遊戯王OCGデュエルモンスターズ【白の物語】   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第18話【スプリガンズ・インタールーダー】

ぶつかり合うアルビオンとゴルゴンダの戦闘を止めるかの様に、ゴルゴンダを貫いた雷はゴルゴンダの動きを止め、砂漠の海にその体を落とした。

 

砂煙を上げながら落ちるゴルゴンダを見て、安堵の息を漏らしたキットたちは、この雷を放ったであろう人物を見据える。

 

「しかし雷とは……どこのモンだ。鉄獣戦線(トライブリゲード)の連中か?」

 

「いや、違うと思うよ。こんな力……どっちかっていうと、多分ドラグマの人たちじゃ無いの?」

 

「ドラグマって、確かエクレシアたちを追ってる連中だろ?」

 

「うん。そうだと思う」

 

キットの言葉で現状を理解したサルガス達は最大限の警戒と共に、エクスブロウラーでその者たちが居る場所へと向かった。

 

ゴルゴンダという脅威は去ったが、新たな脅威が現れたからだ。

 

 

 

そして岩山までたどり着いた《スプリガンズ》達は、エクスブロウラーから外に飛び出して、日の光を背にしながら立つ三人の人間を見据えて、声を上げた。

 

「お前たちは何者ダ!!」

 

「ここが俺様達《スプリガンズ》の縄張りだって知ってるんだろうな!?」

 

勢いのままに叫ぶ《スプリガンズ》たちに、岩山の上に立っていた者達は、逆光で姿を隠しながら名を名乗った。

 

まず中央に立っていた者が剣を高く掲げ名乗りを上げる。

 

「お前たちが《スプリガンズ》か! 私は【妖眼の相剣師(あやめのそうけんし)】フルルドリス!! 相剣の力を手に入れ、最愛の妹を守る為にこの地へ来た! さぁ、案内して貰おうか!!」

 

「妹だと!?」

 

サルガスは一瞬、キットへ視線を向け確認をするが、キットには覚えがなく首を振った。

 

そんなキットの反応に、サルガスは再び声を上げる。

 

「俺様達はそんな奴知らないぞ!」

 

「しらばっくれるか! ならば……!」

 

フルルドリスはサルガスの声に頷くと、崖上から飛び降りて、サルガス達の前に降り立った。

 

そして頭に被った編み笠を押さえつつ、その陰からジッとサルガス達を見据える。

 

その鋭い目に思わず《スプリガンズ》たちは一歩後ろに後退するが、サルガスだけは意地でもその場から動かず、フルルドリスに真っすぐ視線を返した。

 

「隠すとためにならんぞ」

 

「隠すも何も知らん」

 

「言葉じゃ限界があるだろ! まずは力を示さなけりゃな!」

 

フルルドリスとサルガスの対話に限界を感じたのか、崖の上から二人の男たちが降りてくると、それぞれ武器を構えながら名乗りをあげた。

 

「【軒轅の相剣師(けんえんのそうけんし)】テオ!!」

 

「同じく、アディン!」

 

二人が名乗った後、テオと名乗った青年が両手の指を鳴らしながら前に一歩出る。

 

「おう。そこのお前。見たところ、相当な力自慢と見た。どうだ? まずは俺とやろうじゃないか」

 

「……テオ。貴方のそういう所は本当に変わりませんね。良いんですか? フルルドリス」

 

「まぁ、私が出る訳にもいかないし。アディンも支援型だからな。平和的に始めるなら良いのかもしれない」

 

「フルルドリスがそれで良いのなら良いですが」

 

アディンは呆れた様に、成り行きを見守る姿勢に移った。

 

そして、アディンとフルルドリスに見守られながら、テオはサルガスの前に立ち、両手を掲げる。

 

そのポーズに、サルガスは何かに気づくと、興奮し飛び跳ねながら両手をテオに合わせて握り合わせた。

 

「気が合うじゃねぇか」

 

「お前もな。俺様と張り合えそうな人間とは、燃えるぜ!!」

 

「やるぞ!!」

 

「おぉ!!」

 

サルガスとテオは互いに雄叫びを上げながら、力をぶつけ合うがそれは拮抗し、二人はそのまま地面を砕きながら力を込め続ける。

 

「っ! まさかテオと同等とは!」

 

「キャプテンが倒しきれないなんて……!」

 

アディンとキットは驚き声を上げるが、二人は笑みを崩さぬまま大地を踏み砕き、力を上げ続けていた。

 

