ハナコがちょっと世論を操作して、ミカを救助し手駒として使う
その為の仕掛けは中々上手くいきそうだ
いや、うまく行きすぎていた
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「ミカ様、ナギサ様がお見えです」
「ありがとう、入っていいよ……って、どうしたの?ナギちゃん」
「ナギちゃ……!?」
ナギサがミカを力強く抱き締める
「ミカさん……」
「どうして……どうして何も言ってくれなかったのです!」
「あなたが一番辛いのに、親友の私が何もせず過ごしてるなんて……」
「えっ……えっ……何の話?」
「良いです、わかってます……何も言わないで……」
2人は何も言わずに抱き締め続けた……
「必ず……あなたを助けますから……!」
力強い目でミカを見つめる
何時もの茶化す言葉は帰ってこない
そっか……浦和ハナコ
学園一の才媛の名は伊達じゃないって事なんだね
片手間なのに、あの時点で全てお見通しだったんだ……
なら任せても悪くはしなさそうだな
「わかった……迷惑かけてごめんね、私を助けて」
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「アリウスの名前を出す所までは許可します」
「正義実現委員会にも警備を変更した件は正直に話しても構わないとお伝え下さい」
「かしこまりました、ナギサ様」
ナギサも激務の合間を縫って、ミカを護る戦いを始めた
もうトリニティ中のどこを漁ってもミカが脅されたことを示唆する情報しか出てこないだろう
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「ねえ、知ってる?」
「もしかして実行犯のミカ様の事?」
「なんでも、人質取られて親友のナギサ様を襲うよう脅されたんだって!」
「そういうこと?わかっちゃった!」
「普段からゲヘナ嫌〜いって言ってたよね、あれも言わされてたって事ね」
「交流しないんだから、ゲヘナなんてそもそも知らんし」
「じゃあ、パテル派の誰かが裏切ってミカ様脅してたってこと?」
「ティーパーティーの警備やってる娘にこっそり教えてもらったんだけど、アリウスって団体も襲撃犯に加わってたって話らしいわよ?」
「あっ、この話誰にも言わないでね?」
「なんでアリウスってのがナギサ様襲うの?関係なくない?」
「やっぱりパテルが真犯人ね!アリウスって傭兵をブラックマーケットで仕入れて操ってたのよ!」
「あれ?でもミカ様関係なくない?全部アリウスってのにやってもらえばいいじゃん」
「ついでにミカ様に取って代わりたいと思ってたとか?」
「バカだねー!ナギサ様がミカ様に抱き着いて大泣きしてたの知らないかー?」
「幼馴染の大親友だよ?タダで返すわけないじゃん」
「ティーパーティーに新しいトップでーす♪って入ってきた瞬間迫撃砲食らってヘイロー割れるって」
「「あははは」」
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「ミカ様の話、ご存知ですの?」
「脅されたことしか存じてませんの、それで謹慎とは可哀想ですわね」
「なんでも、パテル派が雇ったアリウスとかいう傭兵部隊が、あろう事かミカ様の家族を人質に取ったとか」
「それは……非道が過ぎますわね」
「パテル派も短絡的過ぎません?いくらエデン条約を取り消させるためとはいえ下賤な傭兵を雇いトリニティを襲撃するだなんて……」
「ですが、ミカ様を脅した意図が見えてきませんね」
「私もそう思って情報を漁っていたんです」
「なんと襲撃決行日だけ、正義実現委員会の警備の配置が大幅に変更されてて……」
「用意周到ですわね……ティーパーティーの一人を脅して駒にしてから……」
「きっと、パテル派の入れ知恵ですわ」
「ミカ様とナギサ様を一網打尽にして成り変わる為に……」
「でしたら、ミカ様が謹慎されている間にパテル派のトップ層を掃除しておかないと不味いのではありません?」
「こうしては居られませんわ、お父様に事情を説明しなくては」
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噂の流布というものは制御が困難……いや不可能である
一人が説明口調でべらべら話しても誰も見向きもしないからだ
なのでハナコは成功率を少しでも引き上げるため
必ず伝えたい情報に絞って取り巻きへと託した
残りの部分は野となれ山となれだ
確かに「ミカ様は脅されて実行犯にさせられた」
これは正しく伝わった
話題性も抜群
噂はトリニティ中に広まった
先生方諸君にしか伝わらないが、あの放課後スイーツ部ですら2,3分間も取り上げる大事件となった
スイーツ店の新製品の話題には敵わなかったようだが
疑って調べる生徒も居たが、確かにミカ様は謹慎中
シスターフッドからこっそり情報を仕入れても
ミカ様が事件当日深夜、現行犯で捕まったという話なのだ
しかし動機が出てこない
幼馴染で親友のお二人だ、ナギサ様がミカ様の部屋に訪れて抱き合いながら号泣したらしいではないか!!
それでナギサ様とミカ様の涙はただの演技?
ミカ様は虎視眈々とナギサ様の暗殺を目論んでる?
可能性は無くはないが、提唱した時点でティーパーティーを叩きたいだけで言ってるとしか思えない
ミカ様に動機が無いのなら、誰かに命令された事は明白
「誰が命令したのか」に焦点が当たり議論が過熱する
ナギサが流したアリウスも動機の問題でイマイチ効果は出なかった
噂は「パテル派の上層部による裏切り」で収束した
パテル派がミカ様の家族を人質にして傀儡化
正実の警備に穴を開けさせ、名のしれた傭兵部隊アリウスを侵入させナギサ様に危害を加える
とんだ名探偵が居たものだ
しかし何も悪くないパテル派上層部からすればたまったものではない
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「ミカ様!これはどういう事ですか?」
「知らないよ、私は何も言ってない」
「そんな筈はありません!」
「トリニティ中が私達を裏切り者だなんて!!」
「まさか……シャーレと補習授業部……」
「シャーレに私達をスケープゴートにするために……」
「そのタイミングは何も悪い事してないのに」
「失敗する前提で無実の部下を悪者にして売りはじめる上司なんているわけないじゃん」
「ですが、ゲヘナは嫌い発言……あれも脅されてただのポーズだったと!!」
「ゲヘナは嫌いだよ、でも別に見ないし話もしないじゃん」
「正直な話興味ないんだよね」
「どうせトリニティの方が上、なんでゲヘナレベルまで頭下げて、目線合わせて会話しなきゃいけないわけ?」
「そんな……では、私達はどうすれば……」
「どうしようもないよね……誰が言っても無駄だよ」
「どうして……こんなことに……」
ミカ様を助けるプロジェクトが大炎上しております
ハナコ「どうしてこうなった」
ナギサ「どうしてこうなった」
ミカ「どうしてこうなった」
筆者「どうしてこうなった」
噂って怖いですよね
悪者作って叩くまでがゴールですから
ナギサは全然役に立たなかったのか?
ミカを無言で抱きしめ続けた結果、ミカが協力的になりました
エデン条約編の後味の悪い結果の大部分はミカが非協力だったことにあると考えています
この違いは結構結末に効いてくるかもしれません