遊戯王OCGデュエルモンスターズ【白の物語】   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第41話【スプライト・スマッシャーズ】

スプライト・ジェットが天に向かって手をかざした瞬間、空から一体の巨躯が落ちてきた。

 

その巨躯は異形の姿をしており、下半身はまるで機械の蛇の様だが、上半身は巨大な盾と鉤爪を持った凶悪な兵器の姿をしていた。

 

『きゃー! 何あれ、気持ち悪ーい!!』

 

『ぼぼぼぼ、僕は怖がってなんか無いからねー!』

 

『キャプテン・サルガス殿。貴方の力は……』

 

『ジェット! 早くアレどっかにやってよ! 気持ち悪い!!』

 

『そうだ! そうだ!!』

 

『貴方の力は……』

 

『話聞いてるの!? ジェット! アタシが話してるのよ! こっち見なさいよ!』

 

『そうだ! そうだ!!』

 

『やかましいですよ!! 今、私は話しているのです! 少し黙っていなさい!』

 

ジェットの周りをウロウロとしながら騒いでいたブルーとレッドは、ジェットに怒鳴られてやや離れた場所へと逃げる。

 

そんな姿にジェットはため息を吐くと、コートを軽く手直しし、再び格好を付けながらサルガス達を見据えた。

 

しかし、サルガスは自分を見ておらず明後日の方向を見ている。

 

その事にジェットはやや不快感を示しながら、再び口を開いた。

 

『やれやれ。無教養な者達はこれだから困る。良いですか? 目上の者から発せられる言葉というのは、どの様な時であっても……』

 

『ちょっとちょっと。ジェット?』

 

『今、私が話しているんだが、何かね!?』

 

『話してるのは良いけどサ。アレ。暴走してるわよ?』

 

『は? はっ!? どういう事ですか!? キャロット!』

 

『私に聞かれても困るわよ。貴方が作ったんでしょう?』

 

ジェットが大人の女性の姿をしたピンク色の雷の異形【スプライト・キャロット】に対して驚愕しながら声を張り上げている間に、ジェットが地上に呼び出した新たなる刺客【セリオンズ“エンプレス”アラシア】は全身の武器を全方位に向けながら暴れまわっていた。

 

サルガスはキット達を庇いながら既に避難を始めており、観客たちもまた避難し始めている。

 

『何という事ですか! これはどういう事なのですか! ピクシーズ! ピクシーズ!!』

 

ジェットは怒りのままに天に向かって叫び、天から全身に機械改造器具を付けた者が降りてきた。

 

『なんですかぁー? ジェットさまー』

 

『眠いんですケドー』

 

『今日はお休みのハズではー?』

 

『ピクシーズ!! セリオンズ“エンプレス”アラシアはお前たちが改造したのでしょう!? なのに、何故暴走しているのですか!?』

 

ジェットは暴れまわっているセリオンズ“エンプレス”アラシアを指さしながら、【スプライト・ピクシーズ】に怒鳴りつけた。

 

ピクシーズはジェットに怒鳴られて、周囲を見渡し、首を傾げた。

 

機械の中には三つの小さな《スプライト》たちが乗っており、彼らは左右に体を揺らしながら、乗っている機体を揺らす。

 

『あー、分かったー』

 

『ジェット様が命令を残さなかったからだぁー』

 

『駄目ですよ。命令を出さずに放置したら、自動迎撃始めちゃうんですからぁ』

 

『何ですか。その自動迎撃というのは』

 

『周囲に居る力を以っている全てを襲いますー』

 

『力を持つ全てって……』

 

『あらぁー。ジェット君。マズいわ。あの子こっちを見てるわよぉ?』

 

キャロットの声に、ジェットがセリオンズ“エンプレス”アラシアを見ると、セリオンズ“エンプレス”アラシアをは無機質な機械の目でジェットたちを見つめ、そして腕を振りかぶって勢いよく突っ込んでくるのだった。

 

『うぉおおおお!!』

 

『あらあら。面白くなってきたわねぇ』

 

セリオンズ“エンプレス”アラシアの攻撃をかわしながら、キャロットは空中で笑い、ジェットは空から雷を放ち、セリオンズ“エンプレス”アラシアを止めようとする。

 

しかし、雷を受けようとも止まらずセリオンズ“エンプレス”アラシアは空中にいるジェットにまた攻撃を仕掛けるのだった。

 

