シャーレにお迎えしたハナコが何か違う   作:みやびさん

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ついにハナコが小説の中から居なくなってしまった……


天上の遥か彼方へ

行方不明になっていたハナコがアビドス砂漠で干からびてる可能性が消えなくてずっと心配していたが

原作通り拉致されていることが分かり、ひとまず安心した

 

「また、キヴォトス全域で超高濃度エネルギー体が観測されてるんだけど……」

 

安心出来ないわ

 

「こ、これって……また、例のタワーが出現する、ということですよね……?」

「今まで私たちがやってきたこと、ぜ~んぶ水の泡じゃん……」

 

「……いえ、以前とは少し様相が異なります」

 

「アユム、前回、この現象を観測してから何時間後にサンクトゥムが出現したか覚えていますか?」

「ええと……22時間ほど、です」

「ってことは、私たちに残された時間もそのくらいかぁ……」

 

「いえ、もっと短くなるでしょう」

「……エネルギーの値が、前回より34%ほど高くなっていますので」

「私も3割程度とは分かったけど、下一桁なんてよく一瞬で出せるわね……」

 

リオ、ほんとうにそれな

 

「こんな状況で、新しく出現したサンクトゥムと戦うだなんて」

「みなさんは一息つけてすらいないのに……」

 

「阻止する為の時間すらなさそうだよ……」

「対抗手段すら思いつかないし……」

 

あれ?この3人の会話ってこんな悲観的だったっけ?

もしかして原作より猶予減ってる?

かなりショートカットしなければならないか……

 

"頭を潰そう、例えば上空に親玉が居てエネルギーを送ったりしていないか?"

 

「……なるほど、モモカ、キヴォトス全域で探知されたエネルギーの流れを確認できますか?」

「はいよ、各座標に共通しているエネルギーの流れはっと……」

「見つけた、確かに空の遥か彼方、キヴォトスの上空75,000メートル……これがエネルギーを送信している」

「75,000メートル、エリドゥにある巡航ミサイルは使えるかしら……」

 

"やはりそうか"

"リオ、気まずい所すまないが非常対策委員会と連携してくれるか?"

"恐らく奴らはパラレルワールドからの来訪者だ、巡航ミサイルが効けば良いが、対策済かもしれない"

 

「わかったわ、先生はどうするの?」

 

"私は外出する"

"こういう現象に詳しい飲み仲間が居るんだ"

 

「?……いってらっしゃい」

 

----

 

「……方法なら、ありますよ」

 

"流石は黒服だ"

 

「アレであれば、色彩の嚮導者に到達できるかもしれません」

「フフフ……そうですね、あなたは私にどのような代償を支払ってくれますか?先生」

 

"次回の飲み会はシャーレにしよう、いくらでもツマミを振る舞ってやる"

 

顔面崩壊してるけど飲み食い出来るのだろうか?

今更か

 

「クックックッ……それは良いですね」

「既にゲマトリアは解散しましたが、面子は集めておきますよ」

 

「ですが、一つ警告を」

「先生の肉体は、これを使用した瞬間……取り返しのつかない被害に遭うでしょう」

「二度と、以前の状態に戻る事はできません……死に至る事さえ、有り得るのです」

 

「……それでも、よろしいのですか?」

 

"可愛い生徒達の為だからな"

 

「その結末が、火を見るよりも明らかだとしても?」

 

"推しまで居るんだ……仕方ないだろう?"

 

「……分かりました、お教えしましょう」

 

ああ、カイザーは原作通り宇宙戦艦を掘り当ててたんだな

ウトナピシュティムの本船だと……?舌噛むわ

忘れない内にアロナから非常対策委員会に共有してもらい、アビドス砂漠へ出陣してもらう

 

さあ私もアビドス砂漠へ行こう

 

----

 

宇宙戦艦にエンジニア部とゲーム開発部が到着した途端にアロナがうるさくなった

 

はいはい、どうした?

 

ケイがアリスが不安で仕方ないって?

話を聞く所によると、ウトナピシュティムの本船を聞いた瞬間から胸がざわついていたらしい

敵勢力の戦艦なんだっけ?

 

"そうだな……ケイ、アリスの中でサポートしてあげて欲しい"

"どっちも必ず無事に連れて帰ってみせる、私に任せてくれるか?"

