遊戯王OCGデュエルモンスターズ【白の物語】 作:とーふ@毎日なんか書いてる
第36話【トライブ・ドライブ】
アルバスたちと別れたキット達《スプリガンズ》は、
「ロッキー。上手くやってるかなぁ」
「大丈夫だ。ロッキーは器用な奴だからな。どんな状況でも上手くやるさ」
「そうそう! 心配ないゼ! キット」
「むしろ心配なのはこっちダヨナァ」
「アァ。果たして、キャプテンに勝てるのか」
「なんだと! お前ら!! この俺様が負けるってぇ、言いてぇのか!」
「だからそう言ってるダロ」
「んぬうわにぃ~!?」
「わ、わ! ここで暴れないでよ! キャプテン!」
狭いスプリガンズ・シップ エクスブロウラーの中で暴れるサルガスにキットは両手を腰に当てながら怒り、サルガスもひとまずは落ち着く。
そして、キットはサルガスを落ち着かせた後、騒いでいた《スプリガンズ》たちにも目を向けるのだった。
「もー! 君達も! キャプテンに意地悪な事言わないの!」
「はぁーい」
「分かってんゼ。キット」
とりあえず落ち着いたエクスブロウラーの管制室で、モニターに映る巨大な人工物。
不安そうに揺れる瞳は、セリオンズ・リングを見ながらも、ここではない場所で戦っているアルバスやエクレシア。そして姉であるフェリジットやシュライグを見ている。
「そう不安そうな顔をするな。キット。俺様は負けやしない」
「……そう、だよね」
「あぁ。そして、ここで激熱のエネルギーを手に入れて、キットの超絶発明でアイツ等の危機を救ってやろうじゃないか!」
「うん」
「うぉぉおおお!! 考えたら最高のシチュエーションじゃないか!」
「燃えるぜ!!」
興奮する《スプリガンズ》たちを見ながらサルガスは笑い、そして右手の拳を天井に向けて突き上げた。
「よぉーし! 俺様達で手に入れるぞ!! 【
「「「うぉおおおお!!」」」
そして、サルガスたちは闘技場へ突入し……あっさり一回戦目で敗北した。
エクスブロウラーの中でうつ伏せで横になりながら、サルガスは落ち込んでいた。
「ぐぅ……面目次第もねぇ」
「しょうがないよ。キャプテン。対戦相手、凄く強かったし」
「アインとかいう野郎だな。あっちへこっちへ動き回って厄介な事この上なかったぜ」
「うーん。そうだねぇ」
「だが! 安心しろ! 奴の戦い方は分かった! 次は絶対に「よし! 改造しよう!!」え」
キットはうんと頷くと、倉庫から大量の機材を持ってきて、サルガスの機械部分の体を改造し始める。
対戦相手の【セリオンズ“ブルズ”アイン】は全身を高質な機械部品で構成された者であった。
故に、今のままでは勝てないとキットは判断したのだ。
「うぉぉおー!? キット! やめ、やめろー!」
「もっとここは弄らないと駄目かな」
「デリケートな部分に障るんじゃない! 女の子だろう! キットは!」
「はいはい。じゃあゴリゴリ改造していくよ」
「いやー!」
そして、長い格闘の末に、サルガスは生まれ変わった。
新たなニューサルガスへと!!
『今日も無謀な挑戦者が現れたぞぉぉおおー!!』
鳴り響く実況の声を聞きながら、サルガスはキットや《スプリガンズ》たちと共に会場へと入り、リングへと上がった。
黄色に輝く鋼鉄の体は、先日までのサルガスとはひと味もふた味も違う。
別物と言っても問題ない程だ。
「ふん!!」
キットが作り上げた完璧で完全なるサルガスはその体を誇り、ポーズを決めながらリングで観客の声に応える。
「キット。お前の想いは確かに俺様の中にあるぜ!」
サルガスはキットがサルガスの改造をする為に、
無論それはキットの覚悟を感じて、感動しての事だ。
そう! キットが発明を続けていたのも、全てはフェリジットやエクレシア達と共に戦う為。
それを自ら解体するとしても、キットはサルガスを強くするという選択肢を選んだのだ。
負けられない!
