シャーレにお迎えしたハナコが何か違う   作:みやびさん

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模擬戦

"おっ、やってるね"

 

「先生、来てくれたのね」

「わざわざすまない」

 

週末、子ウサギ公園を訪れた私を歓迎してくれたのはヒナとサオリだった

 

"久しぶり、ヒナ、サンクトゥムタワー攻略の時以来だね"

"そしてサオリ、何度も言ってるが感謝する時に謝罪を使う必要はないぞ"

"私はサオリのありがとうの声が聞きたくて来てるからな"

 

サオリの頭をぽんぽんと労う

ヒナも物欲しそうな顔してたので頭をぽんぽんしてやる

 

何故この珍しい組み合わせなのかというと……

 

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「先生、もっと強くなりたいんだ……」

 

当番に来ていたイオリが思い詰めた顔で相談してくる

 

強くなりたいって言っても、お前もうキヴォトス屈指の強さじゃん

そりゃあ各部活のエース級には届かないかも知れないが

そんな人間を簡単に強化出来るなら苦労しない

 

よくよく話を聞いてみると

 

夏休みのビーチでヒナ委員長を休ませたかったが

スケバンとヘルメット団の抗争に巻き込まれ、ヒナ委員長抜きでは鎮圧出来ず敗走

アコがシャーレへの通信で怒鳴り散らしてる所をヒナに聞かれてしまい、ヒナが出撃することになった

 

またゲヘナ行きの列車で横転事件が発生した日

その列車への強襲で規則違反者を一網打尽にする作戦が実行されたが

規則違反者達にはまんまと逃げられてしまい成果無し

 

この辺の失敗が立て続けに起きて

風紀委員会全体の士気が大きく落ち込んでいるとのこと

特に一般風紀委員の子達(モブ)がヒナやイオリ級の戦いにまるでついていけないことを自責していて辛いと

 

うーむ、あれはヒナやイオリの他に強い生徒が居ないのが問題なのでは?

トリニティの正実は風紀委員と比べてネームドが多く層が厚い印象がある

比較的治安の良いトリニティですらあれだけの人材が必要なのに、ゲヘナでネームド2人は回るわけないわ

 

そして風紀委員には後輩を育てる人材が不足している印象があるな

アコは書類仕事の行政官、チナツは前職?前部活的に医療従事者

ヒナもイオリも突然変異の天才肌、まぁゲヘナ全体に言える事かも知れんが

 

だったらサオリの所に預けてみるのも良いかもしれないな

いつまでもRABBIT小隊4人の面倒を見ているだけでは勿体ない

 

「先生……急に黙り込んでどうしたの?」

 

"すまない、良さそうな案が出てきたから考え込んでたんだ"

 

そういう訳で風紀委員のモブの子をお試しで4人借りてサオリに預けさせたわけだ

 

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一応万魔殿には話を通してある

風紀委員会は私の部下であるサオリと交友し

万魔殿はシャーレの長と交友を深めるという感じで話を持っていったら秒で合意が取れた

 

因みに原作と同じくエデン条約の時に既に万魔殿とは交友がある

その後色仕掛けの為にイロハがシャーレに送られてきていたが

標的は私ではなくハナコの方だった

 

「シャーレの懐刀は才媛で次期生徒会長確実と噂されるハナコだ、奴がシャーレの実権を握っているに違いない!」とのこと

よくわかってるじゃないか!

服をはだけて迫ってくるイロハに複雑な顔してるハナコを大笑いしてたら怒られた、解せぬ

 

そんなイロハもすっかりシャーレの一員になってるし

頭の回転が早くアイデアマンとして重宝してる

 

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さて、そういう訳で子ウサギ公園には風紀委員から借りた4人が加わり

12人が生活していたわけだが

 

期日が迫っているとの事で、特訓の成果を披露する為に

ヒナや先生を呼んで模擬戦闘をする事になったということだ

 

ゲヘナイベントでは突っ立ってるヒナにモブ生徒達がわらわら突撃していって

片っ端からワンパンで戦闘不能にされてる可哀想な訓練の惨状を見る限り

ミヤコ達には逆立ちしても勝てなさそうだが……はてさて……

 

いや、これモブ子ちゃんチームすげーな

ミヤコとサキの突撃を柔らかく受け止めつつ、ミユを牽制してる

というか狭い子ウサギ公園の中とはいえ、原作で不可視のスナイパーとして無双してたミユが見えるのかよ

モエの武装にも制限があって持ち味を活かせなかったとはいえ、この4人を完封して勝利するとは

 

