【書籍化】S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった 作:ミズノみすぎ
洞窟内の奥は代表者が使う広間。
そこには出入口にバリケードとして使われているテーブルやイス、ベッド、タルなどが配置されている。
光は壁掛け式のオイルランプのみ。
はっきり言って薄暗いが、そんなことを気にする余裕はミオンにはなかった。
敵のレジーナと肩を掴み合い、力比べの叩きつけ合いが勃発している。
ミオンが押せばレジーナが壁に激突して亀裂が走り、レジーナが押し返せばミオンが壁に激突して亀裂を生む。
パワーは互角でお互いに一歩も引かない。
「へぇ! ヤルじゃない! アタシを押し返すなンて、っさ!」
肩を掴み合ったままレジーナがミオンの腹を蹴ってきた。
「ぐっ!」
まともに食らったミオンは吹き飛ばされクローゼットにぶち当たった。
当のクローゼットは派手な音を立ててバラバラになり、全身を強打したミオンは痛みを堪えてすぐさま立ち上がる。
向かってくるレジーナが腕を竜の物に変えて爪を振り下ろす。
それを躱し、ミオンはレジーナの顎を片手で掴み、そのままの勢いで持ち上げ彼女を頭から地面に叩きつけた。
大の字になって倒れたレジーナにミオンは即座に追撃し、頭を思いっきり踏みつけた。
ビクンとレジーナの身体が震えるが、彼女の眼はギョロっとミオンを睨んでいた。
効いていない。
頭蓋骨ごと踏み潰して即死を狙ったのに。
女の自分では体重とパワーが足りなかったか。
レジーナは顔を踏まれたまま蹴りだけを繰り出してきた。
その蹴りはミオンの股間に命中!
「っ!」
女のミオンでもさすがに怯んだ。
股間は神経が多い部位だ。
男女問わず攻撃されれば全身に痛みが回る。
怯んだミオンにこれ幸いとレジーナが起き上がってくる。
そんな彼女に対しミオンは近くにあったタルを持ち上げ、レジーナの頭に叩きつけた。
タルは弾けるように壊れたがレジーナは少しよろめいただけだった。
ならばとミオンは続けざまにイス・テーブルをぶち当てるが全て壊れた。
レジーナは鬱陶しそうに顔を振ってミオンに睨む。
「呆れた戦イ方ね。人様のモノを次々コワして」
「アンタがさっさと死なないからでしょ」
「まだ死ネナいのよ。セレンに種付けするまでは」
「種付け?」
「そう。ソれをアンタハ邪魔した! あと少シだったの二! これでオルテンシアに取られちゃっタワ! ドウしてくれるのよ!」
「意味わかんない。アンタ女じゃないの?」
「女よ? でも付いてるわよ? 見てみタい?」
へぇ……
竜の心臓を入れたら女の股間にも男のアレが生えるのね。
知らなかったわ。
知りたくもなかったけど。
気持ち悪いし。
「そうね。ちょっと興味あるかも」
「アラそう? なら見せてあげる代わりにアタシの子供を生んでくれる?」
「は?」
「アタシの役目は生き残るコトじゃなイのよ。子孫を残すこと。それダケ。ソレさえタッセイできれば……」
こいつマジで気持ち悪い。
女とは思えないわ。
「それでセレンを狙ってたの? なんでセレンなの?」
「竜の心臓に適合しタ強い母体だかラよ。セレンはもう人間じゃナイ。寿命だってドラゴンと同じにナる!」
……ドラゴンの寿命ってそもそもどれくらいだっけ?
人間より長いとは聞いたことがある。
S級クラスのドラゴンなら不死かもしれないと言われているが、検証できた人間がいないのだろう定かではない。
「寿命は長けレばナガいほどいいのヨ。アタシの出す【竜子】は母体が生きてイる限り永遠に子供を産マせ続ける種なんダから!」
「なるほどね。で? そのセレンは逃げちゃったけどどうすんの?」
「アンタに責任をトッテもらうわ! 大人しくアタシに抱かれなさい! もうアンタで我慢スルわ! アンタなかなか強いシ悪くナイ」
「アタシ39のオバサンだけど?」
「え?」
レジーナが止まった。
ミオンの見た目を凝視して困惑する。
「さん……エ? さ、39歳ナノ?」
「そうよ」
「バ、ババァじゃない! 騙しタわネ!」
「アンタが勝手に勘違いしたんでしょうが……」
「うるサい! アァもう! この際もうアンタでイい! 抱かせろおオおおおぉおオオお!」
まるで発情した男のように雑に飛び掛かってくるレジーナ。
そんな変態に対し、ミオンは彼女の無防備な股間を蹴り上げた。
ドゴッ!
