【書籍化】S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった   作:ミズノみすぎ

60 / 448
第57話【戦塵】

 天候が回復するのに、そう時間は掛からなかった。

 

 雨や雷、そして強風が、驚くほどあっさり止んだのだ。

 灰色の雲は流れ去り、俺たちの空は蒼天へと変わっていた。

 

 ただの通り雨だったのか?

 それにしては激しかった気がする。

 雷まで鳴り響いていたし。

 

 ……考えても仕方ない。

 今はとにかく前に進もう。

 ズブ濡れにされたがまぁいい。

 これなら【アークルム王国】への移動にそう時間は掛からないだろう。

 

 どうか間に合ってくれ!

 

※

 

 しかし、そんな俺の願いは虚しくも叶わなかった。

 

 馬での長距離を移動後、無事に【アークルム王国】へたどり着いたが、すでにそこでは戦塵が立っていた。

 

 見ればゲートが破壊され、突破されており、街中にドラゴンが侵入しているみたいだった。

 城壁越しからでも見える一体の巨大なドラゴンが街中で大暴れしている。

 

 なんて大きさだ。

 遠目で見てもなんとなく分かる。

 報告にあった巨大なドラゴンマンか。

 

 間違いなくアイツがS級ドラゴンの一体だろう。

 やつのせいで街のあちこちで黒煙が上がっている。

 

 ん?

 もう一体が見当たらない。

 また魔法大砲で撃退したのだろうか?

 それともまだ到着していないのか?

 

 かなりの巨体で鈍足だと国王さまが言っていたから、まだ現れていない可能性の方が高いか。

 

 なんにせよ被害状況がヤバそうだ。

 

 一応まだ大砲の爆音やバリスタの発射音などは響いている。

 アークルムの騎士たちはまだ諦めずに戦っている。

 急ごう!

 

 俺たちは馬を加速させ、破壊されたゲートへと突撃していく。 

 

 入った街中では爆音などのほか、住民たちの悲鳴なども聞こえてきた。

 いや、これは味方の騎士たちの悲鳴かもしれない。

 

 建物は半壊したものが大半を占め、そのほとんどが火事になっている。

 街道には倒れた騎士や市民たちの死体が何人も転がっていた。

 

 半身を食いちぎられた者や、黒こげにされた者。

 中には真っ二つに引きちぎられた死体まであった。

 食い散らかされている死体もある。

 

 血の臭いも凄まじく、思わず目を閉じたくなる惨状だった。

 

 ドラゴンたちは街の奥まで侵入しているようで、まだ見当たらない。

 爆音や悲鳴が聞こえるのはもっと奥。

 おそらくアークルム城の手前だ。

 

「俺はS級ドラゴンを片付ける! みんなは散開してドラゴンの数を減らすんだ!」

 

「了解だ!」

「了解ですわ!」

「了解よ!」

 

 カティア・ローエ・フランベールの返答を聞いて、さらに街中を突き進む。

 そして街を抜けて、ついに広場へ出た。

 

 そこから景色は一変した。

 たどり着いたその場所は【アークルム王国】の城の前。

 ドラゴンの大群と騎士たちが激しい攻防を繰り広げる激戦区だった。

 

 最後の防衛ラインである城を背にして戦うアークルムの騎士たちと、それに群がるA級ドラゴンども。

 ドラゴンマンもかなり混じり、その中でもひときわ巨大なドラゴンマンが味方の騎士たちを薙ぎ払っている。

 

 とんでもなく劣勢だ。

 巨大なドラゴンマンは赤い鱗に覆われており、両手に炎を纏わせている。

 あれが奴の武器らしく、殴った先で爆発を起こしている。

 

 その爆発にまた何人かの騎士たちが悲鳴と共に吹き飛んでいく。

 

「全員散開! アークルム王国に加勢する!」

 

「了解!」とカティアたちが馬を飛び降りて三方向に散った。

 

 俺も馬を降り、まっすぐS級ドラゴンのもとへ足を加速させる。

 俺は背後からすれ違い様にA級ドラゴンたちを切り裂き、

 ローエはマグナムハンマーでA級ドラゴンの頭を爆砕し、

 カティアはバスターランサーでA級ドラゴンの首を突き刺し爆破。

 フランベールもA級ドラゴンの頭部を【アイスアロー】でぶち抜いていく。

 

 背後からの奇襲という形になり、他のA級ドラゴンたちが遅れてやっとこちらに気づき咆哮した。

 

 俺は【竜斬り】を駆使してドラゴンの大群を一点突破していく。

 

 雑魚はカティアさんたちに任せればいい。

 俺はあの派手に暴れているS級ドラゴンを一刻も早く押さえねばならない!

 

 でないと被害が増える一方だ!

 

 立ち塞がるA級ドラゴンとドラゴンマンどもを斬りふせながら、俺はS級ドラゴンに接近した。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。