遊戯王OCGデュエルモンスターズ【白の物語】 作:とーふ@毎日なんか書いてる
アルベルがアルバスと一つになり世界を破壊せんと暴れている事も。
エクレシアが単独でデスピアの
自分とデスピアン・クエリティスが、たかが一匹と吐き捨てた
その全てが想定外であり、あり得ない……起こりえない事態であった。
故に。
しかし、その為には
何故なら、この強者が居続ける限り、エクレシアは容易く投降しないだろうと考えられたからだ。
だが、それが出来ない。
理由は簡単だ。
単純に仕留める事が出来ない。
「デスピアの
「この方々は私が倒しました!」
「バカな……! デスピアの
「何を仰っているのか分かりませんが、私はこれまでに出会って来た多くの人達との思い出と共に戦っています。皆さんの想いが、私の背中にはある! だから、どんな人が相手でも負けません!」
「っ! その考え方が! その願いが! アルベルを傷つけたのだと! 死してなお理解していないの!? カルテシア!! お前はアルベルだけを見て、アルベルだけを愛すれば良いのよ!!」
「私はエクレシアです」
状況は時間と共に悪くなってゆく。
こうなれば、一か八かだと捕えていた
この際、敗走で良い、エクレシアさえ手に入ればそれで……と。
しかし。
「これを! 見なさい!! エクレシア!!」
「……?」
ただ赤い空間が広がるばかりで、そこには何もない。
「っ!? バカな!? 消えた!?」
「なんだかよく分かりませんが、もう止まって貰います!」
「何故! どうして!! 私は……!」
ここまで全てうまく行っていた。
行っているはずだった。
しかし、何故か自分たちは追い詰められている。
計画は壊れようとしている。
全てはあの日、アルバスが天から落ちて来た事で、全てが壊れてしまったのだ。
アレが無ければ、エクレシアは何の疑いもなく、何も知らず、アルベルの事だけを想って生きていっただろうに、と。
クエムは叫びながら、ドラゴンと化したデスピアン・クエリティスの腕を振り下ろし、二人を倒そうとした。
しかし
「っ!?」
「何が!?」
「お、お前は……」
「皆さん。何をその様に驚いているのですか? 別にはじめまして、という訳でも無いでしょう」
この場に居た者達はエクレシアたちと
仮面をつけ、デスピアの
「生きていたの? ……マクシムス」
「えぇ。ですが一点修正すべき事項がありますね。私はもはや
「ま、
「……エクレシア。やはり貴女は勉学が少し足りませんね。その様な事ではこの世界を導く聖女としてはまだ未熟。言ったでしょう。私は……」
「答えて下さい!
「あぁ。この少女が気になっていましたか。ここに来る途中、ちょうど良いので連れてきました」
デスピアの
痛めつけられているのか、酷く弱っている様子だ。
「エジルさんを離してください!」
「えぇ、えぇ構いませんとも。ただし……分かるでしょう?」
仮面に隠されてデスピアの
だが、その言葉の意味はエクレシアも
故に、エクレシアは俯きながら手に持った戦槌を手放そうとする。
しかし、それに待ったを掛けたのは、今まさに人質とされているエジルと
そしてエジルもまた、新たな
「エクレ、シア! 駄目だ! 逃げろ! もう、エジルは、エジルのせいで、傷つく人をみたくない」
「エジルさん……」
「
幼い身でありながら、覚悟を決めたエジルの言葉に
しかし、既に遅い。
全てがあまりにも遅すぎた。
何故なら、デスピアの
「お、ねえさま?」
赤の世界で囚われているエクレシアの姉、フルルドリスの姿を。
「エクレシアの、姉さま? そんな、そこまでするのか、お前たちは」
「えぇ。使える物はなんでも使う。当然ですね」
「ぐっ、うっ、うぅ……」
「エジルさん!!」
デスピアの
そんな姿を見せつけられて、エクレシアは戦う事など出来なかった。
「……わかりました」
エクレシアは一粒の涙と共に戦槌を地面に置いて、震えながらデスピアの者達を見つめた。
「物分かりがよくて大変よろしい。ではまずこの子は返しましょう。約束は守る主義ですから」
デスピアの
その様子に安堵するエクレシアだったが、
エクレシアの頭は決して悪くはない。
エジルを返したデスピアの
「ではエクレシア。戻ってきますね? 我らの国へ」
「はい」
「その様に暗い顔をしなくても大丈夫ですよ。エクレシアが自分の意思で戻るというのなら、私たちはこの場に居る者達をこれ以上傷つけないと約束しましょう」
「……ありがとうございます」
穏やかな優しい声で告げられたその言葉に、エクレシアは安堵を示しながらデスピアの者達へ向けて歩く。
その歩みに迷いはなく、聖女としての意思で、争いを止める為に進んでゆく。
例えその道の先に待っているのが地獄だとしても……。
「エクレシア!!!」
しかし、歩み続けるエクレシアの足が不意に止まった。
それはエクレシアにとって、最も大切な人の声が聞こえたからだ。
「行くな! エクレシア!!」
ボロボロになり、頭から血を流してもなお、エクレシアに燃える様な瞳を向けている少年の声がエクレシアの心を繋ぎとめたからだ。
「……アルバス君」
そして、エクレシアはアルバスに振り返った。