 

Keyはあれからエンジニア部やゲーム開発部に快く受け入れてもらい

皆からケイというあだ名を貰って気に入ってるらしい

最近は小さなロボットの身体を作ってもらって、アリスに寄り添っている

 

最終編始まったあたりからはシッテムの箱に戻って何かを作っているようだが

まぁ、悪い事にはならないだろうから気にするまい

 

いつものロボットの身体にデータを転送させ、ゲーム開発部まで送り届けておいた

 

----

 

そしてハナコの抜けた穴ということでリオを呼んだわけだが

 

「これがあればバリアを突破出来るというわけね」

 

「ええ、この量子コンピュータを活用すれば、多次元解釈が可能になります」

 

「そう……それに貴女なら箱船を墜落させたり、自爆させる事もできそうね」

 

「……自爆させるのは難しそうですが、推進システムをハッキングできれば墜落させる事は容易でしょうね」

 

「光明が見えてきたわね」

「それはそれとして、そこの部分間違っているわよ」

「量子情報のエラーを修正できないからイオントラップを利用しておいて」

 

「……あ、あら?そうですね」

「天才であるこの私が、こんな初歩的なミスをするなんて……はぁ……」

 

リオがヒマリと話し込み始めた

かつての宿敵同士が手を取り合って……微笑ましいな

 

……

 

「ですので、リオ……あなたの力は不要です、一刻も早くこの船から降りてください」

 

微笑ましいとか言ってた奴は誰だよ

 

"ヒマリ、言い過ぎだよ"

 

俯いているリオの肩に手を置いてタッチ交代する

 

"リオ、君には既にたくさん助られている"

"もう大事なシャーレの一員だ"

"でもそうだね、今は他のメンバーの様子を見てきてくれるか?"

 

リオに退室してもらい、ヒマリに改めて向き直る

 

"ヒマリ、未来を識るということは決して良いことだけじゃない"

"未来を識る先輩であるセイアもね、ずっと苦労し続けてきたんだよ"

 

"セイアからこんな童話を聞いた"

"王国が破滅に至るという信託を授かった王様が、その運命から逃れるため尽力するも……"

 

「……王の努力が王国を破滅させた……というお話、でしょうか?」

 

"そうだ、王は預言者を追放、神殿を破壊、門を閉ざし、最後には戦争に手を出してしまう"

"常識的に考えてそんな事をすればどうなるか自明だ、バカらしいだろう?"

 

「ええ、まぁ……」

 

"だけど、それを語るセイアは震えていたよ"

 

"セイアの予知能力は夢だからね、夜が来る度に眠りにつくのが嫌になり"

"変わらない未来に絶望し、未来を否定する夢が見れた時だけ安堵する"

"そんな生活を子供の頃からずっと続けてきたそうだ"

 

「それは……」

 

"もう一人の自分が囁き続けてくる"

 

"この程度の対策では不十分ではないのか?"

"後から頑張ったと言い訳する為の行動か?"

"そうやって何も行動しないから惨状を招いたんだろう?"

 

"童話の王様なんて、悲惨な未来が避けられたのか分からないから尚更"

"次第に疲弊し、袋小路に追い込まれ、正常な判断ができなくなる"

 

「……」

 

"リオも疲弊して参ってたからね"

"緊急事態で散々こき使ってるが、本当はもっと休ませてやりたい"

"もう少し疲れが癒えたら必ず償うから、私に免じて今は許してやってくれないか?"

 

「分かりました、後で計算を手伝ってもらうよう頼んでおきます」

 

"折れてもらってすまないね……ありがとう"

 

「私が物分りの良い清楚系美少女ハッカーで良かったですね?」

「ですがリオを甘やかし過ぎでは?彼女さんに嫉妬されても知りませんよ」

 

"ははは、私に彼女なんて居ないよ"

 

ハナコは違うだろ、そんな目で見るんじゃない

 

----

 

最後の参加メンバーは補習授業部の4人だ……ハナコ不在なのに4人?

コハルがミカを連れてきてる、最近仲良しさんだね

 

「今の私で居られるのは、ハナコちゃんのお陰だもんね」

 

オペレーター

モモカ、リン、アユム、リオ、ヒマリ、ユウカ、カヨコ、アヤネ、アコ

 

対策委員会 4名

ゲーム開発部 4名

補習授業部 4名 (with ミカ)

エンジニア部 3名

 

美食研究会がフウカを引っ張ってやってきたが

定員オーバーとの事で泣きながら去っていった

今度ハナコをつれていくからめいいっぱい美味しいもの食べようなと約束したが、お財布は大丈夫なんだろうか?