負けたRABBIT小隊は罰ゲームとして

持ち込んだ大量の肉野菜でバーベキューパーティーをする準備を命じている

 

サオリを褒めながら話を聞く

 

「先生が出してくれたアイデアの、弱者の戦略……そしてゼネラリストとスペシャリスト」

「あの考えを採用させてもらったんだ」

 

どちらもビジネスシーンでよく出てくるワードだな

元々の言葉の意味はさておき

 

アリウススクワッドやRABBIT小隊は常勝が求められる部隊だ

あらゆる任務を成功へと導く為に幅広い知識と能力が求められる

結果精強な部隊に仕上がるまでかなりの時間を掛けてじっくり鍛えて行くことになる

 

逆に風紀委員会のメンバー達は数に優れている

そもそもヒナやイオリという親玉がドンと控えている以上

不得意な戦場は他のメンバーに任せて逃げてしまっても良いんだ

1つの長所をひたすら伸ばして、それが求められる戦場で大活躍すれば良い

 

「先生がいつもやっている事を真似ただけだ」

「生徒の話を聞き、共に考え、目指す目標を描く」

「少しずつ興味のある分野を見抜き、適性を伸ばしていく」

 

まぁ、興味関心が無い分野は頑張れないしな

頑張れないからパフォーマンスが出ないし周りから評価もされない

そんな仕事をしても芽が出ないから、さっさと転職でもして性に合ってる仕事を探せというのが私の考えだ

 

「アリウスの頃は、任務で結果を出せないと地獄のような折檻が待ってたからな……」

「あの頃は短所を消す訓練ばかりさせてたが」

「長所を伸ばす方が短期間で一気に伸びるし手応えも感じる」

 

なるほど、ハナコは体系的にまとめて底上げしていく教育が得意だが

サオリは一人一人に寄り添う事に適正がありそうだな

勿論ハナコが全く出来ない訳ではないだろうが、一人に時間を掛けすぎてしまったり、寄り添い過ぎて生徒にプレッシャーを与えてしまうなんて事があるかもしれないな

 

「そして何より、成長を実感した時に彼女達が見せる嬉しそうな顔が、とても嬉しいんだ」

 

イケメンフェイスで微笑むんじゃない、夢女が増えるだろうが

まぁ……先生もサオリが喜ぶ姿が見られてとても嬉しいよ

 

「それとは別に、身体が出来てなかったから、最初はランニングから始めたな」

 

ん?話の流れが変わったな

 

「毎朝子ウサギ公園の周りをフル装備で20周した成果が出たように思う」

 

スパルタすぎんか?

多分ハーフマラソンくらいはあるぞ

生徒って握力や腕力は数倍になるけど、長距離走の能力は変わらないらしいし……

 

風紀委員モブちゃんを注視する

サオリブートキャンプ前は年頃の柔らかそうな体付きだった少女が

薄い筋肉が見えるスポーツマン女子になってる……ほぼ別人じゃん

 

「一人でも設定したタイムを下回ったら連帯責任で罰するようにした」

「肩を貸しても抱き上げても良い、全員でタイムを遵守しろと伝え、並走しながら励まし続けた」

 

どんな軍隊だよ

 

"よく逃げ出さなかったな"

 

「逃さなかったからな」

「ここで逃げたら後でより辛くなる」

「先生が教えてくれたように、人生のツケは最も辛い時に襲ってくるものだって話だな」

 

それは何食わぬ顔で漫画の名セリフを吹き込んだ時の奴じゃないか

大真面目に頷くサオリの反応で吹き出しそうになった記憶がある

 

「先生、最近は私達も鍛え直してるんだ」

「先日のシャーレ襲撃事件では遅れを取ったのが悔しくてな……」

「彼女達を教える中で私もこう強くなりたいと試行錯誤しているんだ、次はもっと期待していてくれ!」

 

そうか、楽しそうで何よりだ……

 

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「サオリお姉様、並びにアツコお姉様、ヒヨリお姉様、ミサキお姉様……」

「今回の合宿、どうもありがとうございました!」

「「「ありがとうございました!」」」

 

「私達は今日をもって風紀委員会へと帰りますが、教わったことは決して忘れません!」

 

もう絶対別人じゃん

アツコは1年生だし、他3人は君たちと同じ2年生だよ?

 

まぁ、アツコの包容力は3年生くらいあるし、

サオリは17歳で実質3年生だからわからんでもない

 

RABBIT小隊の生徒達に対しては抱き合ってキャイキャイしてた

いくら強くて大人びた態度してても、可愛い妹ちゃんにしか見えないよなぁ

人徳の一つだとは思うが、本人達には複雑かもな

 

肉を片手に他のメンバーとも談笑していると

日が暮れてきたのでヒナと風紀委員の娘達は後片付けをして帰っていった

私もそろそろシャーレに帰るかな

 

----

 

"ただいま、ハナコ"

 

「おかえりなさい、先生」

 

ハナコが見慣れないメガネを着けてる

 

"ハナコって視力悪かったっけ?"

 

「いえ、これはヨツバがミレニアムのエンジニア部と作ってくださったもので」

「私の能力を遮断する効果があるとか」

 

そうか、1年後のハナコなら原理を解明出来て予防策を講じていても不思議じゃないよな

タイマン勝負でハナコの行動を一方的に先読みして完封されていたし

 

もしかすると、何かの意図があって着けさせてそうだな

 

"赤いフレームがハナコの綺麗な瞳によく似合ってるね"

"最近目を合せてくれないから寂しかったんだ"

 

「もう、先生ったら……」

 

各先生へ、もじもじしている推し生徒は良いぞ

 

"そういえば、お昼はアズサと百合エッチだったんだっけ?"

 

「……っ!急になんて事を言うんですか!」

「デートです!で・え・と!」

 

"すまんすまん、可愛いハナコが見たくてな"

"それでどんな用事だったんだ?"

 

「全く……ヒフミちゃんの誕生日プレゼント選びの相談ですよ」

「次の週末にはコハルちゃんも加えて相談しながら決める事になりました」

 

あー、なるほどね

まぁ一発じゃ中々決まらないよな

 

私もプレゼントは困るタイプだ

性質がオタクということもあり、キヴォトスの外に居た友人も漏れなくオタクだ

ハマってる対象のグッズをプレゼントしても、ダブったけどどうしよう……になるだけだ

結局メシでも奢るから一緒に行こうぜとか、マウスパッドやらの消耗品になりがちだ

 

相手の心の中を覗けてしまうハナコは

貰った側の微妙な反応が心に刺さってしまい、それの積み重ねで苦手になる

あるかもしれんな

 

"アロナ、ヒフミにモモトークで連絡してくれ"

"欲しいけど、まだ入手していないクッズを教えて欲しい、あとは補習授業部の皆でシェアしたいグッズなんかもあれば"

"……ああ、一般的に入手出来るラインで頼む、ブラックマーケットのオークションに出品されるレア物とか指定したら頭叩くぞと添えてくれ"

 

「承知しました!」

 

悪いなハナコ、私は汚い大人なのだ

 

----

 

少し遅れてヨツバもシャーレへやってきた

 

「先生、こんな休日に呼び出すなんてどうしました?」

「はっ、もしかして……ハナコちゃんだけではマンネリで、私と取っ替え引っ替えして弄ぶつもりでは!?」

 

別に平日でも良いからと送ったのに、即座に駆け付けてきたのはお前だ

 

"こんな美人は一生飽きないから安心しろ"

 

「まぁ♪聞きましたかハナコちゃん?」

「先生のハートを射止めたら一生愛してくださるそうですよ!」

 

あかん、何を返してもハナコに飛び火する

 

"はいはい、要件は預かっていた風紀委員の生徒とRABBIT小隊の模擬戦の結果だ"

 

「はぁ……私の扱い雑じゃありません?」

「ファーストキスまで捧げたのに……釣った魚には餌は与えない酷い男の人なのですね……」

 

ぐぬぬ、それを言われると厳しい

あどけない顔してる癖に、読めない表情といい同年代にしか見えないんだよ

 

"これが終わったら一緒に夕食でもどうだ?"

 

「……ふふっ、言わせたみたいでごめんなさい♪」

 

"構わんよ、ハナコはどうする?"

 

「わ、私は……用事があるので帰ります……」

 

あらら、キャパオーバーで帰る宣言してしまったか

まぁヨツバも何となく変だし、ギクシャクしないよう少し話し込む必要があるかもしれんな

 

私は二人に今日の模擬戦の結果を話し

今後の予定や方針を相談してからハナコを見送った




本当は最終決戦からすぐ1年後……という感じにしようかと思ったのですが

ここまできたらハッピーエンドで終わらせたいなぁという事で
大まかなゴールを定義したので、それに向けて書いていきます

暫くの間、ざこハナコさんをお楽しみ下さい
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