遊戯王OCGデュエルモンスターズ【白の物語】   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第43話【スプライト・ダブルクロス】

ブルーとレッドに向かって走っていたキット達だったが、ブルーとレッドの二人はキット達の接近に気づくと、レッドことエルフは武器を、ブルーことギガンティックは拳を勢いよく振り上げて、それぞれキットに向けて解き放った。

 

一瞬の攻防にも、キャロットが瞬時にキットを抱きかかえて空に飛んだ事で、何とか逃れる事が出来たが、《スプリガンズ》たちはその衝撃にリングの外へと飛ばされてしまう。

 

「みんな!」

 

『向こうを気にしてる余裕は無いわよ! 来る!』

 

空を飛ぶキャロットの声を合図としてか、エルフから空中に居る二人に向かって銃弾が放たれてゆく。

 

無論それをかわす事などキャロットには余裕だが、このままでは事態を解決する事が出来ないのも確かであった。

 

「どうすれば良いの!?」

 

『このままじゃ近づけないし、私達にも気づいてないみたいだから、難しいわね』

 

「なら、気絶させるとか」

 

『それが出来るのなら、ね!』

 

キャロットは激しくなる弾幕をかわしながら叫んだ。

 

だが、エルフの攻撃は弱まる気配を見せておらず、その叫びに意味はない。

 

そう思われた。

 

しかし、リングの外から勢いよく飛び込んできた者達がその声に光明を見出して叫ぶ。

 

「なんだ! 簡単な方法があるんじゃん! ファムちゃんにお任せ!! 行くよ! ユール!」

 

「……!」

 

リングの外からセリオンズ“リーパー”ファムを抱えて飛び込んできたセリオンズ“デューク”ユールは、エルフの弾幕を受け止めながら、前へ前へと進んでゆく。

 

そしてファムはユールの体を駆けあがりながら空へ跳び、空中から自動砲台での一斉射撃でエルフの足を止めると、エルフの背中から現れたセリオンズ“リリー”ボレアによって全身を拘束された。

 

エルフはこのまま捕まってたまるかとばかりに、電流を流すが、ボレアはダメージを受けながらも決してエルフを離さず、捕まっているエルフにファムがダメージを与え、ユールがその体を拘束しようとした。

 

しかし、そんな彼らの自由にはさせないとギガンティックがリングを破壊しながら大きな一歩を踏み出したが、そのギガンティックの動きを読んでいた者が常人には捉えられない速さで地を掛け、ギガンティックの体を捕まえる。

 

「お前の隙を待っていたぞ!!」

 

セリオンズ“ブルズ”アインは、両手でギガンティックの体を持ち上げ、そのまま車輪で走るとギガンティックを振り回しながら動きを制限してゆく。

 

だが、ギガンティックはその程度で動きを止める事はなく、拳を振り上げてアインに振り下ろそうとするのだった。

 

『ちょっと貴方! こんな事じゃあ止まらないわよ!』

 

「あぁ、だろうな!」

 

『なら、どうするつもり?』

 

「決まっている! 我らのキングに助力を願うのさ!」

 

キャロットはギガンティックの攻撃を受け止めながらアインに叫ぶが、アインはキャロットに抑えて貰いながら走り始めた。

 

無論目指す場所はサルガスとレギュラスが戦っている災害の中心だ。

 

「サルガス殿!! そして、“キング”レギュラス!! 頼むぞ!!」

 

「っ!? アイン!?」

 

「ア……イン?」

 

サルガスとレギュラスはアインの声に一瞬戦いを止めたが、二人の間にギガンティックが連れてこられた瞬間、腕を振り上げて、ギガンティックを挟みこむ様に攻撃を放つ。

 

人間同士が行う格闘技で、クロスボンバーと名付けられたその技は、見事にギガンティック・スプライトの体に直撃し、その余りの衝撃にそのまま気絶してしまうのだった。

 

そして、キャロットと別れ、一人エルフの元へ向かっていたキットもまた、エルフの武装を全て物理的に工具で破壊し、エルフを無力化している所だった。

 

「これで! 終わり!!」

 

「なら、喰らっちゃいなよ! ファムちゃんアターック!!」

 

キットが全ての武装を外した瞬間、ファムの一斉射がスプライト・エルフに突き刺さり、スプライト・エルフもまた気絶し、ブルーとレッドが意識を失う事で、レギュラスを覆っていた力も消え去り、レギュラスは正気に戻る。

 

「……俺は」

 

「よう。レギュラス。目を覚ましたか?」

 

「あぁ。だが、どうやらお前に助けられたようだな」

 

「気にすんなよ! レギュラス!」

 

その場に座り込んだレギュラスは周囲の惨状を見て、大きな息を吐きながら天を仰いで笑うのだった。

 

 

 

それから円盤闘技場(えんばんとうぎじょう)セリオンズ・リングは修復の為に営業を無期限停止する事になり、迷惑をかけたとサルガスたちに礼をする事になったのだが……。

 

無尽機関(むじんきかん)アルギロ・システムの秘密を教えて欲しい?』

 

「そう。その力が必要なんだよ」

 

『そうは言ってもなぁ。ね? レッド』

 

『アタシに言われても困るわ。決めるのはブルーでしょ』

 