「はっきゅううぅううっっっつ!!?」
そんな変な奇声を上げたレジーナはドバっと脂汗を流した。
あまりに痛かったのだろう。
レジーナは蹴られた股間を抑えて転倒し悶え苦しみ出した。
「はぁ嗚呼ァァァあああ亜あああァァああ! イタいぃいいいいいい!」
その光景はミオンが見てもあまりに惨めで哀れな光景だった。
女として生まれたのに男の痛みを知ることになるとは。
「良かったわね。男の痛みを知ることが出来て!」
嘲笑ったミオンは苦しむレジーナの顔面を容赦なく蹴り飛ばした。
蹴りが当たった瞬間に追加で【エクスプロード】の爆破ダメージを与えることも忘れない。
「ギャアあああ嗚呼ァァァァァァあああ!」
土壁に激突したレジーナは顔から黒煙を上げてまた倒れた。
今度は顔と股間を抑えて苦しんでいる。
「ぅあァァァ! い、痛みガ、キエない! ァァァあああ!」
そこへまたミオンが追撃!
レジーナの股間をかかと落とし!
「ヒギィィイ!」
そして蹴り!
男の弱点は股間だと知っているミオンはひたすらにレジーナの股間を狙って蹴った!
何度も何度も何度も何度も!
「痛い! やめ、痛い痛い痛い痛い!」
のたうち回るレジーナに、ミオンは眉をひそめた。
なぜレジーナはただやられているのだろう?
なぜ竜鱗を纏って防御しないのだろう?
なぜ腕しか竜の形態になっていないのか?
もしかしてコイツ……もう余力がない?
やたら焦っているし、有り得ない話ではないかも。
ならばとミオンは蹴りをやめて右手の仕込み剣を展開し、それをレジーナの胸に突き刺した。
「アガぁっ!?」
竜の心臓さえ潰してしまえばレジーナは死ぬ。
ミオンは突き刺した剣でレジーナの胸を抉る。
「あぎゃあああアアガあああ!」
「うるさい!」
左手の仕込み剣を展開しレジーナの口に突き刺して後頭部まで貫通させた。
「ぁ……が……か……は……」
「さようなら【エクスプロード】」
突き刺した仕込み剣が両方とも赤く光って爆発した。
突き刺されていたレジーナの胸と顔が吹き飛ぶ。
下半身だけ残ったレジーナはそのまま動かなくなった。
どうやら再生はしてこないようだ。
カチンと仕込み剣をガントレットに戻したミオンはレジーナの肉片が付いた鎧を手で払っていく。
「やれやれね……思ったより弱かったな。こんなことなら最初から全力で仕留めれば良かった」
ドラグーンは竜人形態に変身すると聞いていたから仕込み剣はここぞというところまで隠そうと思っていた。
しかしレジーナは勝手に弱っていて大したことがなかった。
ドラグーンって単体だと大したことないのね。
そう思いつつミオンはレジーナの残った下半身を見た。
そしてあることが気になった。
本当に付いてるのかしら?
女の身体に男のアレが。
本当に付いてたらドラグーンって気持ち悪い生物よね。
ミオンはレジーナの下半身に近づき、大きなスリットの入ったスカートをめくって下着を剥ぎ取った。
そしたら……
「…………付いてる」
確認したミオンは剥ぎ取ったレジーナの下着をその辺にポイッと捨てた。
本当に女の下半身に生えているとは。
信じられない。
じゃあコイツは本気でアタシを犯そうとしてたってこと?
気持ち悪い。
でも女に抱かれるってどんな気分なんだろ?
過去、夫と何度か寝たことがあるから、男に抱かれる気分は知っている。
でも女は知らない。
ちょっとだけ気になる。
そんなことをぽんやり考えていると、レジーナの下半身が溶けて血溜まりと化した。
「! 溶けた……」
残ったのは遺骨と服だけ。
あとその辺に捨てた下着。
どうやら本当の本当に絶命したようだ。
人間と違ってドラグーンは死ぬと溶けるのか。
後に残らないだけゴミよりマシかもしれない。