遊戯王OCGデュエルモンスターズ【白の物語】   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第21話【龍相剣現(りゅうそうけんげん)

黒衣竜(くろごりゅう)アルビオン】となったアルバスの背に乗りながら、エクレシアは大砂海(だいさかい)ゴールド・ゴルゴンダを離れ、遥かな秘境の地【大霊峰相剣門(だいれいほうそうけんもん)】を目指していた。

 

フルルドリスやテオ、アディンらが暴走する聖痕の力を治す為に、向かい新たな力を手に入れたという話を聞き、エクレシアはキットから託された竜骨の使われた戦槌を握りしめた。

 

ドラグマの聖女としてではなく、アルバスと共に生きてゆく事を決めたエクレシアは【白の聖女(しろのせいじょ)エクレシア】として、気持ちを新たに持ち、前向きな笑顔で遠くを見据える。

 

「アルバス君。相剣師(そうけんし)とはどういう方々なのでしょうね」

 

「……っ!」

 

「ふふ。そうですね。どの様な方々でも、キャプテンさんやキットちゃん達の様にお友達になれば良いですよね」

 

「……!」

 

「ありがとうございます。でも、私が前向きになれるのはアルバスが一緒に居るからですよ」

 

「……」

 

ニコニコと笑いながらアルバスの背を撫でて、エクレシアは笑う。

 

エクレシア以外にはアルバスの声はただの唸り声にしか聞こえていないが、エクレシアにはアルバスの声が聞こえているのか会話をして楽しんでいるのだった。

 

 

 

それから、アルバスとエクレシアはひとしきり空の旅を楽しんでいたのだが、周囲の景色に険しい山々が増えてきた事に気づき、エクレシアはアルバスに声を掛けた。

 

「アルバス君。そろそろ大霊峰相剣門(だいれいほうそうけんもん)じゃないですか?」

 

エクレシアの問いに、アルバスは周囲を見渡しながら大きく頷き高度を落とし始めた。

 

アルバス達はこのまま適度な場所で降りて相剣師(そうけんし)たちの秘境を歩いて探す……予定だったのだが、かなり地表に近づいた時、地面から何かがアルバス達目掛けて飛んできた。

 

「っ!? アルバス君!」

 

エクレシアは持っていた戦槌で上手く地上から放たれた攻撃を弾くと、アルバスに合図をして危機を知らせる。

 

アルバスはエクレシアの声に応えながら風を切る様に飛び、エクレシアはやや傾いたアルバスの上からキットと同じ型のゴーグルを付けて地上の敵を見据えるのだった。

 

「……何も見えませんが、でも、何処かに居るはずです」

 

エクレシアは呟きながら、敵の姿を探し……そして遂にその姿を見つけた。

 

「そこです!!」

 

大声と共にアルバスの上から跳んだエクレシアに驚き、アルバスは止めようとするが、その手は間に合わずエクレシアは岩山へ飛び込み、アルビオンよりもやや大きいくらいの岩を新型の戦槌で完全に破壊した。

 

砕かれた岩の破片は周囲に飛び散り、隠れていた者達もその衝撃で吹き飛ばされる。

 

「っ!? まさか、こんな!」

 

「これほどの力を持っているとは!」

 

岩陰から出てきた二人は、驚きながらも武器を構えそれをエクレシアに向けた。

 

その光景にアルバスは空から降りてきてエクレシアを守る様に立ったが、エクレシアは逆に一歩前に出るとアルバスを右手で制しながら左手でハンマーを構えて襲撃者を見据えるのだった。

 

「あなた方が何者かは存じませんが、襲われる様な覚えはありませんよ!」

 

「よく言う! その様な邪悪なドラゴンを連れて!」

 

「アルバス君は邪悪なんかじゃありません! 心優しい人なんです!」

 

エクレシアの言葉に、白い鎧を纏った男は立ち上がり、美しく透き通る様な剣を構えながら吼える。

 

「ドラゴンが心優しいなど、お前はそのドラゴンに操られているのではないか!?」

 

「そうだ! その様に邪悪な気配を放つドラゴンのどこが心優しいというのだ!」

 

鎧の男に続いて、同じ様な白き流線形の鎧を纏った女も叫んだ。

 

その勢いにエクレシアは一歩後ずさるが、すぐ後ろにアルバスが居る事を思い出し、気を強く持ってハッキリと言い放った。

 

「アルバス君に邪悪な意思などありません! それは私が保証します」

 

「お前が何の保証になるというのだ」

 

「……確かに。そう言われるとそうですが」

 

「そもそもお前たちは、何故この地に来た!」

 

