遊戯王OCGデュエルモンスターズ【白の物語】   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第42話【スプライト・ガンマ・バースト】

レギュラスは生まれた時から『キング』であった。

 

神を自称する《スプライト》にそうあれと作られ、そうある様に闘技場に存在し続けてきた。

 

そうある事が正しい事だからだ。

 

しかし、そうありながらもレギュラスは考えていた。

 

『キング』とは何なのかを。

 

誰よりも強い事だろうか。

 

部下をよく理解している事だろうか。

 

誰よりも未来を、先を見続ける事だろうか。

 

あぁ、確かにそれも正しいのだろう。

 

間違えてはいない。

 

だが、レギュラスはその答えに納得していなかった。

 

そして今日! 遂にレギュラスの長きにわたる疑問に答えを示した男が現れた。

 

キャプテン・サルガス

 

彼はレギュラスに向かってこう叫んだのだ。

 

『当然だ。俺様はキャプテーン! サルガス!! 俺様を呼ぶ声がある限り、どんな時でも! どんな場所でも!! 俺様は負けねぇ!!』

 

あぁ、そうだ。

 

王とは負けないのだ。

 

例え相手が強くとも、負けしか存在しない戦いであっても。

 

負けないのだ。

 

体は破壊されても、守るべきものを全て守る為に戦う。

 

例えこの身が砕け散っても、守るべきものを守れば良い。

 

それこそがキングの戦い。

 

「レギュラス。貴方も早く避難しないと」

 

「……お前は先に行け。ボレア」

 

「え? あなた」

 

「俺は……『キング』だ。キングに敗北の二文字はない」

 

レギュラスは震える体で立ち上がると、暴虐の限りを尽くしているセリオンズ“エンプレス”アラシアを見据えた。

 

「おい! お前!!」

 

「ギギ?」

 

「ここをどこだか理解出来ていない様だな。ここは! セリオンズ・リング!! この俺!! セリオンズ“キング”レギュラスの闘技場だ!! お前の様な奴が好きな様に暴れて良い場所じゃない!」

 

セリオンズ“エンプレス”アラシアはレギュラスの言葉がイマイチ理解出来ていない様だった。

 

しかし、レギュラスが挑発する様に拳を向けると、その戦意に反応して突っ込んでくるのだった。

 

「うぉぉおおお!!」

 

レギュラスは雄たけびと共に、セリオンズ“エンプレス”アラシアの突撃を止め、そのまま足をかけて遠くに蹴り飛ばした。

 

だが、その程度で止まるはずもなく、セリオンズ“エンプレス”アラシアは再びレギュラスに向かって突っ込んでくるのだった。

 

それから二人は終わらない激突と近距離戦を繰り広げていたのだが、この戦いを見ていて、思わずリングに飛び出した者が居た。

 

そう。スプライト・ブルーである。

 

ブルーは子供の様な声で、レギュラスに向かって叫んだ。

 

『やれー! レギュラスー!』

 

『何やってんのよ! ブルー! 危ないわよ!』

 

『でも! 僕のレギュラスが戦ってるんだ! 僕だけ逃げる訳にはいかないよ! だって! 僕はいつか王様になるんだから!!』

 

『ブルー……』

 

レッドはブルーの叫びに思わずその手を離してしまうが、すぐに繋ぎなおしてブルーに言葉を向けた。

 

ただし、今度は後ろ向きな物ではなく、酷く前向きな物だ。

 

『ブルー! アタシ達も見ているだけじゃなくて、レギュラスと一緒に戦いましょう!』

 

『えぇ!? でも、怖いよ!』

 

『王様になるんでしょ!!』

 

『う……逃げてたら、王様に、なれない!! 分かったよ。僕も戦う!』

 

ブルーはレッドに言葉をぶつけられて、恐怖から一歩前に出て大きく頷く。

 

そして、レッドと手を繋ぎながら、空へと舞い上がり、二人の間に雷を交互に流し、力を高めて……解き放った!!