二人の争いはいつまでも終わる気配を見せず、アディンは呆れた様に先ほど声を上げたキットに話しかける事にした。

 

「そちらのお嬢さん。鉄獣戦線(トライブリゲード)のキットでしょう? フェリジットの妹の」

 

「リズねえちゃんの事知ってるの!?」

 

「あぁ。シュライグやルガルとも知り合いです。君の事も彼らから聞いています」

 

「そうなんだ」

 

すっかり警戒心を解いたキットに、初めから話し合いで良かったじゃないかとアディンはぼやきながら、この場所へ来た目的を語る。

 

「実はですね。私たちはエクレシアという少女を探しに来たのです。まぁ、一言でいうなら妹の様な存在でして……その無事を確かめに来たという所ですね」

 

「エクレシアなら……っ! そうだよ! エクレシア!! キャプテン! 遊んでる場合じゃないよ! エクレシア!!」

 

「む!? お、おぉ! そうだな!! だが、ちょっと待て! この男と決着をつけてから……!」

 

「そんな場合じゃないでしょ!?」

 

「いや、しかしな。ゴルゴンダも倒れてるし。エクレシアの傍にはアルバスが居るだろうから、心配は要らないだろう。エクレシアもそんなに弱くはない」

 

サルガスがテオとの力比べを続けながら放った言葉に、テオもアディンもやや安堵した様な表情を見せたが、たった一人……エクレシアが拾われた日から姉を自称し続けてきた女だけは、瞳に鋭さを宿した。

 

「アルバス……? 何者だ。ソイツは」

 

「え? 知らないの? ほら、エクレシアと仲良い子だよ」

 

「知らん」

 

「えぇぇえ!? いやいや。居たでしょ。ほら、エクレシアが好きな子だよ。アルバスもエクレシアの事が好きみたいだけどさ……っ」

 

「エクレシアの事が、好きな奴だと!!?」

 

フルルドリスはキットの言葉に怒りを膨れ上がらせて、爆発させた。

 

その怒りはフルルドリスの力を暴走させて、砂漠のあらゆる場所に雷を落とし、砂を爆発させた。

 

「な、なんダ~!?」

 

「あの女がヤバい奴だ! キャプテン! ヤバい!」

 

「どうにかしてくれ!」

 

「どうにかって、言われてもな! 俺様も今、手が離せねぇんだ! ロッキー! ピード! 何とかしてくれ!」

 

テオと力比べをしたままサルガスは叫び、指名されたロッキーとピードは体の部品を一部吹き飛ばしながら、怒りに震えるフルルドリスを見つめる。

 

敵はゴルゴンダを一撃で倒す女であり、ゴルゴンダと言えば、《スプリガンズ》達が全員で挑み、互角という相手である。

 

勝てる訳がない。

 

いや、勝てないから挑みたくないというワケではないが、それでも挑むだけの理由が欲しい二人であった。

 

「お、お前なんか、怖くねぇゾ!!」

 

「そうダ!! 俺たちは、《スプリガンズ》……」

 

「そのアルバスという奴は何処にいる……! エクレシアをたぶらかす、邪悪な者は……!」

 

フルルドリスはロッキーとピードの言葉を聞いているのか、聞いていないのか。

 

足元にある砂を踏みしめながら、一歩前に出て、正面に立ったロッキーとピードの二人を見下ろした。

 

その余りにも強い眼光に二人は何処から取り出したのか負けと書かれた旗を掲げて、怯えた様にうずくまってしまうのだった。

 

「ちょ、ちょっと! 二人はエクレシアと友達なんだよ! イジメないでよ!」

 

「そうですよ。フルルドリス。やり過ぎです」

 

「……いや、しかし。そのアルバスという奴を何とかしなくては」

 

「もー! アルバスならあっち!」

 

フルルドリスの物言いに怒ったキットは先ほどまでゴルゴンダと戦っていた方を示した。

 

そして、その行動に初めてこの場に居た全員がアルバスの方を見て目を見開く。

 

何故ならそこには、全身が赤い灼熱の炎に包まれたアルバスが居たからだ。

 

「あれは!?」

 

「……姿は少し違うが、ドラグマを襲った奴に似ている」

 

「まさか、エクレシアを追って!?」

 

「無くはない話だ。とにかく今はエクレシアを見つけるぞ!」

 

フルルドリスはアディンと話しながら、エクレシアの姿を探すが、その姿は見えない。

 

それもそうだろう。

 

エクレシアは今、アルビオンが生み出した炎の内側に居るのだから……。

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