──ハナコのいる部屋の扉を開ける
百面相したハナコが泣きながら私の胸に飛び込んできた
ははは、可愛い奴め
でもまぁ、天才だの才媛だの言っても
冷静になって考えたらまだ16歳の少女だもんな
親元離れてホームシックにならずに笑って暮らしてるだけで立派だよ
ぽんぽんと背中を叩いてあやしてやる
しかし安堵というよりは、むしろどこか怖がっているように感じて……
「こほん……こほん!」
アヤネのわざとらしい咳払いで思考を切り替える
"どうしたアヤネ?風邪には気を付けてくれよ"
「違います!!……あれ?今なんて言おうとしたんですっけ?」
「……とにかく、船がある第1エリアに来てください!案内しますから!」
恥ずかしくなったらしいハナコが暴れはじめた
お前はなでなでをせがんでおきながら、すぐに蹴り始める猫か
"アヤネ、まだやることがあるから、案内して欲しい"
"私達二人が向かう先は第1エリアではなく……"
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移動しながらリオとヒマリに警戒するように指示を飛ばす
私がシロコを伴い最深部へ行く事になる理由を思い出した
そうだ
フウカが車で爆走するスチルが回収されていないんだ
"リオ、このまま自爆シーケンスを実行して終わりにはならない"
「何故?全て順調よ、説明してちょうだい」
"第3エリア以降、あれだけ妨害し続けてきた敵ハナコが見えない!"
"そちらの方に妨害を仕掛けてきているはずだ"
「……それを信じるわ、ヒマリ!」
「ウトナピシュティムの中枢システムを見てちょうだい」
「はい、既にポートスキャンと、バックグラウンドプログラムのチェックを走らせて」
「大当たりですね、既に……ウトナピシュティムの所有権の殆どが乗っ取られています」
「そうね……このまま指を咥えてみていれば、アトラ・ハシースの多次元解釈を手助けしてサンクトゥムタワーが顕現することになるけど」
「抑制機能を利用して、強制的にウトナピシュティムを停止させれば時間を稼げるわね」
流石はハナコ、油断も隙もないな
これで少し先回りできたか?
"一時的にリオ・ヒマリに指揮を預ける!"
"力を合わせて、乗り切ってくれ"
「先生はどうするの?」
"私は、元凶を叩いて時間を作る"
"任せた"
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──第4エリアの中央 多次元解釈エンジン管制室 ナラム・シンの玉座
「あれは……私?」
「肯定、浦和ハナコ、別時間軸の同一存在」
「ええ♪直接お会いするのは初めてですね?」
「……大人のカード越しに、もうお会いしているかも知れませんが」
相変わらずなその、裸ワイシャツのカーテシー
本人がやたら美人なおかげで妙にサマになってるな
"別の時間軸……ね"
こっちのお清楚ハナコは私がムリヤリ連れてきたからああなっただけで
ちゃんと同一存在だったのか
って事はサトリの異能も……
「肯定、そうです、先生」
"君は……アロナ?"
「否定、私は不在となったアロナに代わり、シッテムの箱の管理者となったプラナです」
なるほど、アロナは連邦生徒会長だから連れては来れなかったのか
……
教えてくれそうだからこの際聞いておこう
"私と、プレナパテスは……別人だよな?"
「否定、貴方と先生は同一存在です、DNAに至るまで一致している事を確認」
「貴方でお会いした同一存在の先生は■■人目ですが……」
「推測、タイムリープを行えるアロナ先輩の可能性」
ずっと気になっていた……
キヴォトスにやってきた手段はなんだろう?
この世界は閉じているのにどうやって……?
先生を辞めたら、どうやって、どこに私は帰れば良いんだろう?
私の過去はおぼろげにしか思い出せない
卒業した大学の名前も、家族構成も、尊敬していた会社の先輩も同僚の顔も……何一つ思い出せない
そうか、あの電車の夢……あの電車には沢山の人が乗り合わせていて……
連邦生徒会長は色んな人の魂を過去へと送り届け
先生として生きてもらう仕組みなのか
「しかし、一部差異が存在します」
「せ、先生……!!」
"アロナ?"
「そ、そうです……そう、と言うか、違う、というか……」
「今私の方でもプレナパテスの生体情報を確認してみましたが……」
「たしかに、一致します……外見こそ変わりましたが……」
「プレナパテスは……別の時間軸の、先生です……で、でも」
"死んでいるんだろう?"
アロナから見ても完全に同一人物なんだな……
全く別の存在だと思ってたわ
「ええ、よく分かりましたね♪」
「先生を殺したのは、私ですので……」
「……え?」
「世界を渡るためにはアトラ・ハシースの箱舟が必要ですからね」
「あれに乗れるのは、玉座に座る権利があるのは色彩の嚮導者だけ……」
「そして私をここに連れてきてもらったんです」
「別のキヴォトスを滅亡させ、私達のキヴォトスをやり直す為に……」
「あなたが……私……?」
「ええ♪」
「……私が……先生を……ころ、したと……?」
「はい♪」
「他の世界を、他人事だからと滅亡させる……?」
「弱肉強食と言いますよね」
「………っ」
「ふざけるのは、格好だけにして!!」
やっぱり裸ワイシャツがあかんかったか
これがやりたかっただけですまない
先生の推理は惜しい所まで来ていました
最終回も近づいてきて、語られる機会もないので説明してしまうと
生前ブルーアーカイブをプレイしていた先生達が少しずつ混ざり合い
最終的に出来たイケメンが原作先生となっている独自設定です
その結果何十回、何百回とサオリに腹をぶち抜かれ
色彩に変質させられた被害者にされてしまいましたが……
本作の先生は1個人が強く残ったちょっとしたイレギュラー
だからといって強くもないですし、優秀でもありません
ただ部下を発破をかけて働かせる能力や、ゲームで培った人の嫌がることを徹底的にやるという性格は周りからは高く評価されているようです