【書籍化】S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった   作:ミズノみすぎ

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第38話【カティアと手合わせ】

 外はよく晴れていた。 

 朝食を食べ終えた俺は装備を整え【エルガンディ王国】にある練兵場へ向かう。

 理由はカティアさんとの約束である。

 例の【竜突き】の伝授の続きだ。

 

 カティアさんのやる気が半端じゃなく、昨日も限界まで鍛練していた。

 

 なんにせよ【竜突き】を習得するにはまず体内エネルギーである【気】を引き出す必要がある。

 もともと身体能力はその辺の騎士よりもズバ抜けて高いカティアさんだ。

 

【気】という体内エネルギーを引き出すのはさほど時間は掛からないだろう。

 俺はその【気】を引き出すのには5年ほど掛かったが、カティアさんならすぐ出来そうだ。

 この【気】を引き出さねばまず話にならず、あの【竜突き】は使えない。

 

「さてと、今ごろローエさんと先生は【竜軍の谷】で【アンブロシア】の探索中かな……」

 

 街中を歩きひとり呟いた。

 たくさんのドラゴンがいる場所だ。

 いくらローエさんと先生がS級騎士でも、絶対に大丈夫という保証はない。

 とても心配だが、まぁ……今は信じるしかない。

 

 彼女たちが戻ったらカティアさんと同じく俺の竜剣技を教えなければいけない。

 

 今後の戦闘も考慮してS級ドラゴンに決定打を与えられるだけの火力は持ってもらいたい。

 

 そのためにはやはりカティアさんと同じく【気】を引き出すことが先決だ。

 これは一般レベルの騎士では到底不可能なものだが、ローエさんたちほどのS級騎士ならばすぐに引き出すことが可能だろう。

 

【気】は武器の切れ味を上昇させる大切な要素だ。

【気】さえ引き出せれば、あとは武器の技量となる。

 ただ【気】を引き出して武器に纏わせてもダメなのだ。

 使い手の技量も必ず高くないといけない。

 

 しかし俺はその武器の技量の点においては心配していない。

 みんなS級騎士で十分な武器の技量を積んでいる。

 

 だからローエ・カティア・フランベールは【気】さえ引き出せれば一気に強くなれる。

 高い身体能力と高い武器への技量は整っているのだから。

 

 

 練兵場は広大で、石造りの地面は四角いフィールドとなっている。

 その周りには騎士たちの休憩所もあり、鍛練するにはもってこいの場所となっている。名前の通りに。

 

「おはよう隊長。待っていたぞ」

 

 ここで会うことを約束していたカティアさんがバスターランサーを構えて待機していた。

 

「お、おはようございます……」

 

 俺はカティアさんの背後の光景を見て声が引きつった。

 彼女の後ろにはボコボコにされ、黒コゲにされた騎士たちが山積みになっていたからだ。

 

 なんだこの惨状……

 

「あの、カティアさん。その人たちはいったい?」

 

「ん? ああ彼らか。お前が来るまで暇だったのでな。ウォーミングアップの相手してもらっただけだ。軽くな」

 

 か、軽く!?

 みんな死にかけてますけど!?

 黒こげの人はバスターランサーで爆破されたのかな?

 可哀想に。

 

 周りで見ている他の騎士たちもカティアさんに怯えているよ……

 

 可哀想に。

 

「な、なるほど。じゃあとりあえず──」

 

「その前に隊長」

 

「はい?」

 

「私と手合わせしてくれないか?」

 

「え?」

 

「私と隊長。どれだけ実力に差があるのか、もう一度確認させてほしい。頼む」

 

 いつも真剣なカティアさんだけど、今回もまた随分と真剣だ。

 俺たち騎士にとって対人戦などあまり意味はないのだが。

 

「それは構いませんけど、本気でいけば良いんですか?」

 

「ああ。私も本気でお前に挑む。遠慮はしなくていい」

 

「勝敗はどのように?」

 

「どちらかが片膝をつくまでだ」

 

 うわぁ~、それって戦闘不能になるまでのやつじゃん。

 女性に剣を向けること自体に抵抗があるのに。

 でもカティアさんにそんなこと言ったら怒られそうだしなぁ。

 

 ここは一人の騎士として見て相手するしかないか。

 カティアさんを満足させれば良いわけだし。

 

「わかりましたカティアさん。なら遠慮せずに本気で行きますよ」

 

「ああ。ありがとう隊長」

 

 本当に嬉しそうなカティアさん。

 本気を出してもらえることがそんなに嬉しいのだろうか。

 やはりそれだけ強さに対しては本気ということか。

 

「ところで俺が勝ったら何があるですかこれ?」

 

 ただの手合わせだ。

 何もないのは当たり前として、敢えて聞いてみた。

 するとカティアさんは真顔で答えた。

 

「なんでもしてやる」

 

「え!? 今なんでもって言いました!?」

 

「言った。私は嘘はつかない。約束する」

 

 カ、カティアさんカッコいい。

 やばい。

 俺も凄いやる気出てきた!

 

「ぃ、いいんですか!? 本当になんでもお願いしますよ?」

 

「構わん。だから本気で相手をしてくれ」

 

 この人……本当の本当に本気だ。

 

「……了解です。いつでもどうぞ」

 

 俺は背中のロングブレードを抜刀して構えた。

 カティアさんもバスターランサーを構える。

 

「お、おいあの二人!」

「【黒騎士】と【紅騎士】がやり合うのか!?」

「マジかよ! S級同士の決闘か!?」

「いや、手合わせって聞こえたぞ?」

 

 周りで見ている騎士たちが一斉にざわめき始める。

 それらに構わずカティアは一歩前へ。

 

「いくぞ! ゼクード・フォルス!」

 

 バスターランサーを起爆させ、爆風に乗って一気に間合いを詰めてきた!

 

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