 

二人の間を行き来する事で最高の状態まで高められた電流は、レギュラスと戦うセリオンズ“エンプレス”アラシアを撃ち抜き、機能を完全に停止させたが、二つの誤算を生み出した。

 

一つはセリオンズ“エンプレス”アラシアと戦っていたレギュラスにも雷の影響が出てしまった事。

 

そして、もう一つはブルーとレッドの体にも影響が出てしまった事だ。

 

『こ、これはいったい!?』

 

ジェットはその様子にやや離れた場所から焦った様な声を上げ、ブルーとレッドを助けるべく飛び込んでいったが、二人が放つ強大なエネルギーに弾かれて、観客席に叩きつけられてしまう。

 

『いけない! 力が暴走している』

 

『あぁぁああああ!!』

 

ブルーは体から発せられる強大な力をそのまま体に宿し、巨大化してリングの上に降り立った。

 

他の《スプライト》達を、力でも大きさでも遥かに上回る存在の名は【ギガンティック・スプライト】

 

そして、レッドもまた体を巡る力をそのまま武器に変換して、やや大人びた姿に変化し、ブルーのすぐ傍に降り立つ。

 

どこからか顕現した武器を両手に構えたレッドは、自分が何なのか分からないままその武器を向けて乱射し始めた。

 

彼女もまた、ブルーと共鳴し力を高める事で己を見失い【スプライト・エルフ】という別の個体へと変化してしまったのだ。

 

無論この変化はブルーとレッドだけではない。

 

この雷を直接浴びて、更に活動を停止していないレギュラスも同様であった。

 

レギュラスは全身にブルーとレッドから受けた雷を纏わせながら、まるで獣の様に咆哮する。

 

その体は以前のレギュラスはよりも僅かだが巨大化しており、自我を失っているのか既に倒れているセリオンズ“エンプレス”アラシアを何度も殴りつけて、完全に機能停止させてしまうのだった。

 

まさに見た目通りの獣と化してしまったレギュラスに、ちょうど会場へ帰ってきたサルガスが驚愕の声を上げる。

 

 

 

「アレは……! まさかレギュラスか!?」

 

その声に、レギュラスはセリオンズ“エンプレス”アラシアを殴りつけるのを止めて、サルガスの方へと向いた。

 

聞き覚えがある声だ。

 

倒したいと願った男の声だ。

 

戦うべき男の声だ!

 

と、レギュラスは勢いよく地面を蹴りながら跳び上がり、サルガスへと拳を振り下ろした。

 

サルガスは近くに居たキット達を遠くへと弾き飛ばすと、レギュラスの攻撃を受け止める。

 

「どうした!? レギュラス!! 何があった!!」

 

「ぐ、ぐぐ、サル、ガス……! 俺の、敵!!」

 

「レギュラス!!」

 

サルガスは必死にレギュラスへ声を掛けながら叫び、レギュラスをリングへと投げる。

 

そして、自身もレギュラスの元へと向かうとリングに立ち、両手の拳をぶつけ合わせるのだった。

 

「お前に何があったのか知らねぇが!! やるってんのなら! 相手になってやるぜ!! レギュラス!!」

 

「サルガス……! うぉぉおおお!!! サルガスッ!!」

 

「レギュラス!!」

 

サルガスとレギュラスはつい先ほど行われた決勝よりも激しく互いの拳をぶつけ合い、互いの体を破壊し合っていった。

 

二人の争いでリングは破壊され、砕けた破片が周囲に散って行く。

 

もはや誰も近づけない災害となってしまったサルガスとレギュラスは、そのままどこまでも争いを続けるのだった。

 

 

 

そんなサルガスを見つめながら、キットはどうしてレギュラスが変わってしまったのか、その原因を探していた。

 

そして、リングの上に居るギガンティック・スプライトとスプライト・エルフを見つける。

 

二人は近くでサルガスとレギュラスの争いが行われていても、何も気にせずその場に立っていたが、レギュラスの体から溢れる雷を見れば、原因が誰にあるのか考えるまでも無かった。

 

「キャロット!」

 

『なぁに? お嬢ちゃん』

 

「レギュラスの体に流れている雷って。もしかしてあの二人が原因」

 

『……そうね。私も詳しい事は分からないけど、その可能性が高いわ』

 

「なら、やる事は一つだね!!」

 

キットは工具を取り出して、それを握りしめながらリングに上がった。

 

『危ないわよ! お嬢ちゃん!』

 

「関係ない! サルガスだって戦ってるんだ!! 私だって戦う!隠れてるばかりなんて嫌だ!!」

 

『お嬢ちゃん』

 

「それに!! 私の名前はキット! スプリガンズ・キットだ! お嬢ちゃんなんて名前じゃない! さぁ! 行くよ! みんな!」

 

キットの声に応えて、《スプリガンズ》の者たちもリングに上がる。

 

そんなキットを見てキャロットもまたキットの隣に移動するのだった。

 

『分かったわ。キット。なら一緒に行きましょう? この争いを止める為に』

 

「……! うんっ!!」

 

そして、キットはキャロットや《スプリガンズ》の者たちと共にリングの上にいるブルーとレッドに向かって駆けてゆくのだった。

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