遊戯王OCGデュエルモンスターズ【白の物語】   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第51話【ギガンティック・サンダークロス】

《スプリガンズ》の操るミサイルに乗りながら空を駆けていたサルガスとレギュラスは、戦場を見渡しながら、最も危険な場所を探す。

 

それが自分たちの戦いたいという欲求を満たしつつ、派手に活躍しながら、戦友たちの助けになる行為だからだ。

 

そして、戦場の最奥でエジルが戦っている深淵の獣(ビーステッド)アルバ・ロスを見て、喜びの声を上げた。

 

「レギュラス!」

 

「良い獲物は見つけたか!? サルガス!!」

 

「あぁ! 最高の奴を見つけたぜ! アレだ!」

 

サルガスが叫びながら指差した方を見て、レギュラスも喜びに声を上げる。

 

「おぉ! 良いじゃないか! サルガス!」

 

「そうだろう!? だが、問題が一つあるな」

 

「そうか。あのモンスターは空を飛んでいるのか。このままでは戦えんな」

 

サルガスの言葉に冷静さを取り戻したレギュラスは、ふむと考えながら仕方ないかとため息を吐いた。

 

「ならばしょうがない。サルガス。合体するぞ」

 

「ったく! しょうがねぇな! まぁ、俺らが遊んでて世界が滅んでも、目覚めが悪いしな!」

 

「そういう訳だ! キャロット!」

 

『えぇ。私は大賛成よ。遊びなら後でいくらでも出来るしね』

 

「そりゃそうだ! よっしゃ! レギュラス! やるぞ!!」

 

「あぁ!!」

 

サルガスとレギュラスは《スプリガンズ》の操るミサイルを蹴り、空に舞い上がると、キャロットの力を借りながら一つになる為に太陽のごとく輝いた。

 

その輝きに、誰もがサルガスたちへ視線を向け、その正体を見極めようとするが、そのあまりにも大きな輝きに何も見る事は出来ない。

 

ただ、確かな事は、その輝きから邪悪な気配は一切感じられないという事だった。

 

そして!!

 

輝きの中から現れた巨躯は、キャロットをエネルギーとして、空を飛び、その存在を世界に示す!

 

「「千年無敗の戦士と! その戦士を打ち破った戦士が一つになり、今! ここに!! 最強の戦士が誕生した!!」」

 

レギュラスの体を基本としながら、サルガスのパーツを強化パーツとして装備した最強の体を持つ戦士は、レギュラスとサルガスの魂を一つとしながら、拳を高く天に突き上げた!

 

「「俺様たちは【ギガンティック“チャンピオン”サルガス】!! 覚悟しな! お前たちはもうここで終わりだぜ!!」」

 

ギガンティック“チャンピオン”サルガスは、空を飛びながら、目にも止まらぬ速さで深淵の獣(ビーステッド)アルバ・ロスを蹴り飛ばし、エジルから引き離すと、エジルに笑いかける。

 

「な!? なっ!?」

 

「「おう。嬢ちゃん。ここは引き受けるぜ! アンタは別の方に行きな!」」

 

「いや! それは助かるけど」

 

「「お前にはお前にしか出来ぬ事があるはずだ。ここは俺たちに任せろ」」

 

ギガンティック“チャンピオン”サルガスは戦いながらエジルが気にしていた氷水艇(ヒスイテイ)エーギロカシスと深淵の相剣龍(しんえんのそうけんりゅう)との戦いの場を指さして笑いながら、行ってやれと言った。

 

そして、自分自身はエジルに背を向けながら地面に叩き落としたアルバ・ロスをを追う。

 

そんな光り輝く英雄の姿に、エジルは礼を言ってからエーギロカシスの元へ向かうのだった。

 

 

 

「っ! まさかこんな! こんなタイミングに増援なんて! しかも、アルギロスの力を受け継ぐ者!? 何でこんな!!」

 

「「同情するぜ。まさか俺様達が助けに来るなんて思っても見なかったんだろう? だが、まぁ、悪は滅びる。それもまた世界の真理だ!」」

 

「もう二度と!! アルベルを落とさせやしない!! もう二度と! あの子を傷つけさせやしない!! 動きなさい!! アルバ・ロス! 全てを滅ぼして、世界を手に入れるのよ!!」

 

アルバ・ロスの上に乗り叫ぶクエムに従って、アルバ・ロスは再び空に舞い上がり、世界に向けて怒りを、憎しみを吐き出してゆく。

 

全てを滅ぼしてやると、絶望をまき散らしながら。

 

しかし、そんな物は全て無意味だ。

 

何故なら! ここには全ての絶望を光に変える伝説の戦士が居るのだから!