エクレシアは女に問われ、ハッと思い出したかの様に言葉を紡いだ。

 

「私は、フルルドリスお姉様にここを紹介されて来ました」

 

「フルルドリスだと……?」

 

妖眼の相剣師(あやめのそうけんし)か。ではお前はエクレシアか」

 

「はい。私はエクレシアです」

 

「そうか……それは失礼をした。私は【相剣師(そうけんし)莫邪(バクヤ)】」

 

白い鎧を纏った女は美しい剣を空気に溶かして消し、姿勢を正してエクレシアに語り掛けた。

 

そして莫邪(バクヤ)に続いて、隣に立っていた男も声を上げる。

 

「俺は【相剣師(そうけんし)泰阿(タイア)】だ」

 

「あ、これは丁寧にありがとうございます。改めまして、私はエクレシアと申します。そして、こちらはアルバス君です」

 

エクレシアの挨拶に合わせてアルバスは頭を下げ、その大人しい姿に莫邪(バクヤ)泰阿(タイア)は改めて驚き、声を漏らすのだった。

 

「本当に危険が無いのか? そのアルバスとやらは……ドラゴンだろう?」

 

「はい。ドラゴンとは言っても、アルバス君は元々人間なんです。ちょっと力が暴走してしまって、この様な姿になっているだけなんです」

 

「そうか……ふむ。事情は理解した。ではまず、我が師匠に会って貰うぞ」

 

「師匠さん、ですか?」

 

「そうだ。我ら相剣師(そうけんし)がこの様な秘境に居ても、問題なく生活が出来るのも、師匠の采配あってこそなのだ」

 

「分かりました。ではまず師匠さんに挨拶をしてからですね」

 

「あぁ」

 

それから、エクレシアとアルバスは莫邪(バクヤ)の案内で相剣師(そうけんし)達が住まう居城へと向かう。

 

泰阿(タイア)は再び、偵察に戻ると言い、そのままエクレシアたちとは別れて山の中に進んでゆくのだった。

 

 

 

莫邪(バクヤ)の案内で山中を進み、霧の道を歩み続けていたエクレシア達は、山々の木々や川の邪魔をせず作られている美しい建物の前にやってきた。

 

ここが相剣師(そうけんし)たちが住まう場所か、とエクレシアとアルバスは興味深げに眺める。

 

そして、莫邪(バクヤ)が中に声をかけた事で、中から黒き鎧と鋭い目をした男が現れた。

 

「師匠。例のフルルドリスの妹君が来ました」

 

「……ほぅ」

 

その男は鋭い目でアルバスを見た後、エクレシアを見て目を見開いた。

 

「お前がフルルドリスの言っていたエクレシアか」

 

「……っ! は、はい!」

 

「そうか。それで? 相剣(そうけん)の力を身に付けようというのだな?」

 

「はい! 私と、アルバス君も一緒に」

 

「……ふむ。そうか。白の力と赫の力……これは運命かもしれんな」

 

「あの……?」

 

「あぁ。気にするな。エクレシア。アルバス。私は【相剣軍師(そうけんぐんし)龍淵(リュウエン)】。今この時よりお前たちの師として相剣(そうけん)(ことわり)を教えてやろう」

 

「っ! ありがとうございます!」

 

エクレシアは勢いよく頭を下げ、アルバスも警戒しながら軽く頭を下げた。

 

そして、そんな二人を見ながら、笑みを作り、修行場へと連れて行こうとした龍淵(リュウエン)であったが、背後から待ったが掛かる。

 

龍淵(リュウエン)。フルルドリスの妹が来たのなら、まずは承影(ショウエイ)の所に通す話になっていただろう? 忘れたのか?」

 

「……っ! 赤霄(セキショウ)

 

龍淵(リュウエン)と同じく建物の奥から扉を通って出てきた赤き鎧の男は、エクレシアとアルバスを見て笑う。

 

「話は聞いていた。よく来たな。エクレシア。アルバス。私は【相剣大師(そうけんたいし)赤霄(セキショウ)】だ。これより相剣(そうけん)の主の下へ案内する。良いかな?」

 

「はい! えとでも、龍淵(リュウエン)さんのお誘いが」

 

「あぁ、そちらは気にしなくても良い。君たちの適正も分からないからな。まずは龍淵(リュウエン)の元で適正を見る。そう話は決まっていたんだ」

 

「そうなんですね!」

 

エクレシアは赤霄(セキショウ)の言葉に頷き、アルバスと共に屋敷の中へ入ってゆく。

 

自らの力と運命に向き合う為に。

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