遊戯王OCGデュエルモンスターズ【白の物語】 作:とーふ@毎日なんか書いてる
そんな中、突如として現れた
かつてはそのあまりの美しさから、水の中にある楽園などと呼ばれた
しかし、だからと言ってこれで終わりではないのだ。
何故ならイニオン・クレイドルも
だが、逆に言えばコスモクロアが失われてしまえば、全てが終わりという事でもある。
「……母様」
エジルは、激しい戦闘が行われている水底の世界を動き回り、母であるコスモクロアを探していた。
この状況をどうすれば良いのか、まだ幼いエジルには何も分かっていなかったが、それでも母であるコスモクロアが居れば何とかなる。
何とかして貰える。
そう信じていたからだ。
そして、その純粋さが求めるままにコスモクロアと共に戦っていた
純粋に、自分が出来る事をして、母を助けようと思ったのだ。
しかし、その様な幼い感情を戦場に持ってきてしまった事が全ての過ちであった。
必死に荒れ狂う戦場の中を進んでいたエジルの目には
故に――
「
「えっ!?」
背後から聞こえて来た憎しみに染まったおぞましい声に、エジルが振り返った時には全てが遅かった。
並の
まず間違いなく滅びてしまう。
そういう一撃であった。
しかし、激しい衝撃を受け、水底を転がり、傷つき、痛めつけられても……エジルは生きていた。
確かに全身に痛みはあるが、それだけだ。
命が危ぶまれる様なものではない。
だが、
嗚呼。
いっその事、目を開かなければ良かったのかもしれない。
「……かあ、さま?」
何もせずイニオン・クレイドルの残骸に隠れて全てが終わるまで震えていれば良かったのかもしれない。
どちらにせよ、
「どうして……母様!」
「エジル。痛い所は、ない?」
「ない! ないよ! 母様より痛いところなんて、何も、ない……!」
「そう、良かったわ」
ボロボロと体の一部が崩れてゆくコスモクロアはひび割れた顔でエジルに微笑んだ。
最期に泣いている姿など見せたくなかったから。
しかし、そんな笑顔を向けられた所で、エジルに返せる物など何もない。
ただ、辛さを顔に出して、苦しさを全身で示して母に縋りたい気持ちを必死に抑えているだけだ。
そう。エジルも分かっているのだ。
もう母が終わっているという事実が。
ただ、それでも抱き着いてしまえば、触れてしまえば、そこから崩れてしまう事が恐ろしい。
だから、その一歩を踏み出す事が出来なかった。
そして、母と子の最期の別れを邪魔させない為に、多くの
一回、一言、一呼吸でも多く、コスモクロアとエジルに時間を与える為に。
「
「邪魔を……するな!!」
「お前という奴は!」
「これが俺の選んだ道だ! もはや退路などない!! 理解しろ!!
エジルは、近くで行われている戦闘など一切見る事なく、ただ母を見て、母を想った。
多くの時間を母と共に生きて来た。
コスモクロアの生きてきた時間に比べれば刹那の時であったが、それでもエジルにとってはコスモクロアと過ごした時間が全てであったのだ。
だから、これで終わりなどと信じる事は出来ない。
「母様……!」
「生きて、あなたは、つよく……!」
そして、コスモクロアはたった一言を残し、崩れ去った。
初めからそこには何も無かったとでも言うように、粉々に。
「かあさまぁぁあああ!!」
エジルの叫びは水の中で響き渡り、その悲し気な叫びに、悔しさを噛み締めながら
残された
しかし、そんな
そう。アルバスこと
アルバスはアルベルとの戦いを中断してでもエジルを救うために動き、そして
これ以上は踏み込ませないとでも言うように。
そして、そんなアルバスを見て、エジルは泣きながら声を上げた。
「アルバス……! 母様が、母様が!」
アルバスは背後に目を向け、哀しみに震える少女を見据えた。
そして、器用にもしっぽでエジルを包み込み、熱を与える。
その熱は燃える様な熱であったが、エジルには傷一つ付ける事なく、ただ勇気をエジルに与えた。
コスモクロアを失って、このまま泣き続けるのではなく。
立ち上がり、戦う勇気をエジルに与える。
「……アルバス。エジルは、負けたくない」
「……」
「
そして、エジルはアルバスから受け取った燃える様な瞳で、前を見据えた。
悲しみは未だエジルの中で暴れている。
振るえる手は未だ恐怖を捨てられない。
だが、それでも。
それでもとエジルは叫んで立ち上がるのだ。
「アルバス。私の中には、母様から託された力がある。それをお前に渡すから、あいつ等を全部、やっつけて!」
エジルの願いにアルバスは優しく笑うと、前を向いて、咆哮を上げた。
アルバスの視界には、一匹のドラゴンと、
だが、それがどうした。
どうしたのだ! とアルバスは叫んだ。
そう。アルバスの胸にはエクレシアが……そして、この世界で出会って来た多くの人たちがいる。
そして、エクレシアから向けられる想いが、エジルを通してコスモクロアから託された力がある。
アルバスは瞳を燃やし、全身に蒼く輝く
「……あれは、そうか。我らの希望はまだ」
傷つき倒れた
そして、あまりの速さに驚き目を見開いていた