『効かない!? そんなバカな話がありますか!』

 

『そりゃそうだよー』

 

『ちゃんと白き竜王(アルバス)も倒せる様に、防御力を高めてるからネー』

 

『《スプライト》の雷は対策済みサー』

 

『アホですか! あなた達は!! 白き竜王(アルバス)を倒すのに、雷を対策する必要は無いでしょうが!!』

 

『あ』

 

『ま、まぁ。これも強化プランの一つという事で』

 

『しょうがないネー』

 

『くっ! こんな事ならちゃんと全て確認するべきでした!』

 

ジェットは苛立ちのままに言葉を投げ捨てながらセリオンズ“エンプレス”アラシアを蹴り落とそうとする。

 

しかし、あまりにも頑丈なセリオンズ“エンプレス”アラシアはジェットの攻撃など効かないとばかりに腕を振り回してジェットを遠ざけようとするのだった。

 

『何か止める術は無いのですか!? ピクシーズ! このままではブルー坊ちゃんもレッドお嬢さんの闘技場が破壊されてしまう!』

 

『物理的な手段以外は効かないですー』

 

『でも貧弱な力じゃあ無理ですねぇ』

 

『もっとパワーが無いと』

 

『あらあら。大変なのねぇ』

 

『言っている場合ですか! 貴女も協力しなさい! キャロット』

 

『ふぅん? まぁ良いケド。ちゃんとお礼を言うのよ?』

 

『は?』

 

キャロットはジェットに意味深な言葉を残すと、まさに雷の様な速さでその場からかき消えた。

 

『どこに行くのですか!? キャロット! キャロット!!?』

 

ジェットの叫び声をその場に残しながら……。

 

 

 

そして、ジェットの傍を離れたキャロットは避難を続けていたサルガス達の前に現れると、腕を横に広げながら闘技場から外に繋がる道を塞ぐ。

 

「なんだ、お前は! 俺様達はここから避難するんだよ!」

 

『分かってるわ』

 

「なら」

 

『でもね。一つお願いがあるのよ』

 

「……お願い?」

 

『そ。この闘技場を守って欲しいの』

 

「闘技場を守るって……」

 

「まさか! あのロボットを倒せって言ってるの!?」

 

『あら察しが良いわね。お嬢ちゃん。その通りよ』

 

「そんなの! アレを呼び出したのはあなた達でしょ! あなた達が……!」

 

「キット」

 

「……っ!? キャプテン」

 

『……』

 

キットがキャロットに文句を言おうとした瞬間、それを制してサルガスはキャロットを見つめた。

 

「この闘技場は、あのブルーって子とレッドって子にとって大切な物なのか?」

 

『えぇ。とても大切な物だわ』

 

「分かった。なら、アイツは俺様が止めてやる」

 

「キャプテン!?」

 

『頼んでおいてなんだけど、本当に良いの?』

 

「あぁ。俺様は子供を見捨てねぇ! その願いも、命もな!!」

 

サルガスは自分の体を叩きながら笑い、そんなサルガスにキットもキャロットも驚いた様な目を向けた後、微笑んだ。

 

「さぁ、行くぞ。キット……お前たちは」

 

「私たちも行くよ! キャプテン! 私たちは《スプリガンズ》! 守られるばかりじゃない! 仲間なんだから!!」

 

「キット」

 

「止めても無駄だよ! 私もみんなも、キャプテンを見捨てる事なんか出来ないんだからね!」

 

「……分かったぜ! じゃあ行くぞ! アンタも」

 

『私はキャロット。スプライト・キャロットよ』

 

「分かったぜ。キャロット! じゃあ行くか!!」

 

サルガスはキャロットに背を向け、再び轟音が響いている会場に向けて走り始めた。

 

その背にキットとキャロットを連れながら。

 

子供達の願いを守る為に、キャプテン・サルガスは再び戦場へと戻るのだった。

 

 

 

しかし、会場に戻ったサルガスが見たのは、暴れまわるセリオンズ“エンプレス”アラシアではなく。

 

それを砕きながら叫ぶ、新たな異形の姿であった。

 

「アレは……! まさかレギュラスか!?」

 

そして、サルガスの叫び声に反応し、かつてセリオンズ“キング”レギュラスと呼ばれた誇り高きキングは【セリオンズ・イレギュラー】と化し、サルガス達に襲い掛かるのだった。

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