遊戯王OCGデュエルモンスターズ【白の物語】   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第17話【烙印の裁き(らくいんのさばき)

デスピアでアルベルが使った赫の烙印(あかのらくいん)の影響を受けた二匹の巨大なモンスターは互いの身の内に眠るホールの力を狙い、体をぶつけ合わせ、その身を食い破ろうと牙を立てる。

 

アルビオンとゴルゴンダ。

 

二つの巨大で強大な暴力のぶつかり合いは、この世の終わりを思わせる。

 

「キャ、キャプテン」

 

「分かってる……だが、意地は関係なく逃げる訳にはいかねぇだろ。あのデカいドラゴンはアルバスなんだぞ」

 

「……アルバス」

 

エクスブロウラーの艦上で、ロッキーとサルガスの会話を聞きながら、キットはゴルゴンダの喰らいつくアルバスを見つめる。

 

それから隣に立っている両手を握り合わせてアルバスの無事を祈っているであろうエクレシアを一瞬見てから、すぐにアルバスへと視線を戻して、呟いた。

 

「何やってんのさ。あのバカ」

 

キットが零した声はどこにも届かず消えて行ったが、アルバスことアルビオンとゴルゴンダの争いは苛烈さを増してゆき、その戦闘範囲も規模も時間と共に広く大きくなっていった。

 

「キャプテン! マズくないカ!?」

 

「段々とこっちに近づいてきてるゾ!!」

 

「ヤバいな! エクスブロウラー後退だ! 急げ!!後ろに向かって全速前進ダッ!!」

 

サルガスの声に応え、ロッキーとピードは急いでエクスブロウラーを動かすべく制御室へと向かった。

 

そして、キットもエクレシアを連れて船内へと行こうとしたのだが……エクレシアはそれを拒否する様に首を振った。

 

「いや、ここに居ると危ないんだって! ホラ! もう、すぐ近くまで来てるでしょ!?」

 

キットが言う様に、アルビオンとゴルゴンダの争いは段々とエクスブロウラーの方へ近づいてきており、巻き上がった砂漠の砂が雨の様に降り注いでいる。

 

しかし、それでもエクレシアは動かずアルバスの無事を祈る様に再び両手を握って祈り始めた。

 

そんなエクレシアにキットは苛立ちを込めながら、エクレシアの腕を掴んでエクスブロウラーの艦内に連れて行こうとした。

 

しかし、それよりも前にゴルゴンダが大きく口を開けながらエクスブロウラーの方に飛び込んできたのである。

 

アルビオンを狙おうとして、狙いが逸れたのか。

 

もしくは何度も争っているエクスブロウラーを見つけて、先に潰そうとしたのか。

 

その真意は分からないが、もはやキットとエクレシアに理由を考えている暇など無かった。

 

何故なら二人の眼前には巨大なゴルゴンダの口が迫ってきていたからだ。

 

このまま喰われてしまう。

 

エクレシアは咄嗟に呆然としているキットの体を抱き寄せて、ゴルゴンダから守ろうとした。

 

しかし。

 

「……っ!!?」

 

突如として、ゴルゴンダと戦っていたアルビオンがゴルゴンダに体をぶつけるとそのまま空へと舞い上がり、遥か遠い砂漠に落としたのである。

 

「たす、かった?」

 

「……アルバス君」

 

その光景にキットは呆然と呟き、遠い場所へ移動したアルビオンとゴルゴンダを見つめ、エクレシアは何かを決意したかの様に走り出した。

 

向かう場所はエクスブロウラーの艦内だ。

 

「ちょっ! エクレシア!? どこに行くの!?」

 

「キットちゃん! 試作品のスプリンドⅡ型お借りします!」

 

「えぇ!? いや、待って! どこに行くつもり!?」

 

エクレシアはキットの問いに答えないまま走り、聖痕を持っていた時と同じ高い身体能力で獣人であるキットを置き去りにして走る。

 

そして、格納庫で簡易修復された一人乗り用に小型化された鉄駆竜(てっくりゅう)スプリンドに乗り込み、自分の中にある力を注ぎ込んだ。

 

「エクレシア! 駄目だよ!」

 

「ごめんなさい! キットちゃん! 後で返します!」

 