サルガスの中に燃え滾る様な闘志が湧き上がる。
「ほぅ! また来たか!」
「あぁ」
「しかし……どうやら今日は先日までのお前とは違う様だな!」
「その通りだ! 俺様はキャプテーン! サルガス!! 《スプリガンズ》のリーダーとして二度も同じ相手に敗北する事はなぁい!!」
「ふっ! その覚悟やよし!! では改めて名乗ろう!! サルガスとやら! 私はセリオンズ“ブルズ”アイン!! この闘技場最初の刺客にして、最速の戦士!! 速度で私に勝てる者はこの世界のどこにも存在しない!!」
「行くぞォ!! セリオンズ“ブルズ”アインッ!!」
「あぁ!! やろう!! キャプテン・サルガス!!」
『両者気合も十分か!! では、
司会の叫びを合図として、まず先に仕掛けたのはセリオンズ“ブルズ”アインであった。
彼は足となっている巨大な一車輪を勢いよく回すと、土煙を上げながら会場を走り回り、右手に持ったランスを構える。
「先日の戦いでは、私の速さに付いてくる事は出来なかったな!」
「……」
「では今日はどうかな!! 試してみようじゃないか!!」
セリオンズ“ブルズ”アインは楽しそうな声を上げながら、サルガスへと迫った。
サルガスはセリオンズ“ブルズ”アインが迫ってきている事を察知し、拳を振り上げる。
「遅い!!」
そして、サルガスよりも高速で動いていたセリオンズ“ブルズ”アインの攻撃をその身に受けながら、サルガスは地面に拳を叩きつけた。
瞬間、サルガスの拳が叩きつけられた場所からリングにヒビが入り、全体が崩壊してゆく。
「こ、これは!?」
吹き上がる粉塵と破片の中、サルガスの瞳が光った事で、セリオンズ“ブルズ”アインは更なる攻撃の気配を感じ急いでサルガスの傍を離れる。
そして、サルガスのパワーに驚きながらも、戦士としての喜びを感じて笑みを浮かべる。
「これほどのパワーを手に入れたか! キャプテン・サルガス!! キングにも迫るほどじゃないか!」
「当然だ。俺様の中には仲間たちの想いがある! この燃え滾る様な心がある限り! 俺様は負けねぇ!!」
「……想いか」
「あぁ!」
「機械の身に心とはな。面白い。面白いぞ!! サルガス殿!!」
セリオンズ“ブルズ”アインは笑みを浮かべたまま走り、瓦礫の中を進んでゆく。
そして、速度でサルガスを翻弄し、セリオンズ“ブルズ”アインの攻撃にサルガスが引っ掛かり、大ぶりの右腕を繰り出した事で、隙を見つけたとサルガスの背後へ回り込んだ。
「背後からの奇襲だが、卑怯というなよ! サルガス殿!」
「……あぁ。言わないさ」
サルガスはセリオンズ“ブルズ”アインが勢いよく突き出したランスを振り返りながら左腕で弾く。
「なっ!?」
「速度があるのなら、背後を狙うのは当然だ。だからこそお前を誘った」
振り返りながら右腕をセリオンズ“ブルズ”アインに向けて放っているサルガスにセリオンズ“ブルズ”アインは距離を取ろうと、車輪を回す。
しかし、右腕を繰り出す為にサルガスが右足を強く踏み込んだ事で、またリングが砕け、セリオンズ“ブルズ”アインは体勢を崩してしまった。
「これも計算済みか!」
「あぁ。こっちには最高の頭脳が付いてるからな!!」
サルガスは視界の中に映るキットを見て笑いながらセリオンズ“ブルズ”アインにトドメの一撃を放つのだった。
『決まったァァァアアア!! 勝者ァ! サルガス!!』
キットはサルガスが勝利した事で飛び跳ねながらサルガスに飛び込み、サルガスもキットを受け止めて笑う。
「凄いや! キャプテン!」
「当然だ。俺様はキャプテーン! サルガス!! だからな!」
「……ふふ。良い試合だったぞ。サルガス殿」
「おぉ。無事だったかセリオンズ“ブルズ”アイン」
「アインで良い。まぁ多少は傷も出来たがな。この程度で壊れるほど弱くは無いよ」
アインは右手を差し出し、サルガスはそれを見て、右手を差し出した。
そして二人は手を握り合いながら、今日の試合を称え合うのだった。