【書籍化】S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった   作:ミズノみすぎ

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第37話【遭遇!】

 カティアさんに【竜突き】を伝授していたら夜になっていた。

 日も暮れた時刻に王国から騎士が来て『国王さまがお呼びです』と伝えられた。

 

 俺はそのままヘトヘトのカティアさんと別れ、国王さまの待つ城へと向かう。

 そして着いた【謁見の間】は複数のランプで照らされていて明るい。

 その先に国王さまは玉座に腰かけて待っていた。

 

「こんな遅くに呼び出してすまんな」

 

「いえ、どうされたんですか?」

 

「あれからまた他国の難民たちが数名ここ【エルガンディ王国】に辿り着いてな」

 

 言いながら国王さまは立ち上がった。

 

「生き残りの彼等から新しい情報を得た。お前が討伐したS級ドラゴン以外の他3体の情報だ」

 

「それは! ぜひ聞かせてください!」

 

「うむ。まず【オルブレイブ王国】を襲ったドラゴンだが、かなり巨大なドラゴンだったらしい。それも我々が見たあのS級ドラゴンの比ではないようだ」

 

「そんな巨大なドラゴンが……」

 

「もはや動く城だと難民は言っていた。その巨大さ故に動き自体は鈍足だったらしいが、まるで攻撃が効かなかったそうだ」

 

「刃が通らないってことですか?」

 

「いや、傷を負わせてもすぐに再生したと聞いている。信じがたい話だが、自己再生ができるドラゴンのようだ。弱点がわからなかった。そう言っていたな」

 

「なんて厄介な」

 

 自己再生するならどうやって倒せばいいんだろう?

 再生が追いつかないくらいの速度で斬りまくるしかないか?

 

「次に【リングレイス王国】を襲撃したドラゴンだが、どうにも巨大化したドラゴンマンという話だ」

 

「ドラゴンマン!?」

 

 ドラゴンマンはB級ドラゴンの雑魚じゃん。

 あんなのが巨大化してもそんなに……いや、もしかしたら巨大化だけじゃなくいろいろ強化されたのかもしれない。

 もはやB級がS級に進化したみたいな?

 

「うむ。巨体のくせにこいつは俊敏で、鱗も硬く、またそのへんにある物をなんでも使ってくるそうだ」

 

 やっぱり他にも強化されている。

 俊敏はともかく鱗まで硬いとは。

 

「物を使ってくるなんて人間みたいなやつですね」

 

「ああ。あとかなりの怪力みたいでな。家を平気で投げてきたとも聞いたぞ」

 

「ならローエさんに打ち返してもらえば楽勝ですね」

 

 うちのローエさんパワフルだから。

 

「ん? ぅ、うむ……まぁ、そうだな。最後に【アークルム王国】だが、ここは奇跡的にS級ドラゴンの撃退に成功している 」

 

「そんなに強くなかったんですかね?」

 

「いや、なんでも【アークルム王国】が開発していた【魔法大砲】を上手く直撃させることができたらしくてな」

 

「なるほど。……【魔法大砲】とは?」

 

「それは後で説明しよう。今はドラゴンだ。【アークルム王国】を襲ったドラゴンは翼を持った飛行可能なドラゴンだったらしい」

 

「え、ドラゴンが空を飛ぶ!? それって……」

 

「ああ。あのディザスタードラゴンと同じだな。身体は黒い鱗に覆われていて、飛んでいる姿はまるでカラスの様だったと聞いた」

 

 例えが悪いよ国王さま。

 なんか凄く弱そうになった。

 

「大きさはどれくらいです?」

 

「かなり小型らしい。そのへんのA級ドラゴンよりちょっと大きいくらいだったと聞かされたな」

 

「小型で飛べるならスピードタイプですね。そんなやつに【魔法大砲】とやらを当てるなんて、本当に奇跡的な撃退だったんですね」

 

【魔法大砲】がどんなのかは知らないけど、大砲って名前がついてるから素早い相手には当て難そうなイメージがある。

 

「そういうことだ。だから今後はゼクード。お前の率いる【ドラゴンキラー隊】を主軸にしてこれらを殲滅していく。部下達の強化を怠るなよ」

 

「はっ!」

 

「良い敬礼だ。様になってきたな」

 

「はっ! ありがとうございます!」

 

 俺は踵を返し【謁見の間】を去った。

 

 

 翌朝になった。

 ローエとフランベールは準備を済ませて【竜軍の谷】へと足を踏み入れる。

 

 山と山の間にある道を警戒しながら慎重に進む。

 ハンマー使いのローエが前衛で、弓使いのフランベールが後衛。

 

 ローエは前を確認しながら進み、フランベールは上からの襲撃を警戒しながら背後も確認する。

 

 少し進んだ先で、ローエは思わず止まってしまった。

 

「これはいったい、どうなってますの!?」

 

 震えた声でそう言ってしまった。

「どうしたの?」と背後からフランベールが隣に来た。

 そしてフランベールも、目の前に広がる光景に息を呑む。

 

 二人の視線の先には、大量のA級ドラゴンの亡骸(なきがら)があったのだ。

 一匹や二匹なんてレベルじゃない。

 みんな殺されている。

 

 やけに静かだと思ったら、こんな惨状になっていたとは。

 

 近づいて外傷を見れば爪で引き裂かれたような傷や、食いちぎられたドラゴンまでいる。

 

 このドラゴンたちの外傷を見るに、これだけの数のドラゴンを殺したのは人間じゃないとわかる。

 

「せ、先生。ドラゴンのケンカはこれほどまでに苛烈なのですの?」

 

「ううん。そんなはずない。ドラゴンのケンカは少なくとも相手を屈服させたら勝ちだから、殺すなんてことはしないはずよ」

 

 やはりそうか。

 ではやはりこの地獄絵図の犯人は──

 

「まずいですわ先生。このドラゴンたちを殺した犯人はきっと!」

 

 ローエの予想にフランベールも同意らしく。

 

「うん。S級ドラゴンの仕業かもしれない。ここはいったん──っ!」

 

 言い欠けてからローエとフランベールは『上空』からの殺気に気づき、その場からすぐに離れた。

 

 ドゴォオオン!

 

 地面が爆音を上げて揺れる。

 何かが空から落ちてきた。

 

 ローエとフランベールは即座に武器を構えて、空からの襲撃犯を見やった。

 

 現れたのが生き残りのA級ドラゴンだったならば良かった。

 でも、二人の前に現れたのは巨大な翼を持った漆黒のドラゴンだった。

 

「こいつは!」

 

「ローエさん構えて! 来るよ!」

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