シャーレにお迎えしたハナコが何か違う   作:みやびさん

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ハナコ視点


アトラ・ハシースの箱舟占領戦 (4)

誘拐されて早2週間

 

最初の3日間はここから脱出出来ないか試行錯誤していたが

それは叶わないと理解した

 

アビドス砂漠で活動する想定で所持していたレーションや水は早々に使い切ったが

不思議とお腹も空かないし、喉も渇かない

 

何故だろう?

 

先生が言ってた「パラレルワールドから先生とシロコがやってきてキヴォトスを滅亡させようとしてくる」のセリフから辿る

そんな事が出来るオーパーツならトリニティの書庫で調べれば絞り込める

恐らくアトラ・ハシースの箱舟だろうという予想までは出来ていた

 

そこから先は飛躍だらけの、単なる連想ゲームだけども

 

例えばアトラ・ハシースの箱舟を使ったパラレルワールドから渡る方法が多元宇宙論みたいなものだとして

それによって作られた事象が確定しない空間があって

私はその内部に幽閉されている

 

私という存在は曖昧なものになって

別世界のトリニティの学校内、シャーレの執務室、作戦行動中の私達が

少しだけ早くお腹が減って食事を採って、この私の状態を更新し続けている

 

そんな解釈も出来そう

 

そんな事を考えていても事態が好転するわけもなく

私に許されたのは、ただ先生の助けを待つことだけ……

 

「先生……」

 

----

 

何度目か分からない先生を呼びかける自分の声

 

呼びかけすぎでは?

先生の事が好き過ぎか?

 

いやいや、物語の囚われの姫であるシロコの役が私にスライドしただけで

シロコと呼び捨てなのは自分より強い人にしか従わないと豪語していたので

アビドス初訪問の時に叩きのめしただけで……

 

「はぁ……私は何に向かって弁明してるんでしょう……」

 

昔から一人ぼっちだった私も例に漏れず独り言が多い

あれこれ考えていると地震かと思う強い衝撃が部屋を襲った

 

「……っ!!なに?何がおきてるの……?」

 

愛銃を構え警戒するが、何も起きなかった……

油断した瞬間、再度強い衝撃

 

「ひゃっ!」

 

今度は尻もちをついてしまった、別に痛くは無いけど恥ずかしい……

誰にも見られずに済んで良かった

 

「もしかして……先生が救出にやってきた……のでしょうか」

 

----

 

にわかに聞こえる戦闘音

それがどんどん近づいてきている

 

ひょっとして、ひょっとして……

先生が私の為に……

って、先生は私じゃなくても全力を出すでしょう!?

 

モヤモヤしていると、私のスマホを介してホログラムの通信回線が接続される

 

「あら?」

 

「こ、ここは……ハナコ先輩!?」

"ハナコ!"

「ハナコちゃん……?」

 

「アヤネちゃん?そして……先生!ホシノ先輩!」

 

"ハナコは大丈夫か!?怪我はない!?"

 

「ええ、無事です」

「拐われはしましたが、特に危害を加えては来ませんでした」

 

「うへ~、ハナコちゃんが無事で良かったよ」

「ん、そこでじっとしてて、すぐ助けに行く」

 

「はい……ホシノ先輩……シロコ……」

 

"ああ、待ってろ"

 

「ごめんなさい……待ってます……」

 

シロコは無事だったんですね、良かった……いや良くは無いけど

 

アヤネさんもたいがい酷い顔してましたが

通信回線越しの先生もやつれてましたね

 

この2週間どれだけの激戦を凌いて来たんでしょう……

でも何でしょう?疲れ切ったイケメンが私の顔を確認して緊張を少し緩めるあの瞬間……

まるで愛妻の待つ我が家に帰ってきた旦那様……良い……

 

良いじゃないが???

 

先生の事ばかり考えておかしくなってる

あの物語の流れの通りなら最終決戦が待っている

こんな妄想してる場合じゃない

 

集中しろ、覚悟を決めろ、私がこの銃と共に未来を切り開くんだ

 

----

 

今の内に出来ることをやっておかなければ

 

急いで銃を分解、点検して組み立て直し

構え、撃つ、リロード……よし問題ない

マガジンに銃弾を籠めて……

 

アヤネちゃんから連絡があった

 

「ハナコ先輩が居るエリアに先生が向かいました」

 

「アヤネちゃん、ありがとうございます」

 

──ハナコのいる部屋の扉を開ける

 

先生……先生……!

 

待ち遠しかった先生の顔を見た瞬間、流れ込んでくる2週間の激闘の記憶

先生……ごめんなさい、ありがとう……大好きです……

 

そして

 

血の気が引いていくのがわかる

 

──サトリの魔女

 

使用人や同級生から陰口として言われ続けてきた私の蔑称

 

ずっと敵視していたあの女が本当に敵対者として出てきて

 

ひた隠しにしてきたこの能力を

よりにもよって先生に悟られてしまうだなんて……

 

もう元の関係には戻れない

 

ただ怖くて、頭で理解してても、信じたくなくて

目を瞑って先生の胸に飛び込んだ




こんな設定作ったなら回収しないとダメですよね
ハナコさんはさも深刻そうに思ってますけど、既にベタ惚れな先生にとってはどうでも良いと思います
ハナコを見てえっちな事を想像しているのがバレてた……?と今更戦慄する程度でしょう

人生そんなもんですよね
私も物事を深刻に捉えすぎて病む事が多かったですが、
尊敬する先輩に「言って思っても無い俺のセリフを勝手に捏造するな、それこそ俺に失礼だろう」と叱られてやめるようにしました

ぼっちは独り言が多いものですが
一人であるストレスで増えるみたいですよ

ハナコさんが過去に積み上げてきたストレスはきっと多いと思います
もうベタベタに甘やかすしかないですね
ちょっとくらいの悪戯は多目に見てあげようじゃないですか
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