遊戯王OCGデュエルモンスターズ【白の物語】 作:とーふ@毎日なんか書いてる
巨大化したアルベル。
遂にゴールド・ゴルゴンダへと到達したデスピアの軍団。
アルバスが一人で戦うにはあまりにも多すぎる敵の数に、一瞬でアルバスは窮地に立たされた。
だが、アルバスは一人ではない。
今日までの日々が。
ここまでの旅路が。
繋いだ人々の手が。
アルバスにはあるのだから!!
「伏せろ!! アルバス!!」
周囲をデスピアの
次の瞬間、周囲を囲んでいたデスピアの
「よう。一人でパーティーを始めるなんて、ちょっと強欲すぎるんじゃねぇか?」
「そうそう。私らの事も忘れて貰っちゃ困るのよ!!」
ルガルと同様に周囲を囲んでいた闇を切り裂いて銃剣を振り回すフェリジットは、敵を一人、また一人と蹴り飛ばし、撃ち抜き、投げ飛ばしてゆく。
そして……。
「無事か。アルバス」
「……シュライグ」
「エクレシアはどうした」
「それは……っ!」
「なるほどな。それでこんな無謀な事をしていたのか……だが、忘れるなアルバス。俺達は
「……あぁ!!」
アルバスはシュライグの声に立ち上がり、再び
そして、そんなアルバスの背中を叩きながら横で笑う男が二人。
「どうやら無事
「やれば出来ると私は思っていましたよ」
「……アンタたちは」
「おう。何とまぁ恥ずかしい事にな。守りたかった奴を敵に奪われて、情けなく生きてる騎士の恥さらしって奴だ」
「……」
「悔しいな。アルバス。だが、まだだ。俺たちは生きてる。なら、何度だって泥臭く戦ってやろうぜ」
「あぁ」
アルバスは頼りになる者達が次々と現れた事で、勇気の火を更に強く灯し、戦場を駆けた。
遥か上空からは、憎しみに染まったアルベルの声が響くが、アルバスは何も気にせず戦いを続ける。
『調子に乗るなよ! 羽虫共が! 所詮お前たちなど、王の力の前には無力なんだ! それを理解しろ!』
「総員散開!!」
アルベルの拳が空から降り注ぎ、砂漠の砂を巻き上げながら、戦士たちを薙ぎ払ってゆく。
あまりにもスケールの違うその大きさに、アルバス達はどうしようもなく逃げ回るばかりであった。
それでも!
それでもアルバス達は諦めない!
何故なら、諦めてしまえば全てが失われてしまうから。
諦めてしまえば、何も守る事が出来ないから。
だから、彼らは折れず、負けず、立ち向かうのだ。
例えその相手がどれほど強大であろうとも!!
「アルバス! 頭上の奴が邪魔だ! まずはアイツを仕留めるぞ!」
「あぁ!!」
シュライグはアルバスを背に乗せ、片翼ずつの機械と肉体の翼を広げて空を舞う。
『このっ! 名無しが!!』
「荒い飛行になるぞ! しっかり捕まっていろ! アルバス!」
「すまない! シュライグ!」
アルベルがアルバス達を狙って放つ攻撃をかわし、シュライグは空を飛びながら上空を目指す。
「シュライグを援護するぞ!! アディン!!」
「えぇ! 支援行きますよ!!」
「おっしゃ!! 良い力だっ!! 貫け!! 俺の剛腕!!」
そして、地上では空を飛ぶシュライグの援護をしようとテオがアディンから支援の力を受け取り、膨れ上がった力でアルベルの巨大な足を撃ち抜いた。
その攻撃は、アルベルに大きなダメージを与える事こそ出来なかったが、アルベルの体勢を崩し、シュライグへの攻撃を不能にする。
「今だ!!」
アルベルが晒した決定的な隙に、シュライグは空を切り裂きながら高速でアルベルに向かって飛び、アルバスをアルベルに向かって投げながら、自身も銃剣を構えて、アルベルに照準を合わせるのだった。
「喰らえ!!」
「切り裂け!!」
そしてアルバスの
ビリビリと空気を振動させながら、憤怒の気をまき散らすアルベルに、シュライグは神経を張りつめながら、落ちてゆくアルバスを回収して、地面に降り立つのだった。
だが、どれだけ怒りに震えていたとしても、生物である以上、激しい痛みの中で冷静に動く事は難しい。
故に、戦局は大きくアルバス達に傾いた。
様に見えた。
だが、アルベルの危機に、アルベルの母であるクエムが黙って見ているはずもなく。
デスピアの教会の上部にある祈りの間を浮かし、戦場へ来ていたクエムは、祈りの間に置かれていた像の力を解放するべく祈りを捧げた。
アルベルの幸せを阻む者達に死の鉄槌を!!
「目覚めなさい!! 深淵なる竜の意思!! 【
クエムが名と共に両手を上げながら呼んだその荒ぶるモンスターは二頭の絡み合うドラゴンで、かつてドラグマで
しかし、その巨大さは元の神像とは比べ物にならない程大きく。
またその力も、
「さぁ、これで終わりよ。地を這う者達。この世界はアルベルに支配されて、救われるのよ。それを理解して感謝しながら……死になさい!!」
クエムの言葉に従って動き始めたアルバ・ロスは空を飛びながら、片方の口から炎を吐き、もう片方の口から凍てつく様な凍える風を生み出した。
その攻撃は、あまりにも強大なものであり、アルバスや
しかし、アルバスの元へ駆けつけたのは
ずっとあの日から、アルバスと共に己を鍛え続けてきた者が居たのだ。
今度こそ、邪悪なる者たちから世界を守る為に。
アルバスとエクレシアという絆を取り戻すために。
「これ以上、好き勝手はやらせない!!」
「何っ!? アルバ・ロスの攻撃が防がれた!?」
それはアルバス達の前に現れて、両手で水の壁を作り出すと、アルバ・ロスの攻撃を全て防いでからアルバス達に笑いかける。
かつての様な子供の姿ではなく。
母であるコスモクロアには未だ届かずとも、確かに
「エジル!」
「来るのが遅れてすまない。でも、エジルが来た以上……もうあいつらの好きにはさせないぞ」
エジルは、真っすぐにアルバ・ロスを見つめながら空へと舞い上がった。
そして、胸に秘めた強い決意を力に変えてゆく。
母の様に。
強くしなやかに、世界を守る存在として……! 今、ここで生まれ変わるのだ。
「エジルは、もう昔のエジルじゃない!」
水の膜につつまれて、それを砕きながら現れた彼女はアルベルが呼び出した暗雲を全て吹き飛ばし、夕日にその体を照らしながら、名乗りを上げた。
「私は、【
その美しい姿は、まだ成長途中の少女の姿でありながら、一つの完成した気高き魂を体現していた。
彼女の登場に、世界が一瞬動きを止める。
神々しさに、眩しさに、ただ見惚れてしまうのだった。
「アイツは私が止める。アルバス! お前たちは他の奴を!」
「あぁ! ありがとう!! エジル!」
「気にするな!」
そして、エジル・ギュミルは気安い会話をアルバスとかわした後、アルバ・ロスとクエムに向かって飛んで行った。
悲劇を二度と繰り返さない為に。
最期の瞬間、母に手が届かなかったという絶望を、もう二度と世界に生まない為に。
彼女はただ、悲しみを胸に秘めたまま希望を目指して飛ぶのだ。
「さぁ、私が相手だ!」
しかし、まだ世界はその胎動を止めていない。
そう。
エジル・ギュミルが現れたことで、その強大な力に目を覚ました者が居たのだ。
フルルドリスによって活動停止まで追い込まれた、