『う』

 

キットの質問に酷く答えずらそうな顔で悩むブルーとレッド。

 

その様子にキットは何だか申し訳なくなってしまい、やっぱり止めようと口を開くのだった。

 

しかし。

 

「やっぱり迷惑だよね」

 

『違う! 違うよ! そういう事じゃなくてさ』

 

「え?」

 

『実は、無尽機関(むじんきかん)アルギロ・システムの正体って僕とレッドなんだよ』

 

「え? え? どういう事?」

 

『実はね。僕たちは白の世界っていう所から来たんだけど、僕やレッドの父親を殺した奴に復讐する為に、この世界で力を集めてたんだ』

 

白の世界という名前に、キットとサルガスは視線を交わしながら心を通わせ合う。

 

そして、キットは確認の為に口を開いた。

 

「その白の世界ってもしかしてホールの向こう側にある世界のこと?」

 

『うん! そうだよ!! 何!? キットも知ってるの!?』

 

「あー。まぁ、知ってると言うか。そっちから来た人と知り合いというか」

 

『僕ら以外にも白の世界から逃げて来た奴が居るんだ。どこの奴らだろう』

 

「えと、アルバスって子なんだけど、知ってる?」

 

白き竜王(アルバス)!?』

 

キットがその名を口にした瞬間、《スプライト》達は全員驚いた様な顔で固まり、そして手に雷を纏わせながら周囲を警戒するのだった。

 

『まさかこんな所まで追ってくるなんて!!』

 

『アルギロス様がその身を犠牲としてでも我らを逃したというのに!』

 

『直系だけでなく庶子の子すら狙うとは……真実スプライトという存在を消すつもりか!』

 

ドタバタと騒ぎ始めた《スプライト》達にキットは落ち着いて欲しいと声を掛けた。

 

「何か勘違いしてるみたいだけど、アルバスはそんな酷い事しないよ」

 

『だが、白き竜王(アルバス)なのだろう?』

 

「それはそうだけど。そもそもアルバスって名前もエクレシアが付けた名前だって言ってたし」

 

『エクレシア。知らない名前だ』

 

「優しくて可愛い女の子だよ。今はアルバスと一緒に居るんだけどさ。この子が狙われてるんだ」

 

『ふーん』

 

「あんまり興味無さそうだね」

 

『まぁね。サルガスやキットとは友達になったけど、そのエクレシアって子は知らないし』

 

ブルーはキットに答えながら隣に居るレッドと顔を見合わせて頷き合う。

 

そんなブルーにキットは、しょうがないかと自分を納得させながら続きを話す事にした。

 

「それでね? エクレシアのお姉さんから聞いたけど、何でもエクレシアは小さい頃から白の世界の竜王のお嫁さんになる様にって言われた子なんだって。だから、私たちは」

 

『『な、なんだってー!!?』』

 

「っ!? いきなり何!?」

 

『あのクソッたれ竜王のお嫁さん!?』

 

『しかも可愛い子って言ってたわよ! ブルー』

 

『むかつく―!! そんなの横取りしてやろう!! そうだ! もう十分力は集まったんだ! そのエクレシアって子を竜王の奴の目の前で奪い取って! 僕のお嫁さんにして! ついでに竜王を地面に叩き落として、僕が白の王様になってやる!!』

 

『おー。素晴らしい決意です! ブルー坊ちゃん』

 

『エッヘン!』

 

何だかよく分からないまま、進んでゆく話にキットが固まっていると、キャロットがキットの肩を叩きながら微笑みかけた。

 

『何だかよく分からないけど、私たちの力を借りたいんでしょう? キット』

 

「うん。私の大切な人たちを守る為に、力を貸して欲しい」

 

『分かったわ。じゃあ私に任せて。ブルー坊ちゃんの事は上手くやっておくから』

 

「いいの?」

 

『良いのよ。一緒に戦った仲、でしょう?』

 

「……キャロット!」

 

頭を下げるキットにキャロットは軽く微笑みながら手を振り、ブルーに語り掛ける。

 

『じゃあブルー坊ちゃん。キット達と協力して、竜王を倒すという事で良いかしら』

 

『あぁ! それで行こう!』

 

『じゃあそういう訳だから。これからよろしく頼むわね。キット』

 

「うん! ありがとう! キャロット! ありがとう! ブルー!」

 

『構わん!』

 

『アタシの事も忘れないでよ? キット』

 

「分かってるよ。レッド」

 

 

 

それから……。

 

『ギャー狭いよー! 苦しいよー』

 

『ねぇ、ここなんか変な匂いするんだけど。キット? キット―!?』

 

『あぁ、あぁ! ブルー坊ちゃん! レッドお嬢さん……!』

 

『大人しくしてなさいよ。ジェット。アンタのやらかしをブルー坊ちゃん達が挽回してくれてるんだからね』

 

『くっ! 分かっている!』

 

「うんうん。システム良好。エネルギーも良い感じだねー【スプライト・スプリンド】」

 

『キットぉー。まだなのか? まだ続けるのかー?』

 

『はー! 早く出たい! 出たーい!』

 

「容器の大きさは要検討かな?」

 

キットはブルーたちの叫びに軽く答えながら実験を続けるのだった。

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