れしく近づかないで!」
「「え!?」」
いきなりフランベールに怒鳴られ、カティアとローエは困惑した。
なぜ彼女はこんなにも怒っているのだ?
しかも本気でキレてる。
どうしたんだフランは?
「あなた達……あなた達は……! ゼクードさんの! 何なんですか!」
「「…………え?」」