遊戯王OCGデュエルモンスターズ【白の物語】 作:とーふ@毎日なんか書いてる
戦いは終わった。
長く激しく、多くの命を奪った戦いが……。
後の時代まで語り継がれる事になるであろう戦いで大きく成長し、ただしく
水に溶けて眠る魂たちは、エジルの歌に魂の澱みを少しずつ浄化しながら、次の転生を待つのだった。
そして、次の転生を待つ魂の中には、この地で失われた者達も含まれていた。
『結局、巡り巡って世界を覆う闇は消え去ったか』
『その様だな』
隣には
裏切った者。
裏切られた者。
立場は違えど、目指す先は同じであった事に、
しかし、
『それで? お前はこれからどうするつもりだ。
『さて。どうなるかな』
『……』
『世界は自らの足で歩み始めた。これから少しずつ未来を望む者達の手で変わってゆくだろう。そこで私が出来ることなど、何も無い』
『そうだな』
『だから、私たちに出来る事は、若者たちに先を与える事くらいだろう』
そしてそんな二人の会話をやや離れた場所で聞いていた
『話は済んだみたいだな。こっちの準備も終わったぞ』
『そうか。助かるよ
『大した事じゃねぇさ。まぁ、あの混乱している状況の中で殺した様に見せて、仮死状態のまま意識を失う様にしてたどっかの誰かさんよりは楽な仕事だ』
『
「なに?
『こちらの話は終わった。彼女たちに再び生命の息吹を』
「分かったよ」
一人は
そしてもう一人は
それを確認してエジルは二人の魂を肉体に戻すのだった。
「……? れ?」
「ここは……?」
「目を覚ましたみたいだね。若き
「っ! 貴女は」
「私はエジルだよ。
「いえ。そのお心には確かに覚えがあります」
「そう。良かったよ」
微笑みながら話をするエジルと
天から降り注ぐ光が、水の世界を照らし、静かな時の流れる水底を。
「ここは、
『
「っ! そのお声は、
『残念だが、俺はもう死んでいる』
「そんな! いったい何が!?」
『覚えてないのか?』
「恥ずかしながら、いつもの見回りをして、
『そうか。ならそのままの方が良いかもしれないな』
「はぁ……?」
そして、魂となってしまった
「ところで
『まぁ、そうだな。どこかのアホが一人で思い詰めてやらかした事はあった。だが、まぁそれはもう解決したよ』
「そうでしたか」
『だが、一つ問題があってな?』
「……はい」
『その戦いで俺たちは死んでしまった。残された
「なっ!!? では
『あぁ。ここに魂として存在はしているが、体は既に滅んでいる』
「……!」
『だから、これから先の事はお前たちに託したいんだ。
そして
「
『気にするな。お前のお陰で私は今もここに在る事が出来る』
「……」
『どれほどの言葉を尽くせば良いのか、分からないがな』
「言葉なんて、そんなに必要ないんじゃない?」
『エジル・ラーン』
「必要なのは想いを伝える事でしょ?」
エジルの言葉に
「
『なんだ』
「その、頭を撫でて貰っても、良いですか?」
『それは、構わないが』
そして、慎重に
「……っ、無礼を、お許しください」
『む?』
「その、一度だけでも良いので、父上……とお呼びしたいと」
『あぁ、その程度の事か。好きにしろ。一度と言わず何度でも呼ぶと良い』
「っ! 父上!」
『不甲斐ない父であったが、お前の歩みが止まるまで、私はここでお前を見守っていよう。
「……! ありがとうございますっ!」
『そして、この剣は再び、お前の手に戻そう。お前自身の
「はい!」
『……
『君か』
『えぇ。もうかつての私ではないけれど、ここにまだ私の意思は残っているわ』
『そうか』
『共に見守ってゆきましょう。この世界の未来を』
『そうだな』
何も変わらない静かな水底で。