 

「向こうもやけっぱちだな。どうするレギュラス」

 

「どうするか。動けなくなるまで叩くという手もあるが」

 

「んー。確かにな」

 

アルバ・ロスの攻撃をかわしながら二人は打開策を話し合い、アルバ・ロスの隙を見て攻撃するが、与えた傷はすぐに再生されてしまい、今行っている攻撃が有効な様には見えなかった。

 

故に、これからどうするかを考えていたのだが……ここで思わぬ援軍が現れる。

 

「サルガス!」

 

「おぉ! シュライグか! その武装。キットから無事受け取れたみたいだな」

 

「あぁ。お前には色々と言いたいことがあるが、今は感謝しておく」

 

「おう!」

 

「それで? アイツについては、どうだ」

 

「今、それを考えている所だ!」

 

シュライグは、アルバ・ロスの攻撃をかわしながら、いくつかの攻撃を仕掛けるが、その攻撃で付けた傷も少ししてすぐに回復してしまう。

 

「……む」

 

『おやおや。まさかこんな所でなれの果てを見るとは。キット達に付いてきた意味はあった様ですね』

 

「何か知っているのか?」

 

シュライグの質問に、ジェットはシュライグの新武装から上半身だけを出し、語り掛ける。

 

『えぇ。無論。アレは深淵の獣(ビーステッド)。白き竜王が心を捨て、力だけを求めたその果てに至る姿ですよ。怒りと憎しみをその身に纏い、決して滅びぬ体と力を手にすると。歴代の竜王は皆、あの姿となり、封印されたと聞いています』

 

ジェットの言葉に、キャロットもまた自分の姿を一部作るとその言葉に続いた。

 

『でも、深淵の獣(ビーステッド)達は、赫の烙印(あかのらくいん)と呼ばれる力によって失われた心を取り戻すと言われているわ。あの人間が赫の烙印(あかのらくいん)の使い手なのかしら』

 

『分かりませんが、どちらにせよ。アレはこの世界に存在してはならぬ物。我らの力で消し去るとしましょう』

 

「消し去るって、そんな事出来るのか!? ジェット!」

 

『無論ですとも! サルガス! 我らの王アルギロスが遺した力は、まさにかの獣に対抗する為の力なのです! その力の核を打ち砕き、憎しみと恨みの体を砕いて浄化する!』

 

ジェットは叫びながらシュライグの武装に再び身を沈め、キャロットもまた、同じ様にギガンティック“チャンピオン”サルガスの内部に戻る。

 

そして、二人が戻った事で、ギガンティック“チャンピオン”サルガス自身と、|鉄獣式強襲機動兵装改“BucephalusⅡ”《トライブリゲード・アームズ“ブーケファルスツー”》が光り輝いてゆく。

 

過剰すぎるエネルギーをその身に宿して!

 

「っ! よく分かんねぇが! 行くぞ! レギュラス!! シュライグ!!」

 

「良いだろう!」

 

「あぁ!!」

 

そしてキャロットと、ジェットの力を借りた三人はその十分に膨れ上がったエネルギーを放つべくアルバ・ロスへと向かい、二頭の頭から放たれる憎しみと怒りを左右にかわして、空中で完全に動きを止めたアルバ・ロスに最後の一撃を放つのだった。

 

「「これで!!」」

 

「終わりだ!!」

 

交差する様に放たれたギガンティック“チャンピオン”サルガスとシュライグの一撃は、アルバ・ロスの体を貫いて、火を吹き出しながら地上へ落ちてゆく。

 

どれだけクエムが叫んでも、その体は元に戻る事はなく、光の粒子になって空に還ってゆくのだった。

 

 

 

そして、ギガンティック“チャンピオン”サルガスとシュライグがアルバ・ロスを撃墜させた頃、エジルもまたエーギロカシスと協力し、深淵の相剣龍(しんえんのそうけんりゅう)を追い詰めていた。

 

かつては強者であった龍淵(リュウエン)とその師も、心を捨てて力を求めた先に真の強さは無い。

 

エジルが参戦した事でアッサリとその身を氷の中に封印されてしまうのだった。

 

『父上。今度こそ静かにお眠り下さい』

 

エーギロカシスと化した莫邪(バクヤ)の声が届いたのか、氷の中で最期の抵抗を続けていた深淵の相剣龍(しんえんのそうけんりゅう)は僅かに震えた後、静かにその動きを止めてゆくのだった。

 

これで、クエムとアルバ・ロス、深淵の相剣龍(しんえんのそうけんりゅう)が戦えぬ状態となった。

 

残された敵はアルベルのみ。

 

そう考え、顔を上げたエジルだったが……その目に今、最悪が映る。

 

 

 

そう。

 

この瞬間まで傍観し続けた男が遂に、その身を捧げ、絶望を呼び出したのだ。

 

「……なんだ、あれは」

 

エジルの問いに答える者は居ない。

 

何故なら、皆その巨大な悪魔に目を奪われていたからだ。

 

山と同じくらい巨大なアルベルよりも、大きな……悪魔の姿に。

 

『さぁ。始めましょう。幸せな、未来を!』

 

戦いは最終局面へと向かってゆく。

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