「エクレシ……っ!?」

 

キットが止めるのも間に合わず、エクレシアは砂煙が立ち込めている砂漠の世界へと飛び出した。

 

格納庫の向こうに消えたエクレシアをキットはもはや追う事が出来ず、悔しさを滲ませながら制御室へと向かうのだった。

 

 

 

制御室へとたどり着いたキットは部屋の中に入った瞬間にサルガスへ声をぶつけた。

 

「キャプテン!! ゴルゴンダとあのドラゴンの所にエクスブロウラーを向かわせて!」

 

「何ィ!? 突然何を言い出すんだ! お前は! このまま突っ込んだらバラバラになっちまうぞ!」

 

「あの二匹の所にエクレシアが突っ込んじゃったんだよ!」

 

「「「な、なんだってー!?」」」

 

ロッキーはキットの言葉に急いでレーダーをゴルゴンダの方へと向け、エクレシアの姿を探す。

 

しかし、砂嵐が酷くその姿を見つけてもすぐに見えなくなってしまうのだった。

 

「キャプテン!」

 

「エクスブロウラー反転! ゴルゴンダに向かう!!」

 

「本気カ!? バラバラにされちまうゾ!」

 

「エクレシアもアルバスも仲間だぞ!! 見捨てられるか! 俺様たちは《スプリガンズ》! 友は絶対に見捨てない!! そうだろう!?」

 

サルガスの叫びに、ロッキーとピードはニヤリと笑うと、腕をグルグルと回しながら、エクスブロウラーをゴルゴンダの元へ向かわせる。

 

そして、そんな二人を見ながら、サルガスは艦内に通信を行うのだった。

 

「《スプリガンズ》全員に告げる! 我々は今からゴルゴンダに突撃する! だが、我々の傷はまだ癒えていない。奴に受けた傷がそのままだ」

 

「このまま戦えば、我々は命を落とすかもしれない!! しかし! あの場所では既にアルバスとエクレシアが戦っている!!」

 

「二人を見捨ててこのまま逃げる事が正しい事だろうか!? 否! 否だ!! そんなのは格好良くない!! そうだ! そうだろうとも!!」

 

「例え死ぬとしても!! 仲間の為に強敵へ立ち向かう……それは、それは!!」

 

「燃えるだろ!?」

 

サルガスの声に、艦内に居た《スプリガンズ》たちは飛び跳ね、喜び、興奮しながら声に応え戦闘準備を行っていく。

 

そう! 《スプリガンズ》の最も好きな事は『燃えること』なのだ。

 

ならば、友の為に命を賭して戦うというシチュエーションに喜ばない訳がない。

 

これこそ、我らの生きる本懐とばかりに《スプリガンズ》たちは笑みを浮かべながら砂漠の砂を巻き上げ争う二匹のモンスターへと突撃するのだった。

 

 

 

「……エクレシア、アルバス」

 

「そう心配するな。キット。俺様達が行くんだ。必ず助けられるさ」

 

「キャプテン」

 

「何せ俺様たちは《スプリガンズ》! そして、俺様はぁー! キャプテーン!! サルガスだからな!!」

 

サルガスはその大きな黄色い体を揺らし、力を見せつけながらキットに笑いかける。

 

無論、その言葉には何の保証も無いのだが、それでもその言葉の頼もしさにキットは微笑んだ。

 

そして、エクスブロウラーはサルガスの指示と《スプリガンズ》たちの意思の下、遂にゴルゴンダの姿が視認出来る所まで突き進み、そのままサルガスの「突撃!!」という言葉を合図として、突っ込もうとした。

 

だが、そんなエクスブロウラーの前で、突如として天空より雷が降り注ぎゴルゴンダが雷に焼かれてしまう。

 

「な、なんだ!? 何が起きた!?」

 

「雷が……急に降って来たぞ!?」

 

「まさか、俺様の隠された力が目を覚ましたのか……!?」

 

「バカな事言ってないでよ! キャプテン! こんなの自然現象じゃない。何かあったんだ」

 

キットはそう言いながら、レーダーに駆け寄り、何か異常を探す。

 

そして、岩山の上に立つ者達を発見するのだった。

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