遊戯王OCGデュエルモンスターズ【白の物語】   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第9話【鉄獣の邂逅(トライブリゲード・ランデブー)

《スプリガンズ》たちに会う為に、大砂海(だいさかい)ゴールド・ゴルゴンダに侵入したアルバスとエクレシアは、砂漠へ繋がる岩山でスプリガンズ・バンガーの奇襲を受けた。

 

何とかスプリガンズ・バンガーを退けたアルバスであったが、その直後に《スプリガンズ》の者達に囲まれてしまう。

 

「エクレシア。俺から離れるなよ」

 

「は、はい。ですが……争わない方法は無いのでしょうか」

 

「それは、相手次第だな」

 

エクレシアの願いを否定する事なくアルバスは正面に立つ、スプリガンズ・キャプテン サルガス、スプリガンズ・ロッキー、スプリガンズ・ピードを見つめた。

 

そんなアルバスを見て、サルガスはニヤリと笑う。

 

「おい! お前! ここが俺たち《スプリガンズ》の縄張りだと分かってて、ここに居るんだろうなぁ!?」

 

「あぁ。お前たちに会いに来たんだ」

 

「俺様達に会いに来た!?」

 

「どういう事だ!?」

 

「なんで俺たちの事を知ってる!?」

 

次から次へと重ねられるサルガスたちの質問に、アルバスは一瞬迷いながら最後に聞こえた質問に答えた。

 

「シュライグからお前たちの事を聞いた」

 

「シュライグだとぉ~!? じゃあそのシュライグはどこに居るってんだ!」

 

「ここには居ない」

 

「何ぃ~!? 怪しいぞ。お前」

 

アルバスの言葉にサルガスは周囲を見渡すが、当然だがシュライグはここにおらず、サルガスはアルバスの発言を疑い戦闘に入る準備をした。

 

そんなサルガスを見て、ロッキーとピードも戦闘状態に入り、ピリッと空気が緊張を混じらせた事でアルバスもまた、右手を《スプリガンズ》達に向けながら戦闘状態に入る。

 

一触即発。

 

そんな言葉が似合う状態になった訳だが、迂闊に動けば危ないかと考えるアルバスと《スプリガンズ》達とは違い、エクレシアは状況をそれほど理解しておらず、迂闊に動いた。

 

とは言っても、砂漠に座っている状態から立ち上がろうとしただけなのだが、それにアルバスが気を取られた瞬間、サルガスがアルバスに飛び込んで、その体を押さえつけてしまった。

 

まさに一瞬の出来事であり、不意を突かれたアルバスも驚愕に目を開いていたが、まだ上から押さえつけられているだけだと竜化の力を発現させるべく体に力を入れる。

 

しかし、その行動もアルバスを助けるべくサルガスに飛びついたエクレシアによって中断されてしまうのだった。

 

「アルバス君を離してください! 私たちは争いに来た訳では無いんです! 話を聞いてください。 私たちはシュライグさんに《スプリガンズ》の皆さんについて教えられて……」

 

「だー! 暴れるなぁー! お前も、お前もぉー! 大人しくしろっ!」

 

「エクレシア! 離れろ! 俺はまだ!」

 

「うぉっ! この状態でまだ動けるのか!」

 

砂漠の上に押さえつけられ、拘束されていたハズのアルバスが抵抗する様に動いた事でサルガスは驚きの声を上げるが、その声に反応したロッキーとピードもサルガスに協力し、アルバスを抑え込んだ為、流石のアルバスもそれ以上抵抗出来ず大人しくなった。

 

無論それはここで竜化の力を使えばエクレシアを巻き込む可能性がある為、それを嫌がったからである。

 

だから、《スプリガンズ》達の隙を見つければいつでも戦う覚悟があった。

 

しかし今は耐える時である。

 

故に。

 

「は、話し合いましょう。私たちは話し合う事が出来る。言葉を持って生まれてきたではないですか」

 

「お、おとなしく……しろー!」

 

「私たちは分かり合えます。そう思いませんか? こうして言葉を交わして」

 

「きゃ、キャプテーン」

 

「う、うむ……とりあえず縛るとしよう」

 

「きゃー! あー! 話を、話し合いをしましょうー!」

 

「二人とも一緒に縛っちまえ!」

 

「あーれー」

 

アルバスはエクレシアが捕まっても、歯を食いしばり、耐えた。

 

今はまだその時ではないと、ただひたすらに……耐えるのだった。

 

 

 

とりあえず流れでアルバスとエクレシアを捕まえた《スプリガンズ》達であったが、彼らをスプリガンズ・シップ エクスブロウラーの中に引き入れた後で、後悔していた。

 

何故なら、彼らが戦い続けてきた砂漠に住まうモンスターたちとは違い、アルバスやエクレシアと戦闘らしい戦闘にはならなかった事。

 

そして、ドタバタの中ですっかり忘れていたが、アルバスとエクレシアの頭上で飛び回るメルクーリエの存在を思い出したからだ。

 

「あー。なんだ。お前らは、何者だ」

 

「シュライグにお前たちの事を聞いて、来た」

 

「……確かか?」

 

「メルクーリエがその証拠だ」

 

「う、むぅ」

 

サルガスはキャプテンとして格好良くこの事態を解決するべく、考えていた。

 

しかし、良い答えは出ないままただ時間ばかりが過ぎてゆく。

 

「何か誤解があると思うんです! 信じて下さい! 私たちは確かにシュライグさんのお友達で、皆さんともお友達になれると思うんですっ!」

 

そして、サルガスの前には捕まえた時と同じく平和と対話を訴える少女が一人。

 

砂漠の主との戦いでは起こり得ない事態は《スプリガンズ》の者達やサルガスを激しく追い詰め、サルガスに一つの答えを選ばせる。

 

「キットを呼ぼう」

 

「キャプテン……!」

 

「俺様の頭はもう限界だ。こういう時は頭の良い奴に聞くというのが最も正しい。そうだろう? ロッキー。頼む。呼んできてくれ」

 

「あいさー!」

 

サルガスの言葉にロッキーは異世界にあるというミサイルの様に彼らの仲間であるキットの元へ飛んで行った。

 

そう。キットこと【鉄獣戦線(トライブリゲード) キット】である。

 

シュライグと同じ鉄獣戦線(トライブリゲード)の出身であり、戦場に子供を立たせたくないというシュライグとフェリジットの願いで《スプリガンズ》に預けられた、今では《スプリガンズ》イチの知恵者だ。

 

というワケで、キットが来るまでの時間をただ静かに……。

 

「どうかお話を聞いてください。神は仰いました。世界は一つになる事が出来るのだと」

 

「……」

 

……待ちたいのだが、そんなサルガス達の願いは叶わず、エクレシアを誰も止められぬまま彼女の話は平和と対話から愛と平和へと変わり、部屋の中で一人その願いが響き続けるのだった。

 

もはやそんなエクレシアにアルバスすらもやや引き気味であり、《スプリガンズ》達にしてみれば、この世の終わりであった。

 

そして、彼らの願いが一つとなり、救世主たるキットの登場を祈っていたのだが……遂に激しい物音と共にロッキーがキットを背に乗せたまま部屋に飛び込んで来た。

 

ロッキーの背に乗って部屋に飛び込んできた少女はフェリジットによく似た幼い少女で、愛らしい無邪気な瞳で部屋に飛ぶメルクーリエを見つけると、思わず声を上げるのだった。

 

「メルクーリエ! メルクーリエじゃない! リズねえちゃんが来てるの!?」

 

キットはヨッとロッキーから飛び降りると部屋の中に集まっている《スプリガンズ》達を順に見ながら、誰かを探す。

 

そして、その姿が無い事に気づくと、見慣れない二人組に尋ねるのだった。

 

「貴方たちリズねえちゃんの知り合い?」

 

「リズねえちゃん……ですか?」

 

「そう。私と同じ鉄獣戦線(トライブリゲード)の戦士、鉄獣戦線 徒花のフェリジット(トライブリゲード あだばなのフェリジット)って言えば、有名な人だよ」

 

「あぁ、フェリジットさんですか!? はい! お友達です! それにシュライグさんや、ルガルさん、フラクトールさん達ともお友達になりました」

 

「そうなんだ! 懐かしいなぁ~。ねぇねぇ。みんな元気にしてた?」

 

「はい。とてもお元気で。怪我を治している最中なのに、『このままでは体がなまる!』と仰って、見上げる様な大きなモンスターを倒しに行ったりもしていましたね」

 

「アハハ。そうなんだ。変わらないね」

 

楽しそうに話すキットを見て、サルガスはアルバスとエクレシアが確かにシュライグの仲間であると確認した。

 

ならば、と立ち上がると楽しそうに話すエクレシアとキットを見て、口を開く。

 

「おっと! 話はそこまでだ!」

 

「キャプテン?」

 

「キット。そいつらはまだ仲間じゃない。俺たちの仲間になるのなら、力を示さなきゃならん。そう! 何故なら俺たちはスプリガンズ! この砂漠で最も強く、勇気あるトレジャーハンターだからだッ!」

 

サルガスは右手を振り上げて、そう叫んだ後、ニヤリとアルバスを見て笑う。

 

「それに……お前も、暴れたそうだしな」

 

「……お前じゃない」

 

「む?」

 

「俺は、アルバスだ」

 

「あ、私はエクレシアです!」

 

「そうか!! ならば! アルバス!! そしてエクレシア! お前たちの入団試験を始める!!!」

 

サルガスの放った言葉にアルバスはやや嬉しそうに笑うのだった。

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