 

「アユム、私たちに残された時間は?」

 

「えっと、サンクトゥムの再出現まで……約10時間と予想されています」

 

「うう……それまでに箱舟を占領しなきゃいけないんだよね?」

「言いたかないけど……これって本当に実現出来る作戦なんだよね?」

 

「はい、何度もシミュレートした結果、成功確率は……」

「なんと、2%もあります!」

 

「に、に……パーセント……?」

 

「仕方ないわね、事前準備が限られていて、臨機応変という名のその場しのぎがどうしても多くなるもの」

 

……

 

「それでは、ウトナピシュティムの本船を6時間以内に発進できるよう、準備をお願いします」

 

「えっ、ちょっと待って!出発って6時間後!?」

 

「マニュアルはありますので、これを覚えていただきます」

 

「いやいやいや、こんな分厚いマニュアルを数時間で覚えろだなんて無茶だよ!?」

 

「できるできないの問題ではなく、やらなければならないのです」

「マニュアルを把握し終えた方にはオペレーターをお願いします」

 

リオがペラペラとめくってるが、あんな速さで頭に入るのか?

 

「これなら問題ないわ、当然の対応しか書かれてないもの、流石はミレニアムのエンジニア部ね」

「分からない箇所があればいつでも聞いてちょうだい、力になるわ」

 

ゲームだとポンコツおもしれー女だけど

こうして実際に接すると実に頼りがいのある生徒会長だなって思うよ

 

「それでは、6時間後、夜明け前に出発します」

「解散!」

 

----

 

──アビドス高等学校 会議室

 

「そういう事だから、アヤネちゃん」

「私たちもウトナピシュティムに乗って、先生と一緒に箱舟に向かうよ」

 

「で、ですが……」

 

「箱舟に着いたら戦うことになるかもしれないんですよね?」

「それに……その箱舟には、ハナコちゃんがいるんですよね?」

 

「はい、おそらくは……」

 

「ハナコ先輩に恩義があるのは、アヤネちゃんだけじゃない」

 

「うん、ハナコに借りを作りっぱなしは嫌、返せる時に返すべき」

「それに、対策委員会は5人で一つ」

 

「ですが……この作戦は、成功確率がとても低いんです……」

「私たちが失敗した時の事を考えないと……」

 

「そんな辛気臭いこと言うもんじゃないわよ!」

 

「アル先輩……?」

 

「わぁ〜便利屋の皆さん☆」

 

「今から柴関ラーメンを食べに行くわよ」

「そして無事に帰ってきて、みんなでもう一度ラーメンを食べに行くわよ!」

 

「……いや、むしろフラグに聞こえるんだけど」

 

──9人は連れ立って、柴関ラーメンへ歩いていった




今回のプレナパテス陣営は原作より強い事を強調する為に
少しずつ数字を弄って状況が悪化するようにしています
この辺は地球防衛軍6のタイムリープを繰り返す度に敵が強くなって自軍が追い詰められる展開を元にしています

ハナコを愛でるSSなので、シーソーゲームの均衡はあまり変えないようにする予定です
先生もズルして先回りしたり、使える戦力を確保して改変して戦ってます

先生が同じ状況で同じ選択をするように
生徒達も同じ状況で同じ選択をします
なので台詞回しは極力原作通りになるよう意識しました

ハナコは考えさせられるお話を使ってヒマリを説得していましたが、
先生は同じ話を同情するお話として利用してヒマリをなだめています
悪い大人なので多少脚色してるかもしれませんね

経営学者の伊丹敬之が著書で「性弱説」を紹介しているそうです
人は弱い生き物であるが故に、追い詰められたり誘惑されると道を踏み外してしまう
この考えは私も強く共感してて、先生が生徒の事を考え動くときはこれを前提として考えるようにしています

アルちゃんは「こういう時は無事に帰ってきたらラーメンを食べに行きましょうと誘うものよ!」と発破かけていましたが
この世界では少し関係が進んで仲間になったので、自分から誘うようにしました
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