【書籍化】S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった   作:ミズノみすぎ

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第424話【グロリアVSメルセーヌ】

「オラァッ!」

 

 開眼したグロリアの蹴りがメルセーヌの股間に炸裂した!

 

「っっっっ!!?!!?!?!?!!!」

 

 不意打ちには不意打ちで返したグロリアの金的。

 その威力はメルセーヌの身体が浮かぶほど!

 

「ひきゃあああああアアアあああアアアああああああああア!」

 

「どいつもこいつも気持ち悪いのよ! この変態野郎っ!」

 

 怒りのまま叫ぶグロリアに、股間を抑えて涙目になっているメルセーヌが喚く。

 

「ァ、アンタ! 血も涙もないの!?」

 

「うっさいわ!」

 

 怒りの鉄拳がメルセーヌの顔面にめり込む!

 

「ぶっ!」

 

「子宮を貸せだの種付けだの! 盛りのついた変態男か!」

 

 ぶっ飛ばしたメルセーヌに言い放ち、グロリアは駆け出す。

 

「こ、この……!」

 

 メルセーヌは全身に竜鱗を纏わせ竜人形態になった。

 迫るグロリアに対して防御を取るが……

 

「【轟拳】!」

 

【気】を纏ったグロリアの鉄拳がメルセーヌの腹に撃ち込まれた。

 

「うぶっ!?」

 

 その衝撃はメルセーヌを軽く吹き飛ばす!

 巨木に激突して大の字になったメルセーヌは、そのまま地面に突っ伏す。

 

「どうよ。けっこう効いたんじゃない? アタシ、パワーには自信あるのよね」

 

「ぅ、ゲホッゲホッ! この、ゴリラ女……! うっ! ゲホゲホッ! はぁ、はぁ、なんて怪力なの……鱗で受け切れないなんて……」

 

「降参するなら今のうちよ? 許さないけど」

 

「調子に乗るなあああ!」

 

 メルセーヌは口から氷柱を乱射!

 対するグロリアは……回避せずそのまま突っ込んでくる!

 

「な!?」

 

 あまりに無謀なグロリアの突撃。

 無数に発射された氷柱はグロリアの肩や腹などに命中するが、それでもグロリアはとまらず拳を振りかざしてきた。

 

「【轟拳】!」

 

 グロリアが拳を握り力を込める。

【気】を纏わせると同時にピンクの炎も纏った。

 それを見たメルセーヌは慌てて背中から翼を生やし、それに氷の棘を纏わせて全身を覆うマントのようにガードする。

 

「あははっ! これでどうよ! 殴れるもんなら殴って――――」

 

 ドゴンッ!

 グロリアは棘ごとメルセーヌの顔面を殴り飛ばした。

 思いっ切り振り被ったフルパワーのパンチが決まった。

 

 メルセーヌは吐血し吹き飛ばされ、また近くの巨木に全身を打ち付けられた。

 このときグロリアは不自然なほど自分にダメージがなかった。

 あんな棘を殴ったのにまったく痛みがなかったのだ。

 

「痛くなかった。どうなって……え!?」

 

 グロリアは自分の手を見て驚愕した。

 手が黒い鱗に覆われており、爪が鋭利なドラゴンのそれに変異していた。

 しかもわずかにピンクの炎を纏っている。

 

「な!? 嘘! なにコレ!?」

 

 突然の変異にパニックになるグロリアだが、それ以上にパニックになっている相手がいた。

 

「熱い! 熱い! 熱い熱い! なによこれええええ!?」

 

 メルセーヌだ。

 防御に使った翼から黒煙が上がっている。

 見ればピンクの炎が氷の棘を溶かして翼そのものにダメージを与えているようだった。

 どうやらこのピンクの炎は相手の身体に燃え移ってダメージを与え続けるらしい。

 

 いきなりこんなものが使えるようになった。

 これは攻撃魔法だろうか?

 それともドラゴンの血による副作用か?

 

 なんにせよ自分の身体に変化が起きたことは事実で、身体の中で何かが進行してしまったのだろう。

 グロリアは生まれながら魔法には恵まれなかったが、まさかこんな形で魔法のようなものを手にするとは思わなかった。

 

 また一歩……人間じゃなくなったってことね……

 

 落胆し、絶望が胸の奥を染め、そのさらに胸の奥で母ローエの顔が浮かんできた。

 あの母親がこれを知ったら、どんな顔をするか……

 

「アンタ魔法使えたのね! なんなのよあのピンクの炎は!」

 

「知らないわよ! いま初めて出たのよ!」

 

「嘘つけ! このっ!」

 

 今度はメルセーヌが突撃してきた。

 彼女もドラゴンの手を振り被ってくる。

 対するグロリアもやむを得ず変異したばかりのドラゴンの手で応戦した。

 

「はあああっ!」

「えええいっ!」

 

 グロリアとメルセーヌが互いに吼えてすれ違う。

 バクンッ! と二人の脇腹が爪で抉れた。

 

 メルセーヌの冷気を纏った爪はグロリアの傷を凍りつかせ再生を邪魔するが、ピンクの炎が瞬時に溶かして再生を助けた。

 対してメルセーヌは傷がピンクの炎で燃やされ広がっていく。

 

「あ、ああ!? 熱い! なんで!? なんで再生しないの!? 熱い! 熱いぃいいいいい!」

 

 火傷を超える激痛にメルセーヌがのたうち回る。

 

「ああぁあ! ま、まさか時間切れ!? そんな……そんな! アアアぁああ! 熱いぃいいい!」

 

 火を消そうと地面を転げ回るメルセーヌは、全身から冷気を出してなんとか消火に成功する。

 しかし次の瞬間にグロリアに首を掴まれ持ち上げられた。

 

「あ!」

 

「いま楽にしてあげるわ」

 

「っざけんなっ!」

 

 メルセーヌは腕に大型の氷ブレードを形成してグロリアの腹に突き刺した。

 ゴフッと吐血するグロリアだが、首を掴む力は弱めない。

 

「燃え尽きろ!」

 

 叫んだグロリアの手からピンクの炎が燃え広がり、メルセーヌの全身を一気に包んだ。

 

「ぎゃあああああアアアああアアアああああああああああアアアああアアアああああああああああああ!」

 

 メルセーヌの断末魔が【ヒュンペリアの森】に響き渡る。

 ピンクの炎はメルセーヌの再生を上回る火力で、彼女をあっという間に灰にした。

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