「プリペイドカードの残高……今日も減ってませんね」
「あの不信感に強い意思……当然といえば当然ですね」
ハナコは感情が読める、もちろんお見通しだった
「モエさん以外は意外と素直に先生の話を聞いていましたね」
「ということはモエさんが断固反対したんでしょうね」
「カードの使用履歴を利用して、シャーレが良からぬ事をするだろう……と」
「当然使用履歴残しますよ、こっちは先生の家計簿だって管理してるんですから」
先生が持っている大人のカードはWeb上で確認出来る
Web上で確認出来るのであれば、プログラムがブラウザーを自動で操作して表示されている情報を取得することも可能だ
ハナコはゲーム開発部、ユズの後ろで学んだプログラミング技術で
大人のカードの使用履歴をスプレッドシートで管理、自動的に家計簿へ反映される仕組みを作っていた
今のハナコなら頼み込めば確定申告も手伝ってくれそうだ
「過保護な先生がサオリさん達を護衛に付けたのも裏目だったのでしょうね」
「一時的ならともかく、交代で様子を見守っていたら1年生といえどいずれ気がつくはずです」
「こっちは慈悲を与える立場なのに手を払いのけられるんですから」
「手の施しようもない彼女達は放っておくのが一番だと思うんですけどね」
表情は柔らかいまま悪態をつくハナコは尊い
「はぁ、仕方ないですね」
「先生の未来の恩人ですからね……」
「あれ以上の仕返しはするなと口を酸っぱくして言われてますし」
ハナコは何パターンかを想定し
「一度破綻に追い込まれるまで様子見して」
「先生に介護させて依存させる作戦でいきましょうか」
「あっという間に何十人も口説いて使役するあの手際の良さ」
「前職はきっと結婚詐欺師か何かでしょうね」
多分結婚しても言われるヤツですねこれは
「でもまぁ、あんな性格じゃ嫁の貰い手なんて居ませんよね」
「先生はいざという時以外はダメな大人ですから」
先生の好物はステーキにカレーライス、ロボットアニメにゲームだ
自分の家計簿も生徒につけてもらう有り様
こんなおこちゃま、誰が結婚対象に選ぶというのか
「そういえば、今日のD.U.は午後から大雨警報がでているとか」
「何か動きがあるかも知れませんね」
ハナコはユウカに電話を掛け、暫く話し込んだ
そして傘を片手に子ウサギ公園まで出かけていった
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"ミヤコ、目が覚めたか"
鍋を持った先生に声を掛けられた
「あれ……私……」
"排水溝の側で倒れたという連絡を受けた時は肝が冷えた"
"排水溝に落ちなくて、本当に良かった……"
テーブルに器やスプーンを手際よく並べながら説明してくれた
"シャーレに常駐してくれている生徒が助けてくれたんだ"
"テントの再整備を行ったり、排水溝の整備をしたりな"
"武器や機材は殆どが駄目になってしまったがテントと公園は無事だ"
"折角作ったんだ、冷める前に食べてくれ"
ふと隣をみると他の3人は俯きながら既に食べはじめていた
わたしもよそってもらった雑炊に口をつける
温かい……優しい味わいが、絶望し冷え切った心に溶け込んでいく
先生は空になった鍋や容器を下げ、テーブルを布巾で拭き、湯気の出るお絞りを渡し、働き続けた
服はヨレヨレだし、酷い隈、昨晩からあまり寝ていないのだろう
食べ終えた私の頭に、大きな手が乗せられる
"まだ疲れが残ってるだろう?今のうちに少し寝ておくといい"
"これから忙しくなる"
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暫く休んで何人かが動き始めた頃
ハナコが出勤……出勤か?……出勤してきた
"こんちにはハナコ……ってウタハ?"
"ユウカとウタハもこんにちは、今日は何の用事?"
「先生、彼女達は私が連れてきたんですよ」
「子ウサギ公園に戻るんでしょう?装備の点検をしないといけません」
「シャーレが支えるという本当の意味を、あの子達にも知ってもらわなければ、何も始まりませんから」
先生と並ぶお人好しの筆頭であるユウカは
彼女は渋るミヤコ達と粘り強く話して、ウタハを子ウサギ公園に招く約束を取り付けた
流石に何のメリットもないのは申し訳ないと感じたハナコは
昨日の内からケーキバイキングを(先生が)奢る約束を取り付けていた
もうやめて!財布のライフポイントは0よ!
ノルマとしてハナコさんは毎話出します(鋼の意志)
因みに先生の手際はこんな感じです
1. ベーコン、玉ねぎ、人参をみじん切りにします
2. 白菜、長ネギを少し大きめに切ります
3. ベーコン、玉ねぎ、人参を大きめのステンレス鍋で軽く炒めます
4. 白菜、長ネギ、合わせ出汁、清酒を加え、蓋をして20分蒸します
5. それ以降は80度前後をキープ
6. 生徒が起きたら小鍋にポットで保温しておいたお湯200ml、炊いて保温中のご飯、上記を1/4入れて煮込みます
7. 社畜として培ってきた口八丁手八丁のノウハウで、跳ねっ返りのうさぎ達に食わせます
今作の世界線では廃棄弁当や草を取り合って食べる状態になり
少し長く空腹状態が続いています
そこに大雨からの落雷でベースキャンプが崩壊
原作では疲労と絶望で立ち尽くして居ましたが、今作では空腹も合わさり膝を付く事になりました
その後は飛び出してきた先生とスクワッドメンバーが彼女達の代わりに作業してくれました
今回のハナコさんの策は先生に介護させた後、
シャーレ内の生徒の善意で押し込むというものです
大人は信じられなくても、少し年上のお姉さん達の波状攻撃には耐えられまい
RABBIT小隊は元々末っ子を集めたようなチームでSRTでも可愛がられていましたからね
きっと彼女達はもみくちゃにされ、いずれ懐柔されることでしょう
「ふふ、頭撫でていい?」
「い、一回